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第33話:15歳の管理者の登校、あるいは銀河の理(チャイム)

あれからさらに三年の月日が流れ、王立セント・ルミナス魔導学院の最高学年に進級したアルス・ルーフェウス。


15歳になった彼は、歩くたびに空間が浄化され、その溜息一つで枯れ木がダイヤモンドの蕾をつける、文字通りの「生ける神域」となっていた。


白銀の髪は腰まで届き、アスタロトが毎朝デバッグ(手入れ)することで、宇宙の星々を閉じ込めたような神秘的な輝きを放っている。


「……ふわぁ。アスタくん、おはよう。今日はお空の雲が『綿菓子』の匂いになってるね。……誰か、お砂糖の魔法をかけすぎちゃったのかな?」


「おはようございます、アルス様。……いえ、それは昨晩、アルス様が寝言で『甘い夢が見たいな』と仰ったため、世界の気象エンジンが忖度して糖分を散布した結果です」


執事アスタロトは、完璧な燕尾服を纏い、もはや銀河系の管理を「朝の庭掃除」感覚でこなしながら、主に至高の一杯を差し出した。


アルスがその紅茶に口をつけた瞬間、王都の上空に巨大な「虹の輪」が出現し、住民たちは「ああ、今日もアルス様が目覚められた」と拝み始める。もはやこれが王都の日常だった。


学院の正門前には、今やアルスの「親衛隊」と化したエリート生徒たちが、レッドカーペットならぬ『魔力の絨毯』を敷いて待機していた。


16歳になり、王位を継ぐことよりも「アルス様の筆頭騎士」であることを選んだエドワード王子が、跪いて校門を開ける。


「アルス様、お待ちしておりました。……本日の第一講義は『事象の書き換え』実習ですが、教材として用意した古代の石碑が、あなたの存在を感じて勝手に『全肯定のポエム』を歌い始めています」


「あはは、王子様。石碑さん、元気だね。……じゃあ、今日はそのお歌に合奏して、みんなで『空飛ぶ楽器』を作ってみようか」


アルスが講堂に入ると、そこには16歳の美姫へと成長し、アルスへの独占欲が「聖域」を超えたシャルロッテ王女が、既に特等席を確保して待ち構えていた。


彼女の着ている制服は、アルスが「よしよし」してリフォームした結果、触れるだけで邪悪な概念を消滅させる『神聖防壁』と化している。


「アルス様! 私、今日のために隣国の特産品である『魔力を吸う果実』を、あなたの魔力で『不老不死のパフェ』に作り替えていただく準備をして参りましたわ!!」


「シャルお姉さん、おはよう。パフェ、美味しそうだね! ……でも、授業の前に、ちょっとだけお部屋をリフォームさせてね。……机が硬くて、みんなの肘が痛そうだから」


アルスが指をパチンと鳴らした。


【万物創造(管理者権限)】が、学院の古めかしい木製の机と椅子を一瞬で再定義する。


(えーと、このガタガタする机。……全部、マカロンみたいな柔らかさの『浮遊する大理石』に変えて。……お勉強が楽しくなるように、ペンを持ったら勝手に『お花の香りのする答え』が浮かぶように設定して……えいっ!)


パシュゥゥゥ……ッ!


一瞬だった。講堂の全座席は、一瞬にして、重力を無視して浮遊する最高級のラウンジチェアへと書き換えられた。


生徒たちが手に持つ羽ペンからは、文字を書くたびに本物の蝶が舞い出し、教科書の内容が立体映像(3Dホログラム)となって宙を舞い、古代の魔法戦記を映画のように上映し始める。


「……な、ななな……ッ!! 学習効率が無限大に跳ね上がったわ!! 師匠、これでは一時間の授業で、人類の一万年分の知識が習得できてしまうわよ!!」


イザベラが狂喜乱舞し、魔導板に「歴史の終わり」を書き込む。


「あはは、みんなニコニコでお勉強できるね! ……さて、次は黒板を『どこでもドア』にして、お昼休みに月面別荘へピクニックに行こうか!」


「……アルス様。……もはや学校という定義が崩壊していますが、あなたが楽しいのであれば、それが全宇宙の正解です」


エドワード王子が、涙を拭いて「月面行き」の列に並んだ。


アルス・ルーフェウス、15歳。


彼の「のほほんとした学院生活」は、一秒ごとに人類の進化を数世紀分加速させ、全次元を「遊んでいれば勝手に賢くなる楽園」へと作り替えていた。

次回本日20時更新

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