第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第六十三節
開戦のアイズ
「メイリンちゃん!?」
予想だにしない人物の登場に綾乃と私の声が重なった
「なるほど そういうことか…」
口元に手を当てて何かを察したように天城くんが呟いた
そして大倉くんは黙ったままだった
「メイリンちゃんが先輩たちのバンドに入るの?」
「そうデス! 正確にはサポート?お手伝いですが入れてもらえることになりマシタ!」
綾乃からの問いかけにメイリンちゃんは答えた
「そう…なんだ あの、今回のライブってたしか…」
「対バン形式ね」
綾乃の疑問に双葉先輩が答える
綾乃の声からはどこか不安が感じられた
「対バンてことは先輩たちのバンドと一緒にライブするってことですよね?」
「そうね それと今回はどっちのバンドが良かったのか投票もする予定ね」
ライブの形式は事前に伝えられていたものと変わらないようだった
対バンもライブ後の投票も綾乃を含め私たち全員が承諾したことだったけど…
「メイリンちゃんと…」
「そこまで気を張る必要はないわ 対バンで対決って言っても客観的に見た周りの評価を知るためのものだから優劣をつけるものではないし それにこの子には悪いけど恋と違ってバンド初心者ならむしろそっちにも勝算が生まれると思うのだけれど?」
私の腕に抱きついて話を聞いていない様子の、メイリンちゃんを横目に双葉先輩が言った
かくいう私もメイリンちゃんに気を取られてあまりよく聞いてなかった…
やれやれといった表情の双葉先輩、そんな彼女に竹本先輩が声をかけた
「たぶんその見立ては間違いだと思うけど?」
「どういうこと?」
不思議そうに聞き返した双葉先輩をスルーして竹本先輩が近づいてきた
正確には私にではなく私の腕にくっついてるメイリンちゃんにだった
「ねえ 学校中の噂になっていたけどあなたが楠五月ってほんと?」
「はい? そうデスがドウかされましたか?」
そんなやり取りの直後、座っていた双葉先輩が飛び上がった
「はあ!? ほんとなのそれ!?」
「ん? どうかサレマシタか?」
自分のことなのに無関心なのか不思議そうに首を傾げたメイリンちゃんを双葉先輩はまじまじと見つめた
「たしかに顔も声もそっくりだけど…」
角度を変えてじっくりと見渡す
なにが気になるのか分からないけど信じられない様子だった
「でもほんとにそうだとしたらどうして桜水に? 楠五月なら中国の高校か日本なら東京とかのほうに通いそうだけど…」
「それはもちろん蓬とけっ…」
間一髪位のところでメイリンちゃんの口を塞いだ(物理)
へんな所で遮られたせいで先輩は腑に落ちない様子だったけどそれ以上の追及はなかった
「でもたしかに朝霧さんの相手が楠五月は荷が重いか…」
難しそうな顔で双葉先輩が呟く
それを聞いた綾乃は
「でも、このタイミングでライブを延期するわけにもいかないですしそれにメイリンちゃんもやる気満々みたいなので…」
「メイリンは蓬とライブができるならなんでもダイジョウブです!」
一歩前に踏み出してメイリンちゃんは言った
尚、未だに腕を捕まれたままなので私もつられて前に出る
「まあ朝霧さんが良いなら… 他の人はどう?」
「オレは問題ないですよ ユゥさんとライブとか普通なら絶対できないだろうし」
「俺も問題ない 誰とライブをするとしたところで正直どうでもいい」
天城くんと大倉くんが交互に答えた
私も二人に便乗するように大丈夫です都だけ答える
それをきいた双葉先輩は
「そう なら小林さんは? 問題ないかしら?」
「問題ないですよ 推薦したの私なんで」
「それもそうね じゃあこの件は決まりってことで」
双葉先輩は私たちの目を見て最終確認をした
それから再び椅子に座ると
「改めて確認するけどライブは弐週間後、それぞれのバンドが交互に演奏を行なう対バン形式で実施 ライブ後にお客さんにどっちのバンドの演奏がよかぅたのかを投票してもらう」
先輩の再度の説明に全員が頷いたことでこの場での話し合いは終了した




