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最も暗い夜  作者: キム•じゃっか


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8/20

エピソード8

「じゃあ、行くか~?」

「おい、ちょっと待て」


シュッ!


私の言葉が終わる前に、目の前まで迫ってきた男が私に向かって筆を振りかざした

筆先から絵の具が飛び散り、鎌とコートを濡らした


「まだだ!」


シュッ!シュッ!


男が筆を振るうたびに、スーパーマーケットは次第に巨大なキャンバスのように染まっていった

ダメージはなくても、今俺を縛っているこの帯と鎖を見る限り……!


「遅い!」


ドン!


再び指を弾くと、周囲に輝く球体が現れた


「ディスコタイムだ!」


パン パパン!


色とりどりの玉が弾け、様々な色の煙幕が濃く立ち込めた

こんなのここに来てから見たこともない……!


「隙だ!」


シュッ!


声を聞いて鎌を振り下ろした場所には、絵の具の塊があった

まさか囮か?!


シュッ!


「そして……!」


ドカン!


男が全力で振り下ろした拳が、私の顎に突き刺さった


「アッパーカット!」

「クッ……!」

「ハハ! どうだ、この味は? 侵入者さん?」


あちらがそこまで本気を出してくるつもりなら……!


「ハハ、遅い~ 遅くて死にそうだ」


ドカン! カシャッ!


そして瞬く間に、私は男の眼前へと近づき、抜刀術の構えを取った


「もう手加減はしない……!」

「えっ」


シュッ!


抜刀術で振り下ろした鎌を、男は紙一重でかわした


「ふぉ~ なかなか上手いね!」


再び男が指を弾こうとしたその時


「夢にも思わないで!」


ドカン!


私が周囲のスプリングクーラーを叩くと、水が噴き出した

絵の具で物を作るとしたら……水がかかったらどうなるだろう……!


「通用しない!」


水がかかっても、絵の具たちは依然として動いていた

もちろん、私にもこういう時のためのプランBはある

私が鎌を振り下ろすと


「あまりにもありきたりなパターンじゃないか?!」


男が筆を振り回し、巨大な防壁を作った

おそらく雨によって視界が遮られるのを防ぐためだろう

もちろん、それが私の狙いだが


カンッ!


私は鎌を壁に突き刺した後


シュッ!


高くジャンプして壁を越えた


「どうやら……」

「えっ」


そして男の足を引っかけて転ばせると、男が作った壁が解除され、鎌が男の頭上に落ちてきた

私はその先端をギリギリで掴んだ


「どうやら俺の勝ちのようだ」


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


「というわけで、あれこれ理由があってとりあえず連れてきた」

「……冗談ですか?キム・エドンさん?」

「だが、こいつだってずっとスーパーに籠って野宿し続けるわけにはいかないだろう」

「それもそうだけど……」

「あの、私の意見は聞かないの?」


私はその男を連れて家に帰った


「つまり要約すると……あの子が、あなたが探していた神聖グループの書類のターゲットで?」

「うん」

「ずっとあの場所にいたら他の人たちが危険になるから、とりあえずうちへ連れてきたの?」

「うん」

「ところで、あの子に飯は食わせた?」

「いや、食べてないだろう」

「じゃあ、まずご飯を食べさせよう。その前にちょっと体を洗って」


そうこうしているうちに、同居人が一人増えた

男を洗ってご飯を食べさせながら、私たちは今後のことについて話し合った


「じゃあ、これからどうするつもり?」

「そうだな、神聖グループが崩壊した以上、特にあの子が危険にさらされることはないと思うけど」

「あるよ」


男はご飯を口に含みながら言った


「あいつらが最後に絡んできたのは、2日ほど前だったよね?」

「崩壊させた後のことか」

「その時、一人がそんなことを言ったんだろ?」


「今回連れ戻せなければ、総力を挙げてこのスーパーを壊すことになっても連れ戻す、って」


「……ちょっと大変だな」

「そうだな……? でも本社も崩壊した状況で、スーパーまで全部壊す余力があるだろうか……?」

「あるだろう、金だけは世界一を自負している連中だからな」

「それなら……またシンソングループと一戦交えなきゃならんのか?」

「たぶん、前よりずっと攻撃的に出てくるだろう」

「それはさておき……」


キム・アリムが途中で、それなりに重要な問題を投げかけた


「あの、あの子も名前が必要じゃない?」

「……僕?」


キム・アリムの言う通り、まだその男には名前がなかった

ディブルはキム・アリムの言葉に同意した


「それもそうだな……じゃあ、とりあえず名前から決めておくか?」


そうして、突然、ボロ服の男への命名が始まった


「僕!僕、思いついた!」


最初の意見は男から出た


「超神ウルトラジェネラルマジェスティ……!」

「却下」


そして即座に却下された


「……なんで!」

「長すぎるじゃん……可愛すぎるのは……ちょっとどうかな?」

「え、キム・アリムはちょっとイマイチだね」

「あの」

「じゃあ、マイティ?」

「マイティってほどじゃないけど……?」

「あの」

「超ガット・ウルトラ・ジェネラル・マジェスティがどうしたっていうの?!」

「あの」

「長すぎるよ……」

「……おい」


私が声を潜めて言うと、視線が私に向けられた


「あ、エデン?アイデアある?」

「アート」

「ん?」

「アートはどうかなと思って」

「芸術という意味の英語の単語じゃない?」

「たまにはシンプルにいくべきだろ」

「うーん…確かに口に馴染む感じはあるけど…。大丈夫かな?」


私の意見を聞いた男が、少し呆けたような表情を浮かべた


「……エデン」

「ん?」

「キム・アリム?」

「え、なんで?」

「ディブル?」

「ディアブロ……いや、まいっか」

「アート!」


指でそれぞれの名前の持ち主を指し、最後は自分自身を指した


「エデン!」

「うん」

「アート!」

「そうだね」

「キム・アリム!」

「えっ!」

「アート!」

「気に入ったみたいだね?」

「ディブル!」

「ディアブロ……ああ、まあいいか」

「アート!」


そしてその男が、いや


「めっちゃかっこいい名前じゃん!よし、俺これからはアートにする!」


アートが堂々と自分の名前を宣言した


「気に入ってくれてよかった~!」

「めっちゃいい!めっちゃ気に入った!」


そうして名前を決め、本格的に対策会議を始めた


「やっぱり建物に被害が出ないように戦うのがいいだろう?」

「うん、この前みたいに全部ぶっ壊す戦略は経済的損失が大きいからな。ところでアート、君を迎えに来ると言ってた日とか、もしかして知ってる?」

「だいたい2~3日おきに迎えに来るから、明日の夕方頃かな」

「時間が迫ってるな」

「それなら俺の鎖は使わない方がいいな」

「ああ、近接戦闘は自信あるか?」

「うーん…まあまあかな?」

「それくらいなら十分だ、大型の敵は俺が引き受ける」

「じゃあ、俺とディブルは? あとアートは?」

「お前たち3人は一緒に動かなきゃいけない」

「3人で?」

「うん、まずアートはおとりになる」

「私、名前を『おとり』に変えるの?」

「いや、そういう意味じゃなくて、敵を誘導する役割だ」

「あ~、でも誘導って何?」

「……敵が君だけを追いかけてくるようにすればいいってことだよ」

「あ、わかった!」

「ディブル、もしかして幻影魔法は使えるか?」

「うーん…… 壁があると思わせる程度なら可能かも?」

「それくらいで十分だ」

「そしてキム・アリムは……」

「私は?」

「残党処理」

「残飯処理班か……」

「だいたいこんな役割分担にするつもりだ」

「じゃあエデンは一人で戦うの?」

「様々な重装備を持ってくる可能性が高いから、あいつらは外で処理するつもりだ」


そうしてちょっとした作戦会議が終わり、戦闘の準備を始めた


「ところで、明日の朝までは時間あるよね?」

「うーん?まあ、そうだろうな」

「じゃあアート、服を買いに行こう」

「……?」

「ねえ、私この服でいいんだけど」

「それじゃ見苦しくてたまらないよ」

「薄緑色に綺麗な髪に!瞳の形も毎回変わるのに!あのぼろぼろの服を着てろって?!まともなことを言ってよ!」


そうして翌日


「だから来たの!」


現在、私、ディブル、アリム、アートの4人で服屋に来ている


「まずはこの服から!」


キム・アリムはその瞬間から、膨大な数の服を持ち込み始めた

そうしてキム・アリムのファッションショーが進むにつれ、アートは次第に疲れ果てた


「……ただ適当な服を着ればいいんじゃない……?」

「ダメ!」


そうしてファッションショーが再開されようとしたその時


「あの、もしかしてあの方はお友達ですか?」

「あ、はい!何かご用ですか?」

「ところで、あの方はうちの店の商売もよく手伝ってくださるんです。それで、服をいくつかおすすめしてもよろしいでしょうか?」

「はい、いいですよ!」

「そういえば、以前から考えていたコーディネートがあるんですが……」


その言葉と共に、店員が数着の服を持ってきてアートに着せた

ゆったりとしたズボンに作業着を連想させるベージュ色の服、そしてアクセントとしてベレー帽まで

まるで


「画家のようです!」

「はい、以前からよく筆を持ち歩かれていたので、こういう服ならいいかな~と思って」

「軽い!動きやすい!そして……!もう着替えはしなくていい!」


アートが自由を宣言した


「あ、服代は結構です!」

「えっ?!いえ、いいですよ……!」

「いいえ、いいえ。普段からあの方がたくさん助けてくださったおかげで、ここまで来られたんです。服代は結構です!」


そうして服の代金を払ないで

その日の夕方


「標的確認、服装が変わりました」

[…生け捕りにする]

「お~ 来たの?」

「予告通り、無理矢理でもお前を連れて行く」

「うん~ うん~ じゃあ……行く?」


作戦が始まった

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