初めての仲間
都市アストラの騒ぎが収まってきた頃。
クレアとゼルクは都市の外へと逃げていた。
「はあ、はあ、ここまで来りゃ追っても来ないだろう」
息を切らしながら言う。
大きな木の影に腰を下ろす。
「そっそれで…さっきの続きなんだけど」
クレアもだいぶ疲れた様子でゼルクを見る。
「なんで私を助けたの?」
「だから、さっきも言っただろ?仲間を探してたんだ」
「仲間って…ギルドに行けばもっと普通の人を見つけられたはずでしょ?なのになんで、竜種の生き残りと言われ王に殺されそうになっていた私を?」
「俺はな」
ゼルクは顔を上げる。
「お前が竜種かどうかなんてどうでもいいんだ」
「ただ、決めつけられて殺されそうになっているお前が放っておけなかった」
「え?」
「怖くなかったの?」
「何が怖いんだよ。そもそも、俺は竜種がそう言われる意味がわからない」
「クレア、お前も少しは疑問に思うだろ。なぜ竜種だけが恐れられているのか。」
「…うん」
「…私、自分のこともまだよく分かってないんだよね。みんなに竜種だって言われてるけど…でも、竜種は絶滅したんだよね?それもずっと前に。それなら、私は一体誰なんだろうって」
クレアは少し不安そうな顔で言う。
「なんで、こんな世界になっちゃったんだろうって」
「…これはあくまでも俺の考えだが」
「この世界には本当の歴史が隠されているんじゃないかってさ」
「本当の歴史?」
クレアが首を傾げる。
「ああ」
「…もし、本当の歴史っていうのがあるのなら、私もそれに興味があるのかもね」
クレアは少し笑う。だがあまり信じていないような顔で。
「私は知りたいんだ。なんで竜種が悪って言われ続けるのかさ」
少しの沈黙の後、ゼルクが口を動かす。
「なら…興味があるのなら…」
ゼルクは立ち上がる。
「一緒に探しに行こうぜ。この世界の真相を」
「そっか…だから私を助けたのかな」
「ふふ、良いよ。私も探したい。そして自分を知りたい。」
クレアはにっこり微笑んだ。
ゼルクは手を差し伸べる。
優しい風が木々を揺らす。
「改めて、よろしくね。ゼルク!」
そう言って、クレアは手を取った。
二人の旅は、ここから始まってゆく。
読んでいただきありがとうございます!
これから始まる旅を、ぜひ楽しんで読んでいただければ嬉しいです!




