第四章 コミュ障陰キャぼっちにも青春はありますか? 第十二節
その六弦は持ち主を探す
「蓬ちゃん? どう、いいギターあった?」
店の奥のほうで何かを見つけたたらしい雛鳥さんは薄い本のようなものを手にして言った
「あ、その…まだ…」
「そっか まぁ中々決まらないよね あ、店長これ買うね」
そう言って雛鳥さんは本を差し出した
「毎度ありがとうございます 蚊帳ノさんでしたか、もしよろしければ他のギターもご覧になりますか?」
「あ、いえ… これ以上長居するのは雛鳥さんに申し訳ないので…」
「ボクは全然いいけど?」
雛鳥さんはそう言ってくれたけど私には見つけられる気がしなかった
雛鳥さんのお会計が終わったら帰ろう、そんな風に思った時だった
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そんな言葉ではない音が聞こえた気がした
「あ、あの… 奥にもギターって…」
「あることにはありますが……」
「見せてもらってもいいですか?」
なぜかは分からないけどどうしても見ないと違う見つけないといけない気がした
「もちろん構いませんが…」
そう言って案内してもらった店の奥にはボロボロのギターばかりが並んでいた
「これって…」
「ここにはまだリペアが完了していない個体、あるいはもう手の施しようのないギターしか置いてないんですよ」
その言葉の通り割と乱雑に置かれたギターたちはどれも修理の途中で中には素人の私から見ても完全に直しようのないギターもあった
どう見てもこの中に私が探しているギターはない
それなのにどこか胸の奥で不思議な感覚が芽生えていた
ここになら私の求めている何かがあるようなそんな…
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それはただそこに置いてあるだけだった
他の楽器とは違い少しだけ埃を被ったような、綺麗とはあまり言いづらいような状態だ
六本の弦のうち下の二本は少しだけ錆びている
しかし丸みを帯びたその体にはうっすらと、しかし確かに存在感のある杢目がある
くすんだ金属製のパーツに錆びはなくこれといった傷もない
きっと前の持ち主が相当丁寧に扱っていたんだろう
その姿に思考が引き込まれた
私はまるで月明りを曇らせるかのような薄暗い色のその姿を見て
「朧・・・」 そう呟いていた
「・・・それが気になりますか?」
どこか神妙な面持ちで店長さんに聞かれた
さっきまで薄れていた思考が現実に引き戻された私は驚きながらも
「あ、はい・・・」
なんとか肯定の言葉を口にする
それを聞いた店長さんは難しそうな顔で言った
「そのギターですが、あまりオススメはできませんね・・・」
「初心者向きじゃないとか高いからとか…ですか?」
「いえ、物自体は中堅者向けなので扱いやすさや値段の問題ではありません」
店長さんはそのギターに手をかけて言った
「端的にいえば…このギターが呪われているからです」




