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第41話:次元の番人さん、アルスの『積み木遊び』で夢中になる

宇宙全体がトランポリンのようにふわふわと弾み、重力王が体操服で三回転ジャンプを決めていたその時。


銀河系の境界線――世界の「枠組み」そのものが、巨大な「錆びた釘」のような光の杭によって、次々と打ち付けられ始めた。


現れたのは、幾何学的な立方体の仮面を被り、一切の揺らぎを許さない冷徹な秩序の化身――『次元の番人・フィクサー』の一団である。


『……警告。……宇宙の流動性が許容値を超過。……マシュマロ化、およびトランポリン化は、世界の構造的欠陥である。……直ちに「次元の釘打ち(スタティック・ピン)」を実行し、全事象を永遠に固定する』


番人たちが巨大な光のハンマーを振り下ろすたび、弾んでいた宇宙がカチコチの「静止画」のように固まっていく。


「……あ、足が動かない! 空気が……氷よりも硬く固まっていくぞ!」


父グランツが、空中で跳ねた姿勢のまま、透明な壁に閉じ込められたように静止した。イザベラもエドワード王子も、思考の回転さえも「固定」されそうな圧倒的な停止の力に、絶望の表情を浮かべた。


「……師匠。……あれは、変化を拒む『究極の停滞』ですわ。……私たちがどれだけ自由に踊ろうとしても、彼らはそれを『バグ』としてピン留めしてしう……!!」


イザベラが、自身の魔導板がカチリとフリーズしたのを見て、涙ながらに叫んだ。


だが、アルスは「うーん、おじさんたち。そんなにピン留めしちゃったら、お洋服が破けちゃうよ。……あ、そうだ! この『硬い釘』を、全部『カラフルな積み木』に変えて、新しいお城を建てちゃおう!」


アルスが、自分を刺そうとしていた光の杭に、そっと指を触れた。


【万物創造(管理者権限)】が、変化を止める「固定の理」を、根底から「組み換え可能なブロック」へと書き換える。


(えーと、この冷たくて硬い光の棒。……全部、角が丸くて安全な『虹色のブロック』に変えて。……カチッとはめるとキラキラ光る、楽しい『積み木セット』になぁれ! ……えいっ!)


パシュゥゥゥ……ッ!


光が爆発した。


一瞬にして、銀河系を繋ぎ止めていた数兆本の「次元の釘」は、一瞬にして、赤、青、黄色と輝く「世界一巨大な魔導ソフトブロック」へとリフォームされた。


さらに、アルスは番人たちの「固定しなきゃ」という強迫観念を、勝手に「一番かっこいいお城を作りたい」という創作意欲へとデバッグしてしまった。


『……な、何だと!? 我らの「永遠の静止」が……「組み立て式の知育玩具」に書き換えられただと!?


……演算不能、手が、手が勝手にブロックを積み上げようとしているぅぅ!!』


番人たちが絶叫した。しかし、彼らの叫びもむなしく、かつて冷酷に釘を打っていたその手は、アルスが作ったブロックを「カチッ、カチッ」と小気味よい音を立てて組み合わせ始めた。


「わあ、おじさんたち上手だね! あ、そっちは僕が『お菓子の塔』にするから、おじさんたちは『空飛ぶ庭園』を作ってよ!」


アルスは軽やかにブロックの上を駆け回り、番人たちの仮面に「よしよし」とシール(という名の管理者認証)を貼った。


【万物創造】の権限が、番人の「冷徹な義務感」を、一瞬にして「最高傑作を作りたいという職人魂」へと昇華させてしまう。


『……あ……ああああ……ッ!! 構築……!? 我は数億年、世界を止めようとばかり考えていが……。


……自由に組み替えて、新しい形を作るのが、こんなに……こんなに創造的で、ワクワクすることだったなんて……!!』


番人たちは、無機質な仮面を脱ぎ捨て(アルスが勝手に「職人のねじり鉢巻き」に変えた)、猛烈な勢いで銀河の端に巨大な『虹色の積み木城』を建設し始めた。


「……素晴らしい。……固定ではなく、結合! 停滞ではなく、発展! これこそが宇宙のあるべき姿だ!!」


「あはは! おじさんたち、夢中だね! ……あ、アスタくん。おじさんたちが作ったお城の中に、みんなでお泊まりできる『特大のパーティールーム』も作っておいてね!」


「畏まりました、我が主。……次元の番人たちを『宇宙建築工務店』として再編いたしました。……これで、銀河の枠組みは、いつでも主の気分でリフォーム可能な『可変式スタジオ』となりました」


アスタロトが不敵に微笑み、番人たちの権限を「世界の解体と再構築の高速化」というシステム・ツールに置換してしまった。


こうして、宇宙をカチコチに凍りつかせようとした「静止の恐怖」は、アルスの「積み木」一つで、全人類が自分好みの住処を自由に作れる「無限のDIY空間」へと変貌したのである。


「……師匠。……ついに『世界の枠組み』さえも、知育玩具になさいましたか」


イザベラが、宙に浮く巨大なブロックの結合部を、震える手で魔導板(Ver. 25.0)に記録する。


「……アルス様。……これで、この宇宙に『行き詰まり』は消え、代わりに『新しい形』への希望だけが溢れるようになりましたね」


エドワード王子が、涙を拭いて、楽しそうに銀河の壁に巨大な滑り台を増築する番人たちの勇姿を眺めた。


アルス・ルーフェウス、15歳。


彼の「遊び心」は、ついに宇宙の形さえも「積み木」へと書き換え、銀河全体を一つの巨大な「クリエイティブ・ルーム」に変えてしまった。


……だが。


宇宙が「組み立て自由」になったその時。


宇宙の「色の鮮やかさ」を管理する『彩度の審判者』たちが、この「派手すぎる虹色の宇宙」を検知して眉をひそめた。


「……色が、多すぎる。……宇宙は、もっとシックでモノトーンであるべきだ……。……直ちに、宇宙の『脱色クリーニング』を開始せよ」


アルスの銀河ドライブは、ついに「色彩の美学」を押し付ける、最もオシャレで頑固な審判者たちとの対決へと向かおうとしていた

次回本日20時更新

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