貴方が信じた想いの傍で
音羽は、アルフィにゆっくり近づき、鎌を握り締めた。
「おいおい、俺とやる気なのか?」
「ここは俺達の世界なんだ。お前らの好きにはさせるかよ」
アルフィは音羽と同じように空に浮かんでいる。アルフィは自由に飛び回り、音羽に攻撃を食らわせる。その図体の割には素早く動き回れるようだった。
アルフィは一見すると人間のように見えたが、そうではなかった。身体がどれ程傷ついても、血が少しも流れなかった。そればかりか、音羽との戦闘で消耗するどころか回復しているかのように見える。
「人間ではないとしたら、お前らは何者なんだ?」
「さぁ?同じように人間じゃない奴に言われたくはないんだけどな」
アルフィの拳を音羽は受け止めた。
「生憎、俺は物事を考えるっていうのが苦手でよ、実際自分が何者かは分かってないんだよ。」
アルフィが何者かを知る事が出来れば、この戦いの突破口になるかもしれない。だが、それを考える余裕は無かった。アルフィは拳を振るいながら怪に遠距離から弾を撃たせている。
「自分の弱点は把握しておくもんだぜ?」
音羽はアルフィとその怪の攻撃を避けるのに必死で、反撃出来なかった。怪の弾は地上にも当たり、屋根に穴が空いていた。
「音羽君!」
「余所見してる場合か!」
アルフィの攻撃の余波がクォーツに当たった。それだけでも桁違いの威力だった。黒竜はそれを追うようにクォーツに攻撃する。
更に黒竜は空高く舞い上がり、空間を歪めた。そこから更に怪が現れ、アルフィに集まる。
「どれだけ倒したとしても、俺達は死なない」
黒竜が呼んだ怪には、見覚えのある姿のものも居た。知らない間に復活したのだろうか。
音羽は、そしてクォーツはどのようにアルフィを倒すべきか悩んでいた。だが、考える隙をアルフィは与えない。周囲の被害は酷くなるばかりだ。
昴が予知していた災厄が、間もなく起きる。全ての世界を巡る戦いが始まろうとしていた。




