第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第八十二節
星の名を紡ぐ時
「ところでさ…」
なんやかんやで歌詞も決まったところで真凛が唐突に口を開いた
「どうかしたの?」
「バンド名ってどうするの?」
「…あ」
大倉くん以外の全員の声が重なった
「すっかり忘れてた…」
「ああ、さすがに二回目のライブでバンド名ないのはマズイもんな」
綾乃と天城くんが顔を見合わせて言った
バンド名のことは私も完全に忘れていた
バンドを組んだばかりの時は夜中にバンド名の候補をノートに書いてはいたけど色々ありずぎてそんな場合じゃなくなってた
「バンド名か…真凛は候補とかある?」
「ごめん、最近それどころじゃなくて考えてなかった」
「そうだよな、悪い」
申し訳なさそうに俯く真凛、それに気づいた天城くんがすかさずフォローする
微妙に重くなった空気の中、一人でベースを弾いていた大倉くんが口を開いた
「バンド名とかどうでもよくないか?」
「大事だよ! せっかくバンド組むんだからバンド名は決めないと!」
気だるそうに言い放った大倉くんに綾乃がすかさず反論した
綾乃が強く反論したのは珍しく思ったけど私もバンド名を決めることには賛成だった
「私も… ちゃんとバンド名は決めたい、かな」
「…まあ、好きにすればいい」
「そういう龍弥はバンド名の候補とか…ないか」
大倉くんは演奏をやめてべーうをスタンドに立てかけた
「なんだと?」
「いやー 昔からお前って絵のセンスはあっても言葉のセンスはないからなー」
煽るように言った天城くんに内心ひやひやしつつそれを聞いた天城くんはやはりどこか不機嫌そうだった
「そこまで言うならお前はどうなんだ?」
「俺は特にはないかなーって こういうのはやっぱ蚊帳ノさん辺りが得意なんじゃね?」
「え、ちょっ…」
いきなりこっちに話しが振られた!?
その瞬間いつもより鋭い大倉くんの目が私を捉えた(怖い…)
「さっきの歌詞もそうだけどやっぱ蚊帳ノさんのほうがセンスある気がすんだよなー」
「センスの有無はどうでもいいがお前に馬鹿にされたのは癪だな」
「怒った?」
天城くんの意図は分からないけどあまりにも正面から大倉くんを煽るから段々と場の空気が悪くなってきた(胃が痛い)
しかも私のことまで話題に出されるからなおさら他人事ではなかった
「てことでさ龍弥もバンド名考えたらいいんじゃね?」
「なんで俺がそんなこと…」
「こういうのってバンドメンバー全員で考えたほうがいいっしょ」
今にも殴りかかりそうな勢いの大倉くんに対し天城くんはいつも通りの口調でそう言った
「それに、なんでもいいとか言っておきながらあとで文句言われても嫌だしさ」
「…」
「ってことで今日はバンド名決めるってことでいいかな? 蚊帳ノさん」
「あ、えと… 私はいいけど…」
天城くんにの子t場に反射的に頷く
どうして私に?って思ったけどまるで私の思考を読んだみたいに天城くんは
「蚊帳ノさんがリーダーだからさ、勝手に話し進めちゃったから念のため」
「すみません…」
形式上でも私がリーダーだからこういう時ちゃんと話をまとめないとダメだったなと反省した
「ん? なにも謝ることなんてないけどな」
「いや、その… 私がちゃんとまとめないと…ダメ…だったので」
「んー あーそういうことかー」
何かに気が付いたみたいに天城くんは頷いた
「蚊帳ノさんはそのままでいいと思うよ」
「あ、えと…」
「時間もったいないしさっさとはじめようっか」
そう言って天城くんは私のそばから離れていった
私なんかより天城くんのほうがリーダーに向いてると思うんだけどな…
そんな想いがかすかに心の奥に芽生えたけどそっとしまっておくことにした




