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異世界に来たけど義母が5人もいた上に結構ハードモードだった。  作者: 雨露口 小梅
第二章 戦勝記念式典(ヴィクトリー・セレモニー)
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◇37 脱出 尋問(インテロゲーション)

 【首都ゴールドキャッスル ノイシェーハウ上屋敷】

 【戦勝記念式典翌日 夜】



 1階の使用人が通る通路に入る。

 驚いた事に豪華な廊下の壁は、所々押せば一部が半回転し、壁の奥にある通路へ出る事が出来る。


 この上屋敷の主人たちが使う廊下と違い、使用人が使う通路は素材が剥き出しで、最低限の明かりしかなく空気も淀んでいた。

 その通路にある地下へつながる階段を下りると、更に空気が淀み湿気が強くなる。


 広い空間を中心に、小部屋の牢が連なっていた。

 広間の中心には粗末な机と椅子が置かれ、身なりのいい警備兵ワッチが座っている。

 今はその小部屋の主はモニオムとコルネスティだけだった。

 普段この地下牢が使われていない証拠だ。


 「ヴァシュリンガー!」


 牢の格子を掴んでコルネスティが吠える。

 俺はそれを無視して、臨時の牢番に出ていけと告げる。それに加えて牢の鍵を要求する。

 牢番は俺が復讐するものだと思って、固い顔で鍵を渡すと出ていった。

 そして牢番と案内の警備兵ワッチが出ていくと、俺はモニオムとコルネスティの牢へ近づく。


 「貴様! 許さないぞ。絶対に殺してやる!」


 静かに座るモニオムとは対照的にコルネスティは激高していた。

 俺は牢の前で二人に頭を下げる。


 「すまなかった。全ては嘘だ」


 「何を言っている!」


 格子の隙間からコルネスティが腕を出して俺を掴もうとする。

 俺がその手を掴むと、力強く引かれて俺は鉄の格子に顔をぶつける。

 コルネスティが俺の帽子をはぎ取り、髪を掴む。

 そして何度も俺を格子に叩きつけた。


 無抵抗の俺の首を締めようとするところで、俺は身を引く。

 俺の右目は腫れあがり、血が視界を塞ぐ。


 「コルネスティとモニオムの家族に危険が迫っている」

 「お前たちの家族構成と故郷の地理を教えてくれ」

 「これから救い出す」


 「俺達を裏切った貴様を信じられるものか!」

 「俺達の家族も罠に嵌めるつもりだろう!」


 格子からまた手が伸ばされる。

 俺は格子から身を引いてコルネスティを見る。

 そう考えるのが普通だ。

 俺もそう考える。


 だから俺は剣を抜いた。

 モニオムは俺を注視し、コルネスティも動きを止めて俺を見ている。


 俺は無造作に剣を格子の中に滑らせて落とす。

 あの謁見の間の時と同じように、モニオムとコルネスティが目を見開く。

 そしてコルネスティは、牢の中に落ちた剣を拾い上げる。


 俺はそれを無視して牢の鍵を開ける。

 この作業をしている間に、牢の中から俺の頭を刺せばそれは可能だった。

 しかしコルネスティはそれをしなかった。

 いぶかし気に俺を見ている。


 俺が完全に牢の中に入ると、コルネスティは俺の剣を構えた。

 もう格子に邪魔する事無く剣を振る事が出来る。


 「もう一度言う。お前達の家族に危険が迫っている」

 「この情報はノイシェーハウ家からもたらされたものだ」

 「お前たちを切り捨てるならば、権力者を巻き込んでこんな芝居をすると思うか」

 「お前達の家族の保護には、ノイシェーハウ家も後援している」


 「嘘だ!」

 「俺達の家族もろとも嵌める気だろ!」


 コルネスティが剣を振り上げる。


 「何故そんな必要がある?」

 「お前達が死ねばマリーエンロッゲンの心配は減るだろう」

 「しかしお前達の家族が死んだところで、あの男にどんな利益がある?」

 「お前達の家族を捕らえて利益があるのは俺だけだ」

 「お前達とその家族の安全が確保出来て安心するのは、俺だけだ」

 「何故だと思う?」


 コルネスティが俺を睨む。


 「俺達はこれから暗殺の危険を回避するべく、首都ゴールドキャッスルを脱出する」

 「出発は明朝だ」

 「時間が無い。早く教えろ」

 「お前達がぐずればそれだけ救出の為の準備時間が無くなる」


 俺は剣を構えるコルネスティに告げる。


 「明日の朝になれば、お前達を置いていく」

 「そうなればお前達も家族もマリーエンロッゲンの餌食だ」

 「俺の餌食になるか、あの男の餌食になるか決めてくれ」


 コルネスティから一歩引く。


 「これ位でいいか……」

 「これなら剣をチカラ一杯振り下ろせるだろ」

 「答えを待つ」


 俺には時間が惜しかった。

 しかし、俺への信頼が砕け散ったコルネスティとモニオムの信頼を取り戻さない事には、幾ら家族を救っても意味がない。


 マリーエンロッゲンの治安部隊と戦闘になれば兵は無駄死にだ。

 俺は頭が砕かれるかもしれない時間を待つ。


 地下牢の広間にリンヴェッカーとシュールが降りてきた。


 「「ご主人様マイロード!」」


 剣を取り戻したリンヴェッカーとシュールが剣を抜く。


 「待っていろ」


 俺は2人を制してコルネスティとモニオムを見る。


 「私には妹がいます……」


 モニオムが語りだした。


 「では宿営地へ着いたら聞く」

 「連行はノイシェーハウ家の警備兵ワッチになる」

 「しばらくは手荒な対応に我慢してくれ」


 俺はコルネスティから剣をもぎ取った。


 「後で幾らでも詫びる」



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 次回 脱出 出発


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