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第四章 コミュ障陰キャぼっちにも青春はありますか? 第十一節

それは導きかあるいは誘いか?

恐る恐る中に入るとそこには無数の楽器が並んでいた

正直、あまり綺麗とは言えない置き方だったけれどそんなことが気にならないぐらい並んでいる楽器はどれも綺麗で一つ一つきちんと磨かれていた

「すごい…」

「でしょ? 蓬ちゃんならこーゆーの好きかなって思ってさ」

自信満々に胸を張る雛鳥さんはどこか嬉しそうだった

「見たこともないようなギターがたくさんある…」

ストラトにレスポール、テレキャスターやそれ以外にも変わった形のギターまであった

今まで部活の備品しか使ったことも見たこともなかったけれどこうしてみると本当に…

「一言でギターと言っても色々なギターがあるでしょう?」

「!?」

背後から聞こえた声に驚いて振り返るとそこには年配の男性が立っていた

足音も気配もなく近づいていたその男性は側に立てかけてあったギターを手にするとすぐそばのテーブルに寝かせた


「店長いたんだ」

「店長なのでね… それよりこんな時間に来るなんて珍しいですね」

「まぁね、サボりってやつかな」

特に隠す様子もなく話す雛鳥さんにその男性は特になにかいうわけでもなく頷いた

「あなたらしいですね…」

「それはボクらしいってこと…にしておこうか」

「ところで今日はどうしたんですか? 友達を連れて来るなんて珍しいじゃないですか」

雛鳥さんは思い出したようにそうだったと言って私の腕を掴んで引き寄せた

いきなりの出来事に驚きつつも抵抗したつもりがあっさりと店の奥…二人が話していたスペースまで連れていかれる

「この子のギターを探してるんだよね」

「雛鳥さん!?」

「ん? どかした?」

私が焦っている理由が分からないと言わんばかりに不思議そうな顔でこちらを見つめてる

その表情に一瞬、ドキッとしながらも私は小声で言った

「あの…ギターって私の?」

「それ以外ないんじゃない?」

「でも… そこまでお金もないし…」

そもそも学校帰りにギターを買うなんて想定していないからお金も大して持っていない

それに学校に行ったはずがギターを持って帰るのだってどうかしてる

大体、学校もサボったわけだし…

「大丈夫! たぶんお金はなんとかなるから!」

「それはそれで心配…」

妙に自信ありげな雛鳥さんの言葉が逆に怖くなってくる

そんな私をよそに店長さんは早速ギターを持ってきた


「とりあえずどんなギターの形状がいいか見ていきましょうか」

「あ、あの…」

「今使っているのはストラトでしょうか?」

とても穏やかでしかし私が口をはさむ隙もなく問いかけてくる

その言葉に私は素直にはいとしか答えられなかった

「でしたらストラトをお探しで?」

「あ、いえ… どちらかというとレスポールです…」

「なるほど… 好きなギタリストが喪っていいるからとかでしょうか?」


その言葉は私の頭の中を見透かしているみたいだった

実際、レスポールと呼ばれるギターがいいと思ったのはギターを始めるきっかけになったアニメ…その主人公の女の子が持っているからで…

「あ、えと… そんな感じです…」

けどアニメの影響でギターを始めたなんて恥ずかしくて言えなかった

「そうですか ではこの辺りはいかかがでしょう?」

そう言って店長さんが見せてくれたのは三本のギターだった

赤に青それから茶色っぽいギターだった

「どれもブランドがバラバラですが初心者っから中級者ぐらいまでなら問題なく使えるかと思われますよ 値段的にも問題はないかと」

「あ、ありがとうございます…」

そう言って一本ずつギターを見せてもらう

こうして楽器を見るのなんてはじめてだから恐る恐る持ってみたり眺めてみたり、店長さんに促されるままギターを見ていく

見せてもらったギターは全て以前、誰かが持っていた者らしいけどどれも丁寧に管理されていてまるで新品のようだった

一本一本、じっくりと見ていくけどどれもすごくかっこよくて


けど……


「いかがですか?」

「あ、えと… すみません、せっかく見せてもらったんですが」

「もしでしたら数日取り置いて置くこともできますよ」

私のことを気遣ってくれた店長さんには申し訳ないけれど見せてもらったギターの中にはこれといった決め手になるものはなかった

ないが悪いわけではないのだけれどただ…


なにか大切なものを見落としているようなそんな気がした


私が上手く言葉に出来なくて悩んでいると店の奥から声が聞こえた



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