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逆襲は断頭台より愛をこめて  作者: てんてんどんどん@★貴方に復讐を捧げましょう コミカライズ開始


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4話 お互いのための嘘

「ありがとうございます。お母さま」


 そう言って私は嬉しそうにはにかんで母からのプレゼントを受け取った。

 籠に入ったペットのスライムだ。


「ふふっ。いいのよ。喜んでもらえて嬉しいわ」


 そう言って嬉しそうに目を細めるセリナ。


 ――あれから結局。

 私は記憶をなくしたセリナの娘を演じてあげることにした。

 こちらがいくら情報を開示しても、向こうが娘の一点張りなのだ。

 だったら、娘を演じてあげるほうが効率的と判断したのだ。

 彼女は娘を失った事実を知らなくてすみ、私は衣食住が保証される。


 ――そうよ、これはお互いにとってWin-Winだわ。


「でも、不思議ね。今は魔物を飼うのが流行してるのね」


 と、ぷにぷにした小型のスライムを見て言う。


 ゲーム上ではマスコットキャラとして扱っていたため、貴族の令嬢の間でスライムを飼うのが流行りだしたという設定になっている。

 彼女にとってはそれが珍しいのだろう。


「はい。とってもかわいいです」


「それはよかったわ」


 私が嬉しさを装って、はにかんで言うと目を細めて笑うセリナに少し胸が痛む。

 けれど、事実を知ったところで悲しむだけだ。

 私は仕事に出かけるという彼女に別れを告げて、部屋に戻る。


「ペットと二人だけで遊びたいの。お部屋に入るときは必ずノックしてくれる?」


 私が侍女に言うと、侍女がはいかしこまりました。とニコニコ顔で出て行った。


 彼女達にとっては、大人ぶっていたのに子供みたいに遊ぶ姿を見られて恥ずかしいという、子供のわがままに見えているのだろう。


 けれど、一人になりたいのはちゃんと理由がある。


 私は目の前にあるスライムが入った籠を見る。

 水属性のため水色のかわいいスライムだ。


 ――準備よし。


 私は、別の日に母にねだっていた、水属性の指輪をつけた。

 回復の指輪。

 転んだ時に擦りむいた傷を治す程度の力しかない水属性の回復魔法が使える指輪。


 ――この指輪ならMPを減らすことなく魔法が使える。


 そして目の前には水属性のスライム。


 これは開発者としての裏技知識なのだが、スライムは属性の魔法をかけると、通常で魔法を使うより魔法レベルが上がりやすい。

 このゲーム、本体レベルのほかに、魔法は別でレベルが存在している。


 本来はもっと上位な魔法を使わないと魔法レベルは上がらないのだが、この方法なら回数は多くやらなければいけないものの、魔法レベルは上がりやすくなる。


 ――毎日の積み重ねだけれど、力がほしいのは10年後。

 それまでには水魔法のレベルはかなり稼げるはずよ。


 魔法レベルだけなら宮廷魔術師を上回れるほどの。


 そう、私が転生したのは、断罪され回帰をするゲームであり、今はまだ断罪前。


 このままでは断罪されてしまう。


 断罪だけならまだいい。


 それだけなら生き返れる。

 問題は――。


 回帰できた理由が、娘を憐れんだセリナが、自らの魂を使って回帰させたというものなのだ。

 このまま流れに身を任せていたら、セリナが死ぬことになる。


 ――一応、こっちの世界の義母くらいには恩は返さないとね。


 セリナは娘と一緒に行った演劇の最中に起こった火事に巻き込まれて死ぬことになる。

 避難指示をしているさなか、崩れてきた建物に押しつぶされるのだ。娘の前で。


 ――それだけは防がないと。


 指輪を見つめていたはずなのになぜかセリナの笑顔が浮かんで私は頭を振った。


 ――心配してるわけじゃないんだからね。断罪なんかされたくないだけなんだから。


 私はそう思いながら、スライムに魔法をかけはじめた。


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