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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第八十六節

歯車はとっくに動き始めている


君はどちら側だ?

「ただいまー」

「あ、真凛おかえり! それに蓬ちゃんも」

音楽室に入ると綾乃が声をかけてくれた、私はそれに返事をしてさっきまで座っていた席に着いた

「それでバンド名はどう? 決まった?」

「うーん それがやっぱりまだなんだよね」

真凛からの質問に綾乃は答えた

音楽室の隅では大倉くんと天城くんがなにやら難しそうな顔で悩んでいた

「あの二人はどうしたの?」

「うーんなんか全員のイニシャルからバンド名作れないか考えてるみたいなんだけど…」

ノートの切れ端やルーズリーフを何枚も広げて書き込んでるみたいだ

「千日手…」

その様子を見て私が呟くと真凛と綾乃がこっちを見てきた


「あ、えと… どうかした?」

「あ、いや さっきの『せんにちて?』って」

「あーえと… 先に進まないみたいな… 息詰まってるみたいな? もともとは将棋の言葉なんだけど今の状況ってそんな感じだなって…」

弟の若菜が将棋をしてた時に言ってた言葉を思い出して呟いていた

「そうなんだ、やっぱり蓬ちゃんの言葉選びってなんかいいよね」

「へ?」

「うんうん それはアタシも思ってた やっぱこういうのは蓬が適任じゃない?」

余計なことを言たせいで歌詞の時みたいに私が考える流れになってきた

「あ、えと… そんなことはないというか… ところで綾乃はどう?」

「え、私!?」

なんとか切り抜けようとして苦し紛れに綾乃に話題を振った

綾乃は困惑しながらもぞもぞと何かを言おうとしている

「私…は…」

綾乃がその名前を口にする前に下校を促す鐘の音が鳴った

「え、もうそんな時間!?」

驚いた真凛の横で伸びをしながら天城くんが近づいてきた

「そういえば職員会議で完全下校時間が早いんだったっけか? どのみちさっさと下校しないとまた生徒会からなんか言われそうだしさっさと帰るか」

「それもそうだね ひとまず机と椅子だけもとに戻そっか」

私達は後片付けを済ませて正面玄関に向かった


「あ…」

学校を出て少ししたタイミングで私は呟いた

「どうかした?」

「あ、えと… 忘れ物、したみたいで…」

「え、マジ? 取りに戻る?」

「あ―うん でもここまで着ちゃったから先に駅に行ってて、電車にはたぶん間に合うだろうから」

気にしてくれた真凛には申し訳ないけど私一人で行かなくちゃいけなかった

私は足早にさっきまで歩いた道を戻って行くそして学校に着いた私は校門を通り過ぎて裏口へ向かった


「急に呼び出してごめんなさい」

「あ、いえ… こちらこそ遅くなってすみません…」

校門を曲がった先に立っていたのは二年生で生徒会の田村松子たむらしょうこ先輩だ

「それにしてもあんな手紙でよく来てくれたわね」

「その…」

「ごめんなさい、言いづらいわね 従わないとどうなるか分からなかった…あなたの性格からしてそんな所でしょう? でも脅かすようなことをしたこちらに責任があるからそこは謝罪します」

「いえ… そんな…」

頭を下げた先輩に私は困惑した

どうしてこんなことになったかというと帰る前、私の下駄箱に田村先輩からの手紙が入っていたからだ

『一人で校門近くのの脇道まで来てほしい』ただ一言それだけが書かれた手紙

差出人の名前はあったし知らない人ではなかったそれに先輩が言った通り無視したらどうなるか分からない恐怖があったのも事実だった

だから私は真凛に嘘を吐いてまで一人でここに来たんだ


「それで、用件って…」

恐る恐る尋ねた私に先輩は辺りに誰もいないか見渡してから言った

「あなた達音楽部の一年生はどこまで知ってるの?」

「あ、えと… なんのことでしょうか?」

質問の意図が分からなくて聞き返す

すると先輩はかすかに症状を険しくして言った


「一年前のことについて… 雅先輩の事件のことどこまで知ってるの?」



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