第四章 コミュ障陰キャぼっちにも青春はありますか? プロローグ
終りこそ一瞬の出来事なんだ
いつだって…
17/20 ・ 20/06
ざあざあと雨が振っている
とても五月蠅くてとてもうっとおしい
それなのに…そんな雨音を消すみたいに
わんわんと泣いている
いかないでと叫んでいる
真っ白な棺の中には、つい、このあいだまで元気だったはずの人が眠っている
眠っているはずだ
棺の窓は固く閉じられて、その中を覗くことは家族でさえも許されないらしい
それほどに酷い有様だったのだ
それほどに惨い最後だったんだ
彼女の苦しみを痛みを想像するだけで胸の奥が痛んだ
けれど私の目は周りの人たちのようには濡れなくて
熱もなく そこに人の心はないみたいだった
それが冷たくて、同時に怖くもあった
まだ六月なのに…
冷房が効きすぎていて寒かった
無数に飾られた菊の匂いとそれを遮るような百合の匂いが肺を満たした
炊かれた線香の煙が混ざってきて
息が苦しく、重くなっていく
段々と呼吸が浅くなるみたいで…
ちくたくと時計の秒針が進むたびに意識が遠のきそうになっていく
ちくたく・ちくたく・ちくたく・ちくたく
進み続ける秒針と朦朧とした意識の間で私は…
順番がきて、立ち上がろうとしたその時
視界が揺れて地面に倒れ込んでいた
薄れかけた意識の中で声が聞こえた
まるで雨音のような、囁くようなや優しい声で
「今までよく頑張ったね」
その人は百合のような匂いと雨音のような声をした
優しい魔女だった




