表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】おこもり奇譚  作者: 小浪来さゆこ(森原ヘキイ)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/37

あいつだったら、いいと思う⑤


『……筒井? 本当に?』

「なんだそれ。俺の偽物に会ったことあるのか、お前」

『はは。そういうんじゃないけど、びっくりしてさ。この前、俺が聞いてもそっけなかったのに、何で今日になって別の陸上部員を経由してまでアドレスを教えてくれる気になったんだ?』

「あのときは、必要性を感じなかっただけだ」

『なら、今は緊急を要してるってことだな。……何があった?』



 携帯の向こうで、在里の声が真剣みを帯びる。つられたように、俺もそこで一度言葉をきり、小さく息を吐いた。

 何かあったのは、お前のほうだろ。そう責め立てたくなる気持ちを抑え、俺は手短に用件だけを告げる。



「今からお前と会って話したい。どこにいる?」

『今から? 自宅近くの公園にいるけど』

「名前は」

『足高公園』

「……そこに、墓地は?」

『あるよ』



 ――足高公園墓地。

 空狐とのおちゃらけたやり取りの中で、かろうじて得ることができた唯一の情報。ユキの母親だと思っていた女性が眠る墓地の名前が在里の口から出てくる。

 

 単なる偶然とは、もう思えなかった。




***




 足高公園へと向かうバスの中。後方の席を陣取った俺は、背負っていたデイパックを膝の上に抱えると即座に携帯を取り出した。ユキがもそりと顔を出すのを視界の隅で捉えながら、先程まで在里と連絡を取るために使っていたレインを再び立ち上げる。


 送信先を変えて、僅かに震える指で文字を打っていく。在里に会うまでに、最後の確認をしたかった。

 なにぶん、気まぐれなキツネなので、真面目に答えてくれるかどうかはわからないが。何かをして、気を紛らせたかったというのもあるのかもしれない。



『ユキのおかあさんは』


『ありさとそうまですか』



 長い時間が過ぎる。いや、実際は一瞬だったのか。


 やがて、世界の出来事のほとんどを知っているらしいカミサマのようなキツネの答えが――文字として、届く。



『おめでとう』



『がんばって』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ