エピソード9
カシャッ!
アートは背中に装着された筆を取り出しながら言った。
「ところで、俺にも名前がついたのか?」
「作戦開始」
「これからはこの身は……アートだ!」
ドカン! ゴロゴロ!
アートの宣言とともに、背後から湧き上がった絵の具の壁が入口を塞いだ。
「……! 罠だ!
「構わない、敵はたった一人だけだ!」
「それなら、鬼ごっこから始めよう~!」
その言葉と共に、アートは後ずさった
その頃、外の屋外施設
ううっ! カシャッ!
数十台の巨大ロボットが、たった一人の人間を取り囲んでいた
「こっちへ来い、残らずぶっ潰してやる」
うわっ!シュッ!
私は飛んできた腕の上に飛び乗り、全速力で駆け上がり、ロボット一台を切り倒した
「一つ」
ドカン!
後ろから飛んできた腕をジャンプで飛び越え、腕を切りながら登り、ロボット三体を斬り倒した
「一つ」
正面で躊躇していたロボットに向かって蹴りを放った
「五つ」
[ううっ……一体エデンはなぜここにいるんだ?!]
「知ったことか」
[お前……!]
ドカン!
ロボットから聞こえてくる声を無視し、素手でロボットのコアを引き抜いた
「六」
一方、アートは相変わらず鬼ごっこをしていた
「エブブブブ!捕まえないよね~?」
「あそこだよ!」
「違うでしょ?ここは?」
「あ、あそこも?!」
「隙だ!」
ドン!
アートがエージェント一人の急所を蹴り上げた
「うっ!」
「命中!」
「あそこにいる、捕まえろ!」
「おや~!逃げなきゃ~」
逃げ続けていたアートは、やがて袋小路にたどり着いた
「ここは袋小路だ!さっきからここが自分の家の庭かのように高慢に振る舞っていたくせに!」
「はい~はい~お疲れ様でした~!」
そしてその言葉と共に、壁から鎖が飛び出した
やがて鎖はエージェントたちを全員拘束した
「カット!」
「俺がやったんだ……」
「とにかく俺が勝った!」
「まあ、そうだとしよう。ところで他の連中は?」
「キム・アリムが戦っている」
「あ」
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「それを動かしたら困るから?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!じっとしてるから、そのハンマーだけはお願いだから!!!」
キム・アリムも残りの残党をすべて始末した状況だった
後日談によると
空振りして木を何本か折るのを目撃し、他の要員たちが怖くなって降伏したそうだ……
「お~ 見事に勝ったな、そうだろう?」
「アート、ディブル!二人とも大丈夫?」
「うん、エデンは?」
「さっき終わったよ」
その言葉と共に、私がドアの後ろから歩いて出てきた
「これで終わりか?」
「たぶん?思ったよりちょっと物足りないな?」
間違った言葉ではない。
思ったより少ない兵力とロボットたち、ここまで少ないとは夢にも思わなかった。
「最近、財政難でも抱えているのか?」
「……なんだか、こっちの方が少し申し訳ない気分になってきたな……」
「え? キム・アリム、ディブル、エデン、この3人は何をしていたんだ?」
「それはさておき」
私は怯えているエージェントの一人に近づき
「お前」
「えっ?!」
「 なんでアートを連れ去ろうとしたんだ?」
「えっ?!そ、それは……」
エージェントは言葉を詰まらせ始めた
「5秒あげる」
「え、えっ?!」
「5」
「ちょっと、待って……!」
「4」
「依頼!」
「依頼?」
「依頼を受けました!」
「誰から?」
「そこまで詳しくは……」
「とりあえず、知っていることを話してみろ」
「確かに『災厄の魔女』という……」
その名前に反応したのは、私ではなかった
「?! 誰?!」
「何か思い当たることはあるか、ディブル?」
「お前、さっき誰だって言ったんだ……!」
「うっ、ううっ……!」
その名前が出た途端、工作員の口から血が噴き出し始めた
「おい!大丈夫か……!」
「うわあああっ!!!!」
「エデン、後ろに下がれ!」
そして工作員の体が膨れ上がり、巨大な爆発が起きそうになった瞬間、ディブルが制止した
カシャッ!ドカン!
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そうして事件はある程度収拾され……
どころか、とんでもない被害ばかりが増えた
結局、自分の金で何とか後始末はしたが
「それで、これからあと何日くらいかかるかな?」
「2週間くらいはそうやって過ごさなきゃいけないと思うけど、ディブル?アートは10日、僕は遠くで爆発に巻き込まれたけど3日だし……エデンは……」
「僕だけ無傷だな。」
「あいつ、人間じゃないよ……」
「人間だよ。」
みんな、思ったより大きな怪我を負っていた。
近くにいたディブルとアートは思ったより大きな怪我を、キム・アリムはある程度の怪我を負った。
ちなみに私は最も近い場所で直撃を受けたが、6時間で回復した。
「それで、災いの魔女って一体誰なんだ、ディブル? 何か知っているみたいだったけど。」
「ああ、かなり詳しく知ってるよ。」
「あ、思い出した。あの超うざい名前!」
「ちょっとダサいね。」
そしてディブルは簡単な説明を始めた。
「普通、世界は天界、魔界、そして現世に分かれている。魔族は全員魔界出身で、他の種族である天使たちは全員天界出身、それ以外はみんな現世に住んでいる。」
「……?人間、魔族、天使たち以外にも、他の種族がいるの?」
「うん、妖精族とか、あの魂たちみたいに、思ったより結構多いよ。」
「本当にファンタジーみたいな世界だね……」
「めっちゃすごいじゃん!」
それぞれの反応はさておき、ディブルは説明を続けた。
「普段は各世界が互いに影響を及ぼすことはないが、たまに魔界や天界の存在が現世で悪行を働くことがあるんだ。」
「それがまさに『災厄の魔女』ってことか。」
「そう、正確な理由は分からないけど、それぞれ個人的な理由で一部が現世で暴れ回る場合がある。その中で最も有名なのが『災厄の魔女』で」
「ところで、なぜわざわざ『災厄の魔女』なんだ?」
「僕も父から聞いた話だから詳しくは知らないけど、たぶん『天魔大戦』の影響で禁断の区域となった『混沌の地』に入ったから、悪名が高いんだろうね。」
「天魔大戦って、また何?」
「天使と魔族はよく戦うって、小説によく出てくるでしょ?」
「そうだな。」
「実際にも、そのせいでとてつもなく大規模な戦争が起きたことがあるんだ。」
「いつ?」
「500億年前?」
「……?」
この地球の年齢は一体どれくらいなんだろう……?
(余談:宇宙の年齢は約138億年だ)
「じゃあ、その『災厄の魔女』ってやつは、年老いたおばあさんってこと?」
「たぶんそうだろうね。」
「正確じゃない情報だね。」
「仕方ないよ。1000年以上も捕まっていない奴を、一体どうやって見つけ出せるっていうんだ……。」
そんな些細な雑談を交わしながら、今後の目標について話し合った。
「つまり結論として、これからその『災厄の魔女』という人物は、アートや私たちのチームを狙ってくるだろうし……」
「それなら、私たちが倒すべき相手は災厄の魔女ってことか……? シンソングループに辛うじて勝ったばかりなのに……」
「辛うじて勝ったわけじゃないだろ? キム・アリム?」
「まずは情報が必要だ。」
私が口にした言葉に、皆が頷いた。
どうやら「災厄の魔女」を捕まえるには、情報収集が不可欠だろう。
しかし、シンソングループほど巨大な企業を一人で操る奴を、私たちが捕まえるには……
「……探偵事務所でも作らなきゃいけない状況だな……」
「……悪くないんじゃない?」
……何かおかしい
「探偵事務所!……が何なのかは分からないけど、かっこよく見えるね!」
「あ、ドラマで見たことあるよ。あれこれ事件や問題を解決してくれるところだよね?悪くないんじゃない?」
「私も賛成!探偵事務所なら面白そうだし、役に立ちそうだし!」
おや、これは違うな?
「じゃあ、探偵事務所の名前は何にしようか?」
「シンプルに、僕たちのチーム名にしようか?」
「賛成!」
そうして探偵事務所
{チーム・エデン}が誕生した
そして、あの時は知らなかった
あのとんでもない名前を、最後まで変えられないなんて……




