第四節 コミュ障陰キャぼっちにも青春はありますか? 第九節
ひび割れたガラスの上を歩くように…
この世から月曜日なんてなくなってしまえば…
そう思ったのは私だけじゃないはずだ
一週間の始まり… 週末まで続く地獄、その始まりとも言えるこの曜日が嫌いだ
なんてくだらないことを考えながら電車に揺られた
先輩のお葬式から三日、これまでバンドの誰とも連絡をとっていなかった
もしかしたら同じ電車に真凛が乗るかもしれないと期待した所もあったけど真凛会うこともなかった
結局、月曜日のそれもあんなことがあった直後の朝に一人で学校に行くことになるんなて
ほんとについてないな…
「あれ、蓬ちゃん?」
「あ…」
背中に刺さった声に視線を向けるとそこには小さな影が立っていた
「珍しいね、一人なんて」
「雛鳥さん…」
シチュエーション次第では暴力ともいえるほど美少女パワー全開の笑みで彼女…
同じ高校に通う同級生の雛鳥詩草は立っていた
「雛鳥さんこそ、早いね…」
「そうかな? まあ確かにいつも寝坊して予鈴ギリギリのボクにしては早いかもね」
「そうなんだ…」
雛鳥さんは私との距離を詰めながらそう言った
彼女の匂いどころか体温まで伝わってきそうな距離感のせいで上手く話せない…
「でも、早く来てよかったかもね 蓬ちゃん、一人だったし」
「あ、うん… 真凛はまだ来てないみたいだから…」
「バンドの子だっけ? そっかそっか…」
どこか納得したように呟いた雛鳥さんはおもむろにスマホを取り出すと何かメッセージを送っているみたいだった
「これでいいか…」
「雛鳥さん?」
「あ、ごめんごめん ちょっと家族から連絡があってさ…」
そう言ってスマホを制服のポケットにしまった
いつも通りの雛鳥さん…だと思うけど今日は何処か…
「雛鳥さん、何か…焦ってない?」
「ん?」
私の言葉に彼女は一秒にも満たない僅かな間、足を止めた
「ごめんね、私の勘違いだと思うんだけどなんていうか…」
「蓬ちゃん、探偵とかスパイに向いてるかもね」
「へ?」
雛鳥さんのその言葉は冗談…とは受け取りにくい声だった
「ううん、なんでもない 最近物騒だからさそれで周りを気にしてたからかな…」
「そう、なんだ… でもまだ朝だし大丈夫じゃないかな? 人もそこそこいるし…」
「…あの事故のことなんだけどさ」
「…」
学校までの道のりをあと半分ってところで雛鳥さんは切り出した
まさか彼女からその話題が出されると思っていなかった私は言葉が出なかった
「実を言うとボクも亡くなった花音先輩とは少しだけ面識があるんだよね」
「……うん」
雛鳥さんはそういうと黙ってしまった
私もなんて言ったらいいのか分からなくて、立ち止まったまま沈黙だけが流れていく
聞こえるはずのない腕時計の針の音が聞こえるみたいだった
もういっそのこと、授業に遅れるって言って学校まで行ったほうが良い気がする
けど、そのたった一言が吐き出せない
たぶん、雛鳥さんは私に声をかけたのには何か理由があるはず…
そう思った矢先だった
彼女はゆっくりと私のほうを向いて囁くように言った
「ねえ蓬ちゃん、学校サボるって言ったら付き合ってくれる?」
「……へ?」




