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物語は夢を見ない


 現実(げんじつ)に戻(もど)った奇跡(きせき)は、律花(りつか)に電話(でんわ)をした。だが、いくら掛(か)けても繋(つな)がらない。

「何(なに)かあったのかな…」

律花(りつか)は携帯電話(けいたいでんわ)をポケットの中(なか)に入(い)れ、外(そと)に出(で)た。すると、夢(ゆめ)の中(なか)に現(あらわ)れた怪(かい)の群(む)れが、現実(げんじつ)にも居(い)る。

 その中(なか)の一体(いったい)が小(ちい)さな子供(こども)を襲(おそ)った。

「危(あぶ)ない!」

奇跡(きせき)は子供(こども)を抱(かか)え、怪(かい)から離(はな)れた。

「大丈夫(だいじょうぶ)?」

「うん、ありがとう」

子供(こども)は走(はし)って家(いえ)に帰(かえ)っていった。怪(かい)は、奇跡(きせき)を睨(にら)んでいる。

「現実(げんじつ)もここまで大変(たいへん)になってるなんてね…」

奇跡(きせき)は錫杖(しゃくじょう)を取(と)り出(だ)し、地面(じめん)に突(つ)き刺(さ)した。

「『悪(あ)しき怪(かい)よ、この世(よ)の未練(みれん)を捨(す)てあるべき地(ち)へと帰(かえ)れ!』」

奇跡(きせき)がそう唱(とな)えると、怪達(かいたち)は一瞬(いっしゅん)で消(き)えてしまった。

「あんたが妖(あやかし)の血(ち)を宿(やど)す夢守(ゆめもり)ね」

その声(こえ)と共(とも)に現(あらわ)れたのはゾフィーだった。

「ゾフィー、律花(りつか)ちゃんの所(ところ)に居(い)るんじゃなかったの?」

「私(わたし)は人間(にんげん)じゃないから、違(ちが)う場所(ばしょ)に同時(とうじ)に存在(そんざい)できるのよ」

ゾフィーが指(ゆび)を鳴(な)らすと、怪(かい)の群(む)れが現(あらわ)れた。奇跡(きせき)は術(じゅつ)で怪(かい)を消(け)し去(さ)るが、追(お)いつかない。

「私(わたし)は、私達(わたしたち)にとっての楽園(らくえん)を造(つく)るの。だから、あんた達(たち)には消(き)えてもらうわよ」

ゾフィーの力(ちから)が増(ま)すと同時(どうじ)に怪(かい)はどんどん湧(わ)いてくる。奇跡(きせき)は、錫杖(しゃじょう)を握(にぎ)り締(し)め、再(ふたた)び怪(かい)に向(む)かっていった。

 


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