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理を統べる転生者~獣耳少女(嫁)を守ります~  作者: ナギ@にわか
生贄の子狐
20/30

19話『能力任せは格好悪い』

ちょっと遅くなりました!

エニファの事が少し出てます。

あと、アース・スターノベル大賞に応募したんですけど、見てくれる人増えますかね?

 あと、どのくらいで王都に着くのだろう。


「……する事、無い……」


 その気持ちは分かるぞ、フィエナ。


 朝の攻防を終えて、朝食を摂り、出発してから5時間が経っている。

 出発したのが7時なので、もうお昼時だ。

 しかし、今通っているのは森の中にある道なので、抜けてからにしたい。


 一応言っておくと、馬車を引いてるのがエニファなのは変わっていない。夜に話した時、やりたいと言っていたし、他の移動手段も無いのだ。

 なので、女の子に馬車を引かせてもセーフ……だと思いたい。狼だからいいだろ。


「そうだよねー、フィエナちゃん。面白い事でも起きないかなー?」


「おい、それは洒落にならないからやめてくれ。とんでもない事になったらどうするつもりだ。」


 俺の右側に座ったフィエナに、シエラが話しかけているが、それにツッコミを入れていた。


 席順としては、右からシエラ、俺、フィエナだ。反対側にも席はあるのだが、俺の隣をどちらが座るか話し合った結果、無理じゃなければ3人で座るという結論になったらしい。

 実際に3人座っているが、隙間はほぼない。いくら2人が細くても、常に肩が触れ合うくらいには狭くなる。普通は2人で座る席なのだから。


 そういえば、エニファの事で分かったことがある。

 まあ、シエラから聞いた話なので、俺が気づいた訳では無いのだが。


 種族が?になっていたり、能力が普通だった理由は、神獣特有のものだそうだ。産まれた際、最初から大きな力を持たせると、母親にかかる負担が大きくなり、ステータスやスキルが子供に奪われてしまう事もあるという。

 なので、産む際は種を施し、1年ほどで発芽するらしい。……種や発芽という呼び方は、研究者が考えたものなので、気にしない方がいい。


 それよりも、どうやって種が育つのか、というのが重要だ。本来の場合だと、母親の余剰魔力を吸収し、種族やスキル、ステータス等の情報を得るのだ。魔力にそこまで情報が含まれている、というのが驚きである。


 ちなみに、余剰魔力というのは、魔力が最大値になっている場合に、体に纏うような形で溢れている魔力の事だ。


 で、どうして重要かというと、だ。

 エニファの場合は、何らかの原因で、母親とは1年経たずに離れてしまった。

 なのに、こんなタイミングで発芽したのはおかしいだろう。

 そこで、1番有り得るのは、俺の魔力が発芽させた、というものだ。


 シエラ曰く、理の覇者の影響で、魔力の質が神に近くなった可能性があるんだとか。

 あるいは、俺の体がシエラの本気によって作られたものらしいので、それが魔力の質に影響を与えているかもしれない。


 俺の魔力は、最大値が多く、その分余剰魔力も多い。その大量の魔力をエニファが吸収して、発芽に至ったのではないだろうか。


 ただし、母親と同じスキルやステータスではないので、あまり強くはならなかった。その代わりに『ステータス自動成長』が出て、俺の栄養たっぷりとも言える魔力を、常に吸収出来るようにしたのだろう。


 これが、シエラから教えてもらった情報と、俺なりに考えてみたものだ。


「魔力を吸収……まあ、余剰魔力だけだから、そこまで早くは成長出来ないんだよな。」


 俺がボソッと呟いた言葉に、シエラが意地の悪い笑みを浮かべる。


「そうだね。更に言うなら、近くにいないとダメだしね。……抱きつくみたいに。」


 それくらい近くじゃないと、ダメらしい。

 というか、掘り返さなくてもいいんじゃないかと思う。どうせ今日の夜は一緒なんだし。

 ……こっそり、ベッドから抜け出したらバレないだろうか?


「……森、抜けたみたい。」


「それなら、もうすぐ昼飯だな。」


 どう返すか迷っていた所で、フィエナが話を変えてくれたので助かった。


『主様、ちょうど良さそうな場所があります。止まりますか?』


『ああ、頼む。何時間も歩きっぱなしで疲れただろうし、ゆっくり休もう。』


 馬車が止まったので、さっそく昼食の準備をしようと思う。適当に魔法で平にして、その上にシートを敷く。


「料理、ですか。お手伝い出来そうに無いですね……」


 人の姿になったエニファが来ていたが、落ち込んでいた。

 変化する時って、黒い魔力に包まれて見えないんだけど、服はいつ現れているんだろうか。

 魔力で作ってるのか、それとも、服も変化に含まれているのか……あ、服と含ってダジャレで言ったんじゃないぞ。


 というか、落ち込む必要は全くない。

 俺以外、全員まともに料理した事ないんだから。そういう俺も、スキルが無ければごく普通の男料理しか作れないだろうけど。


「……お昼は、何作るの?」


「卵ふわとろの親子丼だ。」


 朝は、ハムとチーズ、マヨネーズを挟んだサンドイッチを食べた。日本に居た時、それを朝食にしていたので、同じものを食べようと思ったのだが、マヨネーズがやたらと美味くなってしまった。加工していないのに。

 きっと、混ぜ方とか、割合が良いんだよな、うん。


 それはともかく、朝は軽めだったということもあり、昼はガッツリ食べれる丼物にしたのだ。


 作り方は普通の親子丼と同じようにやっていく。ただし、火加減や卵のふわとろ具合は、料理スキルのおかげで凄い事になってるが。


 いざ、実食。


「ちょー美味しいよ!」


「……モグモグ……」


「あ、主様!美味しいです!」


 うん、美味い。

 食レポとか出来ないし、美味いとしか言い様がない。というか、フィエナに関してはずっと食べてる。

 エニファは、初めて料理と呼べるものを食べたんだから、仕方ないとしても、シエラは言い過ぎだと思う。料理スキルがあるとは言っても、普通の作り方なので、極端に美味しくはなってないはず。


 そこからは、後2時間くらいで王都に着くとか、エニファは冒険者ギルドに登録出来るのか、なんていう事を話つつ食べ終えた。


 ……フィエナだけは黙々と食べていたが、よく食べる女の子っていうのは、いいと思う。


「ちょっと、素振りでも……」


 食後の運動をするために、俺が立ち上がって黒薔薇を抜き放つと、何故か、3人ともこちらを見ていた。


「なんで見てるんだ、気になるだろ。」


「だって、急に言い出すから。」


 まあ、確かに、急ではある。

 その理由は、時々襲ってくる魔物達を倒している時、ステータスに振り回されている気がしたからだ。

 最初の速さですら、慣れるまでに時間がかかったというのに、更に上がってしまった。別に悪いことではないが、強敵との戦闘があるかもしれないし、何より格好悪い。


 そんな訳で、素振りから始めてみようと思ったのだ。


「まあ、なんとなく体を動かしたくなったんだよ。気にすんな。」


 だが、そんな事を言っては余計に格好悪いので、適当な言葉で誤魔化す。


「……気にはしないけど、見てる。」


「そこは変わんないのかよ。」


 まあ、良いけどな。


 まずは『身体強化』と『魔刃』を使って、戦闘時と変わらない状態にする。


 次に、軽く振ってみる。


 ――ビュン


 ん?ちょっと違和感があるな。

 3人に見られているので、少し緊張しているのかもしれない。


「スー、ハー……」


 深呼吸をしてから、もう一度振る。


 ――ヒュッ!


 今度は上手くいった。

 音が出ている方が迫力はあるが、振った時に速かったのは2回目の方。速いのに音が小さいという事は、それだけ剣筋に乱れが無いという事なのだ。


 納得のいく音になった所で、本格的に始めよう。『天駆』を発動して、空中に立つ。

 本当は、地上で本気の素振りでもしようと思ったのだが、それでは面白くない。なので、いつかのサイクロプス戦のように跳び回ってみることにした。


 そこで、見てて楽しいものを考える。


「あ、そうだ。」


 いい事を思いついた。

 魔石を取り出した俺は、複数の付与を施し、空中に浮かべた。


「あの魔石、なんでしょう?」


 離れたところからそんな声が聞こえてきた。

 それは、すぐに分かる。


「ゲームスタート!」


 次の瞬間、魔石から火の球が飛んできた。


 ……俺だけに。


 もちろん跳んで避けるが、それでも追いかけてくる。そして、次々と球は増やされていく。


 これは、空中戦を考慮した訓練でもある。

 付与したのは、火魔法と、それを俺の魔力を察知して追尾する機能。そして「ゲームスタート」で始まるようにした。止まることは無い。


 永遠と追いかけっこをするだけでは意味が無いので、増えていく球を黒薔薇で斬る。かなり小さいので、正確さも重要だ。

 速度が出るように付与したので、俺が全力で移動しても追いかけてくる。音を置き去りにしているのにも関わらず、だ。


 常に100個近くある球を、次々と斬っていたのだが、始めてから20分程で消えてしまった。よく見ると、いつの間にか魔石から魔力が無くなっていた。そこまで大きくなかったせいだろう。


 まあ、速さには慣れたので問題ない。

 満足して下に降りていくと、3人が近づいてきた。


「どうだ?面白かっただろ?」


 笑顔でそう言った俺だったが、フィエナの顔が赤い気がする。


「私は見えなかったけど、多分、2人は見えてたんじゃない?」


 あ、しまった。

 見えるかどうかは考えていなかった。


「速かったです!なんとか見えましたけど、ちゃんと見えたのはフィエナさんだけかと……」


 でも、見えたんだな。

 フェンリルなのが理由か?いや、目がいいのかは知らんが。


 それにしても、やはり、先程から顔の赤いフィエナが気になる。

 何故か、更に近寄って来る。


「……真剣な顔が、カッコ良かった。」


 顔が至近距離に……


「んっ!?」


 思いっきりキスされた。


「「あー!」」


 2人の声が聞こえるが、それどころではない。

 キスはキスでも、舌を絡めてくるし、纏う雰囲気がやばい。


 口を離すと、それを嫌がるかのように銀の糸が……


「よし、出発しよう、それがいい!」


 シエラとエニファに見られていたのが恥ずかしくて、そう言った俺は馬車に乗り込む。

 渋々、といった様子ではあるが、準備は出来たようなのでエニファに合図をする。


「……やっぱり、2人部屋にしたい……」


 フィエナが小さく呟いた声は、俺以外には聞こえなかったのだろう。そして、俺も聞こえないふりをしておいた。


 ☆


 つい、やってしまった。


 先程のナギサの様子を見て、我慢しきれずにキスをしてしまったが、少し落ち着いている。


 何故、そんな行動に出たのか?

 その理由は、ダンジョンでの事を思い出してしまったからだ。

 黒薔薇を振るうナギサの顔が、シグマから守ってくれた時のものと重なって、愛おしく感じていた。


 ハーレムになったとしても、私が1番ならいいかと思っていたのに、今となっては独占欲が強くなっている。


「……やっぱり、2人部屋にしたい……」


 そう呟いてしまうのも仕方ないだろう。

 四人部屋にすると、この疼きが解消できないのだから。だが、自分も賛成してしまったので、今更だめとは言えない。


「……もっと、積極的にいく……」


 いかにすれば求めてくれるか。

 考えている内容が、時々口に出していたのに後から気づいた。


 しかし、フィエナが口に出していた言葉を、全部聞いて、戦慄していたナギサには全く気づく様子は無かった。


「「……どうすれば良いんだろう……」」


 全く違う方向にではあったが、奇しくも同じ言葉を発する2人。仲がいいのは間違いない。

いや、設定考えるのに時間かかりますね。

それと、フィエナちゃんがあっさりハーレムを認めているので、少し独占欲を……


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