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消えた南方領 ~神秘の伯爵と13の始~

5月18日 7時9分 神奈川県横浜市 貞永大学医学部付属病院

「ちょっと、遠くない?」

「仕方ありません。救助者は6時時点で1万2355人、関東は愚か、北陸や東海の医療施設にも収容しなければ全く追いつきませんよ。」

「…関東圏に収容できる施設があっただけ幸運か…」


久慈屋は、糸目で優しげな顔をした背広の好青年と、人気のない病院を静かに進む。窓がない廊下に差し掛かると開院前でまだ照明が全てついてなくて薄暗い。夜ならただのホラーのような雰囲気だ。

好青年は厚労省の幣原。彼は対策本部のメンバーで、今回の南方領救出作戦の救助者保護の監督者に任命された。


救助活動はまだ終わっていないが、18時間前よりは状況は大分マシになった。

なにせ、日本南方太平洋海上全てで”要救助者”が発生した。それも一度に。

海保は東北から九州までのほぼ全船、海自も横須賀、神戸、呉、佐世保から可動可能な艦船を動員した。

もちろん、航空機も全て出ている。むしろ、航空機のほうが稼働率自体は高かったかもしれない。

しかし、彼らだけでも手に余る状況に苦慮した結果、民間の海運会社や漁協に”協力要請”を行った。

発見次第可能であれば救助、あるいは即通報。救助した場合は最寄りの海保または海自のところまでという内容だ。この異例な処置が功を奏して、なんとか救助と捜索を両立することが出来た。

通報による無線の錯綜と電話回線のパンクは、ご愛嬌と考えておこう。


この病院に収容された南方領の人物も、伊豆大島で漁船に救助された一人だった。

救助後は漁協にて一時保護。早い段階で目を覚まし、移動も可能であると判断されたため、海保のヘリで横浜まで運ぶことになった。その過程で、彼が”南方領主”であることが判明して少し混乱したのも愛嬌にしてほしい。


久慈屋はその時のちょっとした騒動を思い出しながらため息をつく。

そしてふと後ろに目をやる。そこには王国の魔法狂女約2名が落ち着き無く歩いていた。

そういえば、こちらの医療機関を見るのは初めてだった。大病院に行ったことがある人ならわかるだろうが、入院病棟の廊下というのは、移動ベットなり、心電計なり、得体の知れない医療器具だったりと言うのが置かれていることが多い。それらは、彼女たちにとっては非常に興味をそそる。主に知欲的な意味で。


久慈屋は、そんな二人に念の為釘を刺す。


「えーと、リリー、アミナ?」

「「…なに?」」

「ここ、”他所様”の施設だから、おとなしくしてね?」

「「…はーい。」」


受け入れ要請に応じてくれたとは言え、ここは政府でも久慈屋たちの研究所でもない。だからこそ、彼女たちを連れてくるというのは少し躊躇した。ただ、リリーは高名な学者であり国王とも懇意にしてる重要人物で伯爵に合わせるには申し分ないし、アミナは今回の救助作戦の立役者だ。

二人が”行きたい”と言えば、Noとは言えなかった。


流石に彼女たちも事情は理解しているからか、廊下の角を曲がるごとに新しいものがないかキョロキョロと見回す以外の不審な行動はしていない。病院側も配慮してくれて、人目のないルートを案内してくれている。

ちなみに、案内する病院職員がアミナの顔を見たときに少し声を上げたのはいつものことだ。

なので、アミナは今フードを深く被っている。


久慈屋たちはエレベーターに乗る。そして、動き出すときにリリーが少し声を上げた。

…あれ?この娘、エレベーター乗ったことないのか?…



7時17分 


「…ここ?」

「はい、そうです。」

「豪華な病室だね?」

「”警備上”の問題が有りまして。」

「…費用は?」

「早く補正予算が欲しいですね。」


久慈屋たちが部屋の前に到着する。そして、久慈屋がその部屋の入口を見て正直な感想を述べた。

なにせ、普通の個室ではありえないだろう木目調の引き戸がそこにあった。

付近の廊下は”カーペット敷き”だ。味気ないリノリウムなどではない。

この病室は、いわゆる”VIP”が、健康ドッグなどを1日かけて受ける際に入院する特別個室だ。

普通に選択すれば、1日あたりで二桁万円は下らない。”天下の大学病院様”でも、それは破格と言える。

そこで久慈屋の質問だ。それに幣原は優しげな笑みを浮かべてジョークを返してくれた。

まあ、普通の個室に入れるわけにも行かないだろう。久慈屋は割と高額納税者だが、その点には理解を示す。

幣原が扉を2回ノックする。そして、声を掛けた。


「失礼します。」

「…どうぞ。」


男性の声で返答がある。多分、領主ではないだろう。

幣原が引き戸を開け、久慈屋たちが入室する。

まず目に入ってきたのは、白衣の男性。こちらはすぐに身元がわかる。

そして、その奥の豪華な入院ベッドにいる中肉中背のナイスミドルな白髪の初老男性。

その視線はすべての物事を静かに見定めようとする、独特の雰囲気を放っていた。


「こんにちは。私が主治医の今藤です。」

「よろしくお願いします。厚労省の幣原です。で、こちらが…」

「JHEL所長の久慈屋です。今回の件全ての調査を請け負っています。」

「よろしくお願いします…そちらは、もしや…?」

「…ウェスト嬢に、フェルデン大隊長ですか。お久しぶりです。」


主治医今藤との挨拶を幣原と久慈屋が行う。

そして、久慈屋たちの背後に控えるリリーたちを見て声をかけようとした。そこに南方領主が割って入った。

バン伯爵の言葉に、リリーたちは彼の元へ歩み寄り、簡単な挨拶と会話をする。


「お久しぶりです、バン伯爵。」

「ご無事で何よりです。」

「…ええ、”お互いに”ね。」


王国人同士、無事を確かめ合う。ここ最近の王国人のお決まりの挨拶だ。

三人が一言、二言、言葉を交わした後、バン伯爵が久慈屋たちに視線を送る。

早速本題に入ってもいいという意思表示だ。これ幸いと久慈屋は頷く。

そして、バン伯爵が横たわるベットの横にある、豪華な入院病室にふさわしい綺麗な木製の椅子に腰掛ける。


「…さて、バン伯爵。今日は少しお話を伺いたく参りました。」

「どうやら、その様子では”忌事”を撤廃したようですな。」

「…わかりますか?」

「ええ。なにせあれは”嘘”ですから。」

「…は?」


バン伯爵は怖いほど全てを見透かしていた。久慈屋の語り口調から、リリーが危険を犯してまで自身の世界伝わる神話を開示したことを。それらは公の場で語れば、原理不明の古代魔法により災いが降りかかるという、南方領からの強いお達しがあったものだ。

それを、バン伯爵は真っ赤な嘘であると、いとも簡単に暴露してしまった。

その時のリリーの表情と言えば、悲壮感と混乱が入り混じった名伏し難いものになっていた。

そんなリリーを久慈屋は少しだけ気遣い、言葉をかける。


「…まずは、”一発目”だな。」

「ちょっと意外すぎたわ。正直、混乱してる。」

「…どうやら、少し長丁場になりそうですな?」

「ええ…今藤医師、大丈夫でしょうか?」


今藤医師が、雰囲気を察して久慈屋に言葉をかけた。彼には主治医として、バン伯爵の体調に気を使う責任がある。だからこそ、その”断り”を入れてほしいと、暗に訴えたのだ。

それを察した久慈屋は、無表情で、少し態とらしく今藤医師にバン伯爵の容態を聞く。

それに彼は流暢に返答してくれた。


「ええ。バイタルは安定、CTなどにも特段異常ありません。1ヶ月以上”仮死状態”だったことからくる体の怠さはあるようですが、普通に考えればその健康ぶりが”異常”ですよ。」

「では、2〜3時間ほど、お時間いただきます。」

「…わかりました。何かあればナースコールか、直接お呼びください。私は医局におりますので。」


3時間以内であれば問題ない。今藤医師が退出することを告げたのは、そういう意味だ。

あえて紋切り口調で制限を言わないあたり、医師としての経験値の高さを感じさせる。

今藤医師は速やかに部屋を出て医局へと戻る。

それを見届けた久慈屋たちは、改めてバン伯爵へ向き直った。


「…さて、そうですね…まずは、バン伯爵が伺いたいことから始めましょう。」

「…よろしいのですか?」

「ええ。そのほうが、”信用される”かと思いまして。


こちらもやりようはちゃんと考えている。

久慈屋は、そのためにまずバン伯爵の疑問を解消することにした。

もちろん、その意図さえも正直に話すのは信用を勝ち取るためだ。

バン伯爵は少しだけ口に笑みを浮かべて久慈屋を見て、質問を始めた。


「わかりました。では、まず確認になりますが、”あなたたち”は、魔法が使えませんね?」

「ええ全く。」

「全くというのは、根源魔法である五柱の息吹も無理ということですよね?」

「…その”五柱の息吹”の詳細を存じ上げませんが、”魔法”という技術自体が存在しません。もちろん、それに付随する学識の体系もありません。」

「なるほど…やはり、そうですか。」

「…ああ、念の為補足しますが、”魔法”という概念自体は存在します。ただし、それは創作の話です。つまり…失礼かもしれませんが、その使用というのは絵空事のそれに近いです。」

「…つまるところ、おとぎ話、ですか…」


まずは軽い質問から。やはり領主の立場にある貴族だけあり、物事の進め方を心得ている。

全く油断はできないが、久慈屋はバン伯爵との会話をやり易いと感じていた。

彼はかなり知恵が回り、そして冷静沈着。救出時も落ち着き払って、泣き言の一つも言わなかったと、救助した漁師たちが証言していたという。


言ってみれば、”賢者”という概念を体現しているような人だろう。だからこそ、”来る時は来る”。

その雰囲気をわかり易くしてくれているのは、彼の優しさか信用の現れだと、久慈屋は理解することにした。

少しだけ鋭い目線を送りながら、バン伯爵が質問を続けた。


「では次です…お答えにくいかも知れませんが、我々が”融合”することになるきっかけをご存知でしょうか?」

「…王国などが出現する直前に、”ある事故”が起きました。我々は、それが間接的な要因であると推測しています。」

「ほう?…詳しく、お聞かせ願いますかな?」

「もちろん。」


ほら来た。久慈屋は予想通りの質問内容に楽しささえも覚え、口元を綻ばせかける。

もちろんそんな表情を見せる訳にはいかない。咄嗟に顔を作り、久慈屋たちの研究所が起こした”事故”の内容を簡潔に説明する。


この話をすると、大多数の王国人は決まって警戒心が高まる。なにせ、自分たちがこの世界に来たのは彼らのせいであるとしか思えなくなるからだ。この話を聞いて、警戒や不満をそこまで示さなかったのは…リリーとアミナだけだ。彼女たちは、それよりも興味のほうが遥かに勝った例だ。

ただ、バン伯爵もその”超少数派”に入りそうだ。なにせ、彼はブツブツと久慈屋の説明を脳内で反芻している。そして、時折あーでもない、こーでもないと自問自答を繰り返していた。

何を考えている…いや、”どんな説を構築しようとしているのか?”。久慈屋にはそう見えた。

そうなると、流石にその後の反応は予想がつかない。久慈屋の表情が少し固くなる。

そんな彼の感情は気にせず、考えの纏まったバン伯爵はゆっくりと顔を上げて、一つずつ確かめるように話し始めた。


「つまり、あなたたちの…なんというか、”裏の物質”を格納する装置の暴走で、”表の物質”との衝突による膨大な力が発生したことが、その引き金になったと…」

「…概ね、その理解で正しいです…こちらの世界でも、この技術は相当に”理解が出来ない”類のものでして…大まかながらもその概要を捉えられただけでも感服致します。」

「…正直なお褒めに感謝致しましょう…さて、本来であれば全てを破壊し尽くしてその力を放出するはずだったそれの”跡地”に、王都が”融合”したのですね?」

「ええ。そうですね。ただ、その原理は全く解明できていません。」


”螺旋型加速器及び反物質生成格納機構”の暴走。本来であれば、ソフトボール大の反物質の対消滅反応により、秩父山塊は直径数十kmのクレーターとなり、関東圏は地獄絵図となって日本は亡国の危機。最悪、箱根のマグマ溜まりまで達して破局噴火も誘発した可能性がある。さらに、巻き上げられた土砂はジェット気流にのり地球を覆い、20年前後にわたり平均気温を4度下げるはずだった。もちろん、久慈屋もジルも文字通り”素粒子レベル”で消し炭になっていただろう。


ただ、現実は違う。加速器のあった場所は新たな地質の下へと埋まり、破局的な事態は発生しなかった。

世界中への”特異物群出現”と引き換えに。全くもって謎。その一言に尽きる。

説明を終えた久慈屋は、少しだけ汗をかいていた。

なにせ、自信の汚点をさらけ出すのだ。相応に勇気がいる。口を滑らせたら大変だ。

ただ、次は久慈屋のターンだ。気を取り直し、バン伯爵に声を掛ける。

…未だに考え込むような表情をする、伯爵の様子が少しだけ気になる。


「…では、我々の質問も、よろしいでしょうか?」

「いいでしょう。まず、何からお伺いしたいので?」

「なぜ、大防魔を発動させたんでしょうか?」


久慈屋最初の疑問だった。いくら魔法といえども、大それた内容のものをおいそれと自動発動させることは出来ないという。つまり、術者の意思がなければ、それは顕在し得ない。

であれば、その切っ掛けは何だ?

それが”あるなら”、何らかの手がかりになるかもしれない。

総合的に考えた結果、久慈屋はまずこの答えを知りたくなった。

ただ、その質問に対するバン伯爵の反応は、なんとも予想外のものだった。

彼は徐々に破顔させると、堰を切ったように笑いだしたのだ。


「ふふっ、ははは…」

「…どうやら、”なにかに気づいた”ようですね?」


すぐに久慈屋はその様子を見て、一つの可能性を導き出す。

バン伯爵は聡明だ。だから、自信に何が起こったかを、克明に記憶しているはずだ。

そして、それらを理にかなった形で再構成することもできるはず。

考えは正しかったようだ。久慈屋はバン伯爵のさらなる返答を待つ。

しかし、その内容は本当に予想を遥かに超えていた。


「ええ、”あなた達だけが、原因ではない”ということにね。」

「…えっ?」


久慈屋は伯爵の返答を反芻する。原因ではないってどういうことだろうか?

…流れから一番しっくり来るのは、”出現”したことを指していると考えるのが妥当だ。

でも、”あなた達だけが”というのは全く理解できない。

久慈屋の表情は思考の闇へと沈み、眉間の皺と忙しない脳の活動に寄る散漫な眼球運動を誘発する。

その様子を楽しそうに見るバン伯爵は、嬉々としてその理由を説明してくれた。


「説明しましょう。我々が大防魔を発動したのは、”東から”異常な魔力の波動…魔波浪が到来したからです。」

「…東?」

「ええ、東です。」


バン伯爵の説明では、南方領都で朝の執務に勤しんでいると、突然日の昇る方向から、つまり東から大きな魔力のうねりを感じた。あまりの力にすぐさま警戒を発布し、大防魔発動の準備を行ったという。

久慈屋は”東”という点がどうも気になっていた。なんでここまで引っかかるのか?

東…南方領都は王都の真南…王都…王都の地中に格納容器…

ここ数日の出来事による点と点が線となり始めたとき、久慈屋の表情は驚愕に支配され始めた。

そして、声を上げずには居られなくなった。


「…ああ!」

「ああ!?」

「「えっ?」」


久慈屋と一緒に声を上げたのはアミナだった。もちろん、久慈屋とバン伯爵は怪訝な表情を返す。

アミナが慌てながら説明をする。彼女も、転移前に王都郊外で演習していたところ、”東側”から同じようなうねりを感じたという…それを今まで忘れていたとも。

超重要な情報の忘却という現実に久慈屋は少しうんざりしつつも、本題に戻った。

なぜなら、位置方角と目撃証言からして、”何かが王国の東側で発生した”可能性があるのだ。


「…そっか、もし私達の格納容器が問題なら、王国を中心にそれが生じてるはず…それが東からというのは…」

「帝国か…?」

「まあ、その可能性が高いわね…」


ジルと久慈屋が考えをまとめる。王都と格納容器が、別次元上の類似座標にあったのであれば、そのエネルギーは、彼らの世界では王都を中心に広がるはずだ。しかし、彼らの世界ではその形跡は王国では発生していなかった。

東側といえばあるのは一つ。そして、それは帝国が何らかの”先進技術”を使用した可能性を意味する。

久慈屋はふと青森で会ったあの二人を思い出す。未だ日本にいるだろうか…?

久慈屋が”手筈”を考えていると、突然ジルが叫び始めた。


「…あああああ!ちょっと待って!?それなら計算できる!!」


ジルは自分のバックからラップトップを引っ張り出して床に乱暴に設置すると、地べたに這いつくばってキーボードを叩き始めた。彼女は、この事態に巻き込まれてから、その発生シミュレーションを何度も組み立てようとしていた。ただ、どう計算しても格納容器の反物質のエネルギーでは、別次元の世界を引っ張り込めるだけの力を出せないでいた。


計算は5分ほどで完了したようだ…これ、まさかラップトップじゃなくて”自分”で計算したな?

そりゃあ、そんな大規模演算、ラップトップごときでできないよな。

ということは、PCは用紙代わりか…久慈屋はジルの悪魔の脳に畏怖の念を抱く。


「できた…!」

「…できたってのは、解と証明が完了したってことだよな?」

「うん!これなら多次元の境界が破綻するはず!」


ジルのラップトップには、計算式の羅列が並んでいた。もちろん、この場にいる人員で、ジル以外にその意味を理解できるものは居ない。ただ、彼女はそれを見越してかしっかりとシミュレーションツールにそれを仕込んでくれていた。そこには、日本付近と米国の帝国付近で同程度のエネルギー放出が発生した場合の影響描写がループ再生されている。そして、その再生完了時には”Success”と表示される。

つまり、シミュレーター上では、その数値で今回の事態が起こり得ると判断したのだ。


久慈屋は苦い表情となった。なぜなら、これで帝国が相当な”大量破壊兵器”を有している可能性が出てきた。そんな国が寄りにも寄って米国に現れたとは、なんという皮肉だろうか?

これは至急アダムを呼び寄せる必要がある…流石にこれは話さないとまずい。


一つの仕事が片付くと、仕事が倍々になる。久慈屋はそんな毎日にため息しか出なかった。

…ふとあることに気づいた。そういえば、バン伯爵は、自分たちがこちらに現れたことを、”転移”と言っていない。

そこでまた疑問が沸々と湧いてきた。これは解消したい。

久慈屋はあえて態とらしく、これ見よがしにバン伯爵に聞いてみた。


「…あれ?なんで伯爵は”融合”ってわかったんですか?」

「おや、気づきましたか…そうですね、あなたたちは”信用できそう”です。ウェスト嬢にフェルデン大隊長もいらっしゃるので丁度いいでしょう。”全て話します”。」

「…全て?」

「ええ。我らの世界の始まりである、”13の始”ですよ。」


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