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学園物語 ~MIYUKI'sカフェ~  作者: 優貴(Yukky)


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第12話 「私も負けたくない」

夕焼けに染まる屋上。

誰も言葉を発せなかった。

結奈の告白。

そして、その場に現れた美雪。

静かだった屋上の空気が、一瞬で張り詰める。

「美雪……」

悠斗が名前を呼ぶ。

しかし美雪はすぐには返事をしなかった。

ただ二人を見つめている。

「聞いてた?」

結奈が静かに尋ねた。

数秒の沈黙。

そして美雪は小さく頷く。

「少しだけ」

嘘だった。

ほとんど聞いていた。

『私は悠斗くんが好き』

その言葉もしっかり。

結奈は目を伏せる。

「ごめん」

「なんで謝るの?」

美雪は苦笑した。

「好きになるのは自由だよ」

「……」

「私だって」

そこまで言って止まる。

言葉が続かない。

胸が苦しい。

今まで隠してきた気持ちが溢れそうになる。

結奈は気付いていた。

美雪も。

自分と同じだと。

「私は先に帰るね」

結奈が言った。

「え?」

悠斗が驚く。

「今日はこれでいい」

結奈は微笑んだ。

「伝えたかったことは伝えられたから」

そう言って屋上の出口へ向かう。

途中で立ち止まる。

そして振り返る。

「逃げないから」

悠斗を見る。

「返事、待ってる」

そう言い残して去っていった。

屋上に残されたのは二人。

悠斗と美雪。

風だけが吹いている。

「……」

「……」

気まずい。

だが。

このまま終わらせるわけにはいかなかった。

「美雪」

「うん」

「さっきの」

「分かってる」

美雪は笑った。

だけど。

その笑顔は少し寂しそうだった。

「結奈ちゃん、本気だったね」

「そうだな」

「すごく真っ直ぐだった」

「うん」

再び沈黙。

夕陽は少しずつ沈んでいく。

やがて。

美雪が口を開いた。

「私ね」

「うん」

「ずっと気付かないふりしてた」

「?」

「友達だからって」

「幼なじみでもないし」

「特別な関係じゃないし」

悠斗は黙って聞く。

「でも無理だった」

美雪は笑う。

今にも泣きそうな笑顔だった。

「結奈ちゃんと話してると気になるし」

「一緒に帰ってるとモヤモヤするし」

「文化祭の準備してる時も」

「ずっと見ちゃってた」

風が吹く。

美雪はゆっくり悠斗を見る。

「だから」

鼓動が速くなる。

「私も負けたくない」

その言葉。

そして。

「私も悠斗くんが好き」

屋上に響いた告白。

悠斗は息を呑む。

結奈に続いて。

美雪まで。

二人とも。

自分へ想いを伝えてくれた。

「美雪……」

「返事はいらない」

美雪は首を振る。

「今はね」

少しだけ笑う。

「だって困るでしょ?」

「……」

否定できなかった。

「だからちゃんと考えて」

「うん」

「私も待つ」

そう言った。

その時。

校内放送が流れる。

『生徒の皆さんは速やかに下校してください』

現実に引き戻される。

二人は顔を見合わせる。

そして。

思わず笑った。

「帰るか」

「うん」

屋上を後にする。

だが。

悠斗の心は大きく揺れていた。

結奈。

美雪。

どちらも大切な存在。

どちらも傷付けたくない。

だけど。

いつか必ず答えを出さなければならない。

その事実だけが重く胸に残った。

一方その頃。

校門の外。

結奈は空を見上げていた。

夕焼けはもう消えかけている。

「言えた」

小さく呟く。

緊張した。

怖かった。

でも後悔はない。

なぜなら。

ようやくスタートラインに立てた気がしたから。

恋の勝負はここからだ。

そして。

三人の関係はもう後戻りできない場所へ進み始めていた――。

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