貴方が夢見た世界の果てで
奇跡は怪の群れの前に立った。その手には錫杖が握られている。
「『光と影よ、夢を乱す者を退けよ!』」
奇跡がそう唱えると、怪は眩い光に焼かれていった。
そうして倒された怪は跡形もなく消えていった。夢叶はその様子をじっと見つめている。
「この怪達は楽園を見ている。」
「楽園の夢?」
「うん、怪達はずっとその夢を見続けていたの。」
怪が自分の目の前にあるもの以外を考えていたとは不思議だ。奇跡が倒した怪達はそこまで賢いとは到底考えられない。一部を除いて怪の知能は低く、本能のままに行動するからだ。
「それにしてもよくここまで頑張ったね。」
夢叶は残された怪の気配を感じていた。
「この怪達は何者かに使役されてたのね。」
「うん、あの時の白蛇のように操られている。」
白蛇とは夢叶達が戦った夢守の夢前蒼汰に使役されていた怪だ。今は白蛇は水蛇という新たな怪となってエメルダの側に居る。
「この怪を使役している誰かはずっと楽園を夢見ているの?でも、怪を暴れさすのと楽園に何の関係があるんだろう?」
夢だけではない。現世と冥界にも怪は現れている。これは何者かの企みだとしたらどうだろうか。その何者かは楽園を渇望している。だが、ここに居る誰もその場所を知らない。
「律花ちゃん達にも教えた方が良いのかな…」
三人は現世に戻った。奇跡は律花に先程の事を伝えようと電話を握った。




