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物語は願わない


 それから翌日(よくじつ)になった。幽体(ゆうたい)が肉体(にくたい)に戻(もど)ったショールは、目(め)を覚(さ)ました。

「シリカちゃん、おはよう」

ショールに呼(よ)ばれたシリカは、眠(ねむ)い目(め)を擦(こす)って起(お)き上(あ)がった。


 それから、皆(みな)で朝食(ちょうしょく)を食(た)べ、外(そと)に出(で)た。サボテンの怪(かい)は居(い)なくなっていたが、それにしても妙(みょう)に静(しず)かだった。

 ショールとアゲートは、ペンダントに力(ちから)を込(こ)めながら、周囲(しゅうい)を見渡(みわた)していた。

「今(いま)のところ異変(いへん)は無(な)いようだけど…」

アゲートの目(め)は茶色(ちゃいろ)になっていた。

「うん、静(しず)か過(す)ぎるよ」

シリカは、ペタライトに抱(かか)かかえられていた。

「何(なに)か近付(ちかづ)いて来(く)る…」

シリカはペタライトの腕(うで)から降(お)りた。

 すると、大(おお)きな竜巻(たつまき)と共(とも)に、砂(すな)の竜(りゅう)に乗(の)ったゾフィーが現(あらわ)れた。

「また、あんた達(たち)ね」

ゾフィーが指(ゆび)を鳴(な)らすと、ショール達(たち)が昨日(きのう)倒(たお)したはずのサボテンの怪(かい)が地面(じめん)から現(あらわ)れた。ショール達(たち)はそれぞれ鎌(かま)を持(も)って戦(たたか)うが、倒(たお)せない。

 その時(とき)、大(おお)きな鳥(とり)が近付(ちかづ)いたと思(おも)うと、一体(いったい)の怪(かい)が倒(たお)されていた。ショールが空(そら)を見上(みあ)げると、そこには悪魔(あくま)の翼(つばさ)を広(ひろ)げた女性(じょせい)が居(い)る。

「みんな、大丈夫(だいじょうぶ)か?」

「お祖母(ばあ)ちゃん!」

その女性(じょせい)は赤(あか)いメッシュが入(はい)った銀髪(ぎんぱつ)に、赤(あか)い瞳(ひとみ)をしていた。

「あなたは何者(なにもの)ですか?」

「私(わたし)は紅電気石(べにでんきせき)の死神(しにがみ)、ルベライトだ」

ルベライトは、ショールの元(もと)に降(お)りた。

「ボルトから聞(き)いてはいたが、元気(げんき)そうだな」

「お祖母(ばあ)ちゃんこそ元気(げんき)そうで良(よ)かった。そうだ、お父(とう)さんは無事(ぶじ)なの?」

「ああ、無事(ぶじ)だ」

ルベライトはそう言(い)うと、再(ふたた)び空高(そらたか)く飛(と)び上(あ)がった。

 ルベライトはショールの父方(ちちがた)の祖母(そぼ)で、死神(しにがみ)の父親(ちちおや)と死魔(しま)の母親(ははおや)の間(あいだ)に産(う)まれた。姿(すがた)こそは違(ちが)うが、彼女(かのじょ)もアゲートと同(おな)じ死神(しにがみ)と怪(かい)の子(こ)だ。

「あんた達(たち)から怪(かい)の力(ちから)を感(かん)じるわ。だけど何故(なぜ)、人間(にんげん)や死神(しにがみ)の味方(みかた)をするの?」

「私(わたし)は現世(げんせ)と冥界(めいかい)という二(ふた)つの世界(せかい)で、そこの住民達(じゅうみんたち)と共(とも)に生(い)きると決(き)めたんだ。邪魔(じゃま)しないでくれ」

ゾフィーはルベライトの話(はなし)を聞(き)いていないようだった。ゾフィーは地面(じめん)に手(て)を当(あ)て、サボテンの怪(かい)を呼(よ)び出(だ)す。 

「怪達(かいたち)の好(す)きにはさせない」 

シリカはゾフィーの目(め)の前(まえ)に立(た)ち、肉体(にくたい)を一時期(いちじてき)に成長(せいちょう)させた。ゾフィーと同(おな)じ背丈(せたけ)になったシリカは、ゾフィーに躊躇(ちゅうちょ)なく鎌(かま)を向(む)けた。


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