第四章 コミュ障陰キャぼっちにも青春はありますか? 第一節
思い出したくない現実は過去に置いていきたいのに…
運命はそれを許してはくれないのです
17/20 ・ 20/06
目が覚めるとそこには知らない天井があった…なんてどこかのアニメみたいな感想を述べるのはさすがに不謹慎だろうか
かすかに思考が乱れた頭を撫でながら辺りを見渡すと誰も居なかった
しょうがない、だってこの場で私にかまえるほど誰も暇じゃないんだ
そんな感想を抱きながら寝かされたソファーの隣に置かれたスマホを取ろうとするとその上に一枚のメモが残されていることに気が付いた
そこには、先に会場に行ってるからもし来れそうなら連絡してと書かれている
正直、自分がどうして倒れたのかその理由に心当たりがあったから迷ったけど別に体調が悪いわけではなかったからそのメモを残した人物に連絡をすることにした
17/20 ・ 20/19
少しだけ時間を遡る
私、蚊帳ノ蓬は同じ高校の生徒会会計である田村松子先輩に詰め寄られた
聞かれた内容は先週の金曜日に発生した大規模な事故のことについてだった
ちょうどその日は軽音部でおなじバンドに所属する小林真凛が体調不良で倒れてしまいその対応で事故についは何も知らなかった
けど、先輩はどうやらその事故に軽音部の蓮見恋先輩が関わってると思っているらしく私は彼女の質問攻めから中々逃げ出せずにいた
たまたま通りがかった生徒会長の助けもあってなんとかその場はやり過ごせたけどその時の会話の続きはあまりにも受け入れられないものだった
「うちの役員が不快な思いにさせてしまい申し訳ない」
「あ、いえ… そんなことは…」
田村先輩の姿が見えなくなった後で生徒会長は深々と頭を下げた
「言い訳にしかならないがあの事故の件で田村は自責の念にとらわれてるところがあるんだ 今回、君に執拗に近づいたのもそのせいだろう」
「えと…何かあったんですか?」
会長の言った事故の件という言葉が引っ掛かった
さっきから話題に出ている事故は学校から少し離れた場所での出来事、つまり本来なら桜水高校の生徒が関わることはないはずなんだ
にもかかわらずあれほど事故のことで話を聞いてきたり責任を感じていることに違和感があった
「聞いていない… いや、蓮見たちもまだ知らなくても仕方ないか…」
「あ、えと…」
「どのみち明日には分かることだ君たちにも関係があることだから伝えるがこの件は口外禁止で頼む」
そういうと会長は真剣な表情で私に伝えた
「実はあの事故に本校の生徒が巻き込まれた可能性がある… いや、巻き込まれたと言った方が正しいな」
「えっ……」
一瞬、その言葉の意味が理解できなかった
だってあの事故現場と学校はそれなりに距離が離れているし最初に巻き込まれた可能性があると行ってから巻き込まれたって言い直したことにも違和感があった
それじゃまるで…
「あの、その巻き込まれた生徒は大丈夫なんですか?」
恐る恐る聞き返した
本当はなんとなくその先の言葉が理解できていたのに頭が脳がそれを想像することを強く拒んでいた
「…事故の日から家族への連絡もなく行方不明だったらしい 警察の捜査から事故現場付近での目撃情報が見つかり、あの事故では身元不明の遺体も多数あった」
「…」
「どの遺体も原型を留めないほど悲惨な状態だったらしいが今朝、ご家族からの提供でDNA型が一致したらしい」
それはつまり、あの事故に同じ学校の生徒が巻き込まれて亡くなったことを意味していた
「あの… それって…」
それが誰なのか気になってしまった
それが野次馬的な心理によるものだったのならきっと軽蔑されるものだったし私自身も自らを責めることができた
けど、あまりにも状況が出来過ぎていたんだ
田村先輩が私にあの事故のことを聞いてきたこと
それを生徒会長が止めて本来なら口外禁止のこの話を教えてくれたこと
つまりそれは…
事故に巻き込まれたのが私の知り合いだったかもしれないってことで…
「時に、ルールを逸脱しないとならない時もある…」
「あ、えと…」
「気にするな、こちらの話しだ」
そういうと生徒会長は呼吸を落ち着かせ、普段と変わらない冷静な声で告げた
「あの事故で亡くなった生徒の名前は梅田花音、蚊帳ノと同じ音楽部の生徒だ」




