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第四章 コミュ障陰キャぼっちにも青春はありますか? 第二十節

秘匿された想いは何処で芽吹くのか

「それで、なんでこうなってルンですか…?」

不満そうな顔で辺りを見渡しながらメイリンちゃんは言った

「ごめんね、急にお邪魔して」

「蓬のことはいつでも大歓迎ですヨ!」

そんなやり取りをしながら私は部屋の中を見渡す


「てか…前に来たことあったけどホントに広いんだな」

そう言って立ち尽くした天城くんはの後ろには真凛と綾乃、大倉くんも一緒だった

「むぅ… まさか蓬以外にも来ることになるなんて…」

「ごめんね…」

「蓬は悪くないデス! メイリンも蓬と勉強したかったですシ!」

私が謝るとメイリンちゃんは慌てて言った

それから振り返るとソファーに座った真凛を見て言った

「悪いのは試験で赤点を取ったというそちらでショウ」

「うぐっ… たしかにそれはそうだけど… でも蓬の提案なんだから別に良いでしょ?」

普段なら言い返す真凛も赤点のことを言われて流石に言い返せなかったらしい

「ですが…あなた達が赤点だとライブに出られなくなるのも事実、そしてそのせいで蓬が悲しむなんてことあってはならないのです!」

メイリンちゃんはビシッと指を突きつけて真凛たちを見渡した

「今回だけ特別にメイリンがあなたたちの勉強を見てあげマス!」


 メイリンちゃんは相当頭が良いらしい、嫌味でもお世辞でもなく本当にだ

学年でも成績上位だと噂されてる綾乃でさえ分からない問題もあっさりと解いているし真凛たちが分からない所も丁寧にそして分かりやすく教えていた

「ひとまずこの辺で休憩にしましょうカ」

「うぅ…疲れた~」

メイリンちゃんが教科書を閉じると真凛は机に倒れ込んだ

「まだ三時間やっただけじゃないですカ」

「三時間もだよ! 普段三十分もやったら十分すごいアタシが!」

「はぁ やれやれです…」

呆れた様子でメイリンちゃんは言いながら私の隣に座った

「ちょっ! なんで蓬の隣に!?」

「さっきまでつきっきりでアナタの側にいたんデスからいいじゃないですか!」

そう言って更にメイリンちゃんは私との距離を詰めた

かすかに肩が当たっていい匂いがする

でもどこかで嗅いだことがあるような…


「これって…あの時の…」

「ですです! 蓬とお風呂に入った時と同じシャンプーです!」

迂闊にも余計なことを口走ってしまったと後悔してももう遅かった

「はぁ? なにそれどういうことなの!?」

真凛の声が部屋中に響いた

「ですから言葉通りの意味です」

「あのーこれには色々と事情が…」

私が間に入ろうとしてもそんなスペースはどこにもなさそうだった

「いつどこで?」

「少し前にこの部屋のお風呂デス」

「……」

今までにない緊張感が部屋に漂う

他に誰かいないかと部屋の中を見渡したけど天城くんと大倉君は早々に近くのコンビニまで買い物に行ったし綾乃も急な電話で席を外していた

「別に女の子同士だからいいじゃないデスか、それともアナタには私が蓬とお風呂に入られて困ることでもあるんですか?」

「それは…」

言い返す言葉が上手く出てこないみたいに真凛が口ごもる

けれどメイリンちゃんのほうも真凛を言い負かして勝ち誇ったような表情ではなかった

何かもどかしそうな、何か言いたげな風に見えて


「あなたは…」


その言葉の続きが来るよりも先に扉が開いた

「あ、えと… なにか取り込み中だったかな?」

部屋の中に重く漂っていた空気を察したらしい綾乃が戸惑ったように言う

「いえいえなんでもナイですヨ!」

「そう? 真凛のほうは…」

「アタシも大丈夫!」

さっきまでのやり取りが嘘だったみたいに二人は綾乃にそう告げた

二人からそう言われて綾乃も分かったと言って引き下がる

私もこれ以上ややこしいことにしたくなかったから特に何も言わなかった

それからしばらくして天城くんと大倉君が帰ってきて

再び机に向かった


そして


「おわった~」

真凛の叫びと共にこの日の勉強会は終りを向かえたのだった


蛇足


永遠にも感じられるような長い時間から解放されてそそくさとノートや教科書をカバンに詰める

こんな風に何時間も勉強するのは去年の夏休みぶりだろうか


「はぁ…」


色んな意味でため息が出る

けど今は目の前のテストに集中しなければいけない

そう思いながら開いていたノートを閉じようとすると…」


「はぁ?」


今度は別の意味でのため息が出た


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