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SAVE A MALL ―セーブ ア モール―  作者: 福山直木
三幕 “彼女”のために……
19/21

奔走!救世主タチ!6日目

皆様、ご無沙汰しております。


この度、作品の更新を再開しました。それと同時に今まで投稿した部分を改稿しております。大きく違うところもあったりするので、読み返して頂ければと思います。


この作品をお読みになる際、1話からもう一度読んでいただきたいと思い、前書きに書かせていただいております。


これからも福山直木の作品をよろしくお願いします。

ふじちゃんが来て一週間。

生活の中にふじちゃんが居る光景が当たり前になってゆく。

来週は僕がふじちゃんの世話をすることになっている。


書店の件でやってきた藤波さんも可愛がってくれた。

いつもここに来る時は浮かない顔をしていたため、猫と戯れる彼女の緩んだ表情を見てほっとする。


そんな彼女の店は、地元の大学生と商業高校が地域貢献の一環で手伝ってくれるらしい。しかし、期間は限られている。近隣の大学でも聞いてみたものの、それ以上の賛同者はいなかったようだ。


田中さんが質問し、それに黒田さんが答える。

「それぞれのお店で売ってもらう話はどうなったの?」

「松坂さんから許可を頂きました。面白そうだから私もやりたいと企画に協力的ですから、安心して話を進められると思います」


「売上金のことはどうなったの?」

「今のところは場所を借りるというスタンスでやることが濃厚よ。利益の一部を売ってくれたお店に分ける方向で話が進んでいるわ」


「この企画に関しては話がまとまった店から始めていく予定です」

「やっと、一歩前進だね」

田中さんは自分の事のように喜びながら、藤浪さんに微笑みかける。

「はい。本当にみなさん、ありがとうございます。頑張りますね」

藤浪さんも明るい顔で言う。


一旦休憩を取り、藤波さんを帰らせて話を再開させる。


「さて、新たな案件を持ってきたわ」

「その案件って?」と田中さんが食いつく。

「商店街の中央に位置する、とある建物を取り壊す話なんだけど…」

「私たち解体の技術は持ち合わせてないんですけど……」

田中さんがとぼけたように言うが、さらっとそれを受け流し話を続けた。

「それは業者に任せて、みんなにやってもらいたいのは跡地の活用法を考えることよ」


「そもそも、なんでこちらに決定権があるんだ?」と新井が訊く。

「耐震性に問題があるから対処してほしいと、家主にお願いしてきたんだけど、撤去期限までに取り壊しも耐震工事もできなかったのよ。そこで市が建物を撤去する費用を出す代わりに、土地の所有権を放棄してもらったの」

「そうなのか」

「市有地だから跡地の活用法は市が決めるんだけど、商店街の敷地だからこちらに任されたのよ」


今回は同時進行で進む案件があるため、担当を決めず、全員で取り組むように言われた。


とりあえず、現地を見に行くことにした。見世さんも同行する。


古いとはいえ、コンクリート造の二階建ての建物。下は店舗として使えるが、端に家財やダンボールが並べられているのみで、どれも埃を被り、生活感はない。


奥の敷地が出っ張っており、他の店舗と比べると奥行きはないが、その代わりに横幅が広い。


「もう一度建物を建てて、多目的スペースとか作れたらいいんだけど……」

黒田さんが意見を言う。

「そうよね~。整備資金は全額、委員会の予算から出さないとダメだから難しいわよね~。プレハブくらいなら作れるかもしれないけどね~」


「少しくらい負担してくれれば、もう少し良いものができるのに……」

田中さんが呟くように言う。

「そうね……でも、仕方ないわ。その余裕があれば、今頃こんなことにはなっていないでしょう」と言いつつ、通りを眺める。


お世辞にもオシャレとは言えない店が並ぶ通りは、シャッターを下ろす店も少なくない。古びた看板が朽ちているような店もある。

通りのアーケードは、長年の雨などによる劣化が進んでいる。一部は穴が開いており、シートで覆っているような状態だ。路面に敷かれたタイルも所々割れていたりする。


「街灯も直せてないくらいだからね……そんな余裕はないさ……」と、新井さんは電球が無くなった街灯を見ながら言う。


この商店街には盛り立てるための資金も、盛り上げるための元気もない。

みんな自分たちのことで頭が一杯で、再興、再生なんて二の次だ。


「取り壊して広場にするのが一番現実的ね。イベントの度に、通りに面した駐車場を借りるのも大変だし」

「とりあえず、その方向で話を進めようと思います。みんな、それでいいかしら?」

「それしかないみたいだし、そうするしかないよね」

「異論はない」

「大丈夫ですよ」


「船場くんは?」

「あっ、はい。それでいいと思います」


「では、それでいきましょう」


そうして、一旦は話がまとまった。



本当にこの商店街を再興させることができるのだろうか。

改めて現状を直視して、今まで以上に不安になる。

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