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転移したらAランク冒険者でした※ただし最低ランク  作者: 盈月
第五章 掬っても掬っても、零れていくばかりで
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Ep.105 火急の報①

「アルマスト!!」


 魔王城の一室、モニターのような魔道具にアルマストの姿が映し出されるのを見て、私はそう声をかけた。画面の先のアルマストはその声に反応し、ニコリと微笑み言葉を続ける。


「ルリさん!お久しぶりです!」

「ええ、元気そうで安心したわ。」

「これ、ジューデス?本物?」


 アルマストの隣でラズベリィが指をさし、不思議そうに尋ねる。そして彼女のそんな声に連れられるように、アルマストの後方からぞろぞろと屈強な冒険者達が姿を現す。その中のある一人の男を見るなり、私は思わず声をあげる。


「あっ、あんた!クライス!?」

「……」


 クライスは私を見るなり、苦い顔をして目を逸らす。アルマストはクライスの背中をポンポンと叩き私の方へと促した。


「今回の相手はネオワイズ盗賊団、王都勢力ですら手を焼く難敵なんだ。いがみ合っている場合ではないだろう?」

「そ、それはそうだけど……どうして私たちのために?」

「別に……仕事って言われたからやるってだけだ。割の良さそうな仕事だから乗っかるだけ、不満か?」

「いえ、ちょっと意外だったから。」


 クライスはやれやれと言った具合にため息をつき、後方へと歩き去っていく。そして彼と入れ替わるように画面外から二人のエルフが姿を見せる。


「ルリさん!」

「マルキスさん!それにガステイルさんまで!」

「マルキス……ガステイル……」


 マルキスとガステイルが現れるなり、隣にいた魔王がボソリと二人の名を呟いた。チラリと魔王の方へ目線をやると、魔王は口を真一文字に引き締めガステイルを静かに見つめていた。


「父さん?」

「……」

「魔王様に、何か?」

「……わからん。」


 ガステイルはそう言い、踵を返し後ろに戻っていく。マルキスは怪訝そうにガステイルとこちらを交互に見比べ、ガステイルを追いかけていった。

 アルマストの後ろに集まる冒険者たちはぞろぞろと数を増やしていき、およそ15人程度になった辺りで追加が止まった。その様子を見た魔王ネームレスが唸りながら言う。


「壮観だね。なかなか。」

「手の空いていたCランク以上の冒険者には声をかけました。全員を連れていくわけにはいきませんのでその中で何人かこちらで選別いたしましたが。」

「ルガル君の奪還に、これだけの人が……」

「部隊の編成も完了し、この作戦会議が終わり次第出発致します。ルガルの奪還こそ主目標であることに変わりはありませんが、竜脈の解放の阻止も大事な目的でございます。そのために集まった方がほとんどですので。」


 アルマストは手袋を深くはめる。ラズベリィが彼女の隣に立ち、こちらを静かに見つめている。しばしの沈黙を破ったのは、ネームレスであった。


「ザイリェンの冒険者部隊の敵地突入は3日後。同様に竜脈解放を阻止するための防御作戦がこちらジューデスで開始される……と。恐らく敵も戦力をふたつに分け、ダガイア土鋼要塞地帯とジューデスに投入し竜脈解放を目指すだろうという仮定のもとだったな。」

「はい……はっきり言って、ラルカンバラという特記戦力に加え他にも要注意人物を多く擁する盗賊団と我々では戦力差が大きいです。ですから、敵が戦力を二手に分散させているからといってこちらが有利であるとは限りません。」

「だからラルカンバラにはこちらも特記戦力……魔王ネームレスを当てるってわけね。とはいえ、それだけで上手くいくとは限らないけど。」

「当てざるをえません。魔王の力なしでどれだけ盗賊団と戦えるのか、そもそも魔王とラルカンバラの激突でどちらが生き残るのか、いずれも未知数ですが……ラルカンバラという男をネオワイズ盗賊団から引き剥がすことが先決です。」


 アルマストは苦い顔を浮かべながら淡々と語る。私は森での激突を思い出しながらアルマストの話を聞いていた。ネームレスはふうと息を大きく吐き、アルマストに向かって言った。


「ああ、私も同じ認識だ。結界ももう仕込んである……そうすれば、自壊効果でそちらに移動できる手筈だ。」

「改めて、ご協力感謝します。」

「ただし、瞬間移動の自壊効果は同時に1箇所の座標でしか使えない。地点のブレの原因になるから、一度しか使えないと考えていて欲しい。」

「分かりました。こちらでラルカンバラを発見した場合以外で使うことはないでしょう。」

「そうだと、いいがな……」


 ネームレスは口元を触りながら私の方を見てそう言った。私は彼女の行動の真意を読めず、怪訝な表情で見つめ返す。

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