第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第八十七節
花は濁れと散り逝く者と
「あ、えと… 雅さんのことですか?」
あまりにも唐突な質問に思わず聞き返す
先輩は表情を変えることなく静かに頷いた
「そう、れ、蓮見さんから聞いてるでしょう?」
「…なんとなくは聞いています でも、詳しい事情までは知らないです…」
「…なら次の質問、先週の金曜日、蓮見さんはあなたたちと一緒にいた?」
さっきと同じで表情を変えずでもどこか苛立ったように先輩は言った
余裕が無いような焦っているようにもみえる、私はこれ以上機嫌を損ねないように数日前の出来事を思い出す
その日の出来事は意識的に思い出す必要なんてなかった、だって先週の金曜日といえば真凛が倒れた日のことだったから…
「金曜日なら部活に参加してたのは私達だけで先輩たちは誰も来ていないですけど…」
「はぁ… そう、なら次の質問…」
「ちょっ… ちょっと待ってください…」
矢継ぎ早に繰り出される質問に思わず声をあげた
「あの…質問の意図が見えないんですが…」
さっきから私に直接関係のないことばかり聞かれているように感じる
雅さんの件もそうだけどあの日、蓮見先輩が一緒にいたかどうかという質問も理解できなかった
「失礼ですが田村先輩って音楽部にいたんですよね なら部活のローテーションで学年とバンド毎に音楽室を使える曜日が決まってることはご存じなんじゃ…」
「余計なことは言わなくていい あなたは私の質問に答えていればいいの」
「すみません…」
投げかけた疑問に対するカウンターであっさりと怯んでしまう
けどやっぱりどこか様子がおかしい… 田村先輩と直接話すことはこれがはじめてだけど蓮見先輩から聞いていたイメージとはどこか違っていた
「とにかく今は時間が惜しい、金曜日の事故の件は知ってるでしょ?」
「あ、はい…」
「あの事故のことで蓮見さんから何か聞かれたりしなかった?」
「いえ、特には…」
そう答えた直後に思考が止まった
性格には他の事、真凛から聞かされた家山さんの話を思い出してそれ以外のことを考えられなくなっていた
「聞いてる?」
「あ、えと… すみません」
「はぁ… すみませんじゃなくて… ほんとに事故のことは何も聞かれてないの?」
「あ、えと… そうです」
次第に先輩との距離が近くなってきた
どうやら無意識のうちに私のほうに近づいてきてるみたいだ
「あの…」
「よく思い出して」
「思い出せと胃荒れても… ほんとに何も聞かれてないので…」
じわじわと学校の塀に追い込まれていって逃げ道がなくなっていく……
「田村、いい加減にしろ」
どうしようかと思ったその時、ふと声が聞こえた
声が聞こえたその方向をみると大柄な男性…生徒会長が立っていた
「会長… どうしてここに」
「それはこちらの台詞だ 退校時間はもう過ぎているのになぜまだ学校の近くをうろついているんだ? しかも下級生に執拗に詰めよっているようにも見えたが?」
生徒会長は着けていた腕時計で時間を確認しながらそう言った
それを聞いた先輩は反論しようとしたけど彼女よりも先に生徒会役員が口を開いた
「お前があの件で居てもたってもいられない気持ちは分かるが生徒会役員という自覚を忘れるな それと、もし俺の後任を狙っているなら俺からの信用も重要視すべきだと思うがな」
「…申し訳ありません 失礼します」
そう言い残して田村先輩は足早この場から離れていった
「うちの役員が不快な思いにさせてしまい申し訳ない」
「あ、いえ… そんなことは…」
田村先輩の姿が見えなくなった後で生徒会長は深々と頭を下げた
「言い訳にしかならないがあの事故の件で田村は自責の念にとらわれてるところがあるんだ 今回、君に執拗に近づいたのもそのせいだろう」
「えと…何かあったんですか?」
会長の言った事故の件という言葉が引っ掛かった
さっきから話題に出ている事故は学校から少し離れた場所での出来事、つまり本来なら桜水高校の生徒が関わることはないはずなんだ
にもかかわらずあれほど事故のことで話を聞いてきたり責任を感じていることに違和感があった
「聞いていない… いや、蓮見たちもまだ知らなくても仕方ないか…」
「あ、えと…」
「どのみち明日には分かることだぢ君たちにも関係があることだから伝えるがこの件は口外禁止で頼む」
そういうと会長は真剣な表情で私に伝えた
「実は… あの事故 ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////」
「あっ…… え……」




