§2 2台のぽんこつロボット
二人はエレベーターからやっと出たが、ぼんやりしている
光を浴びた直後だから仕方がない。
三分ほど経つと、ようやく彼女たちの目から霧が晴れてきた。
彼は声を掛けた。
「ついてきなさい」
エレベータールームから出た。
振り向かなくても彼女たちがついてきていることが分かる。
光を浴びた直後、最初に目に入った人間に従うようにプログラムされている。いわゆる刷り込みだ。
二人はぴったりと寄り添い、なんとかついてきている。
直接、言葉が通じたことで、新木はほっとした。
日本語が通じる。
ここではどこの国の誰であるかなど、ほんの些細な問題だ。
それでも若い女の子が外国人だったら、彼の(心理的な)重荷は三倍ぐらいになっていただろう。
ルイは中年男の背中を見ながら、考えた。
一体、ここはどこなんだ?
通路は通路だ。廊下といってもいい。
高さは2メートルぐらい。幅は1.5メートル半ほど。それがずっと続いている。
床は濃い青、壁は薄い灰色だ。
歩いている足の感触では床はどうやら金属みたい。
10センチ間隔ぐらいで規則正しく鋲が両端に打っている。
壁には窓がない。やはり50センチ間隔で鋲が並んでいる。
なんだか船ぽいな。
ルイはそう思った。
通路は10メートル続くと、壁で行き止まりだ。
それまでの間に、左右にドアが三つずつあった。
つい、ルイはポケットに手を入れてしまう。
スマホを探ったのだが、もちろん入っていない。
制服着用時はスマホ禁止なのだ。
本番中に鳴ったりしたら、とんでもないことになる。事例多数あり。
惜しい! 今ならSOSを送れたのに。位置情報も一緒に。
これって誘拐に違いない。絶対にだ。
横のアリサを見る。
逆三角形の顔は憂鬱そうだ。油断した時のアリサの顔だ。
だからテンパっている。
右手と右足が同時に前に出ている。次は左手と左足。
ポンコツロボットだ。これは相当キてるな。
あっ、ルイも気づいた。いけない、わたしもだ。
彼女の手と足も揃っていた。
中年男はそんな二人をやれやれという顔で見ている。
「ここだよ」
手前のドアがすっと開いた。
へぇ、自動ドアなんだ、ルイはぼんやりと思った。
中年男が中に入ったので、ルイたちも早足で後に続いた。




