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異世界に来たけど義母が5人もいた上に結構ハードモードだった。  作者: 雨露口 小梅
第二章 戦勝記念式典(ヴィクトリー・セレモニー)
68/212

◇24 上屋敷 違う世界(デファレント・ワールド)

 【キャッスル・王太子執務室】

 【戦勝記念式典翌日 朝】


 磁器の割れる甲高い音が部屋を満たしている。


 「お前も私を笑ってるんだろう」


 頭部に傷を受けても直立を止めない老人は黙っている。

 更に腹部に衝撃を受けて、流石の老人も体を折って膝をつく。


 「何とかいったらどうだ?」


 甲高い声をした身なりの良い若者がその老人を見下ろす。


 「俺を恥ずかしいと思ってるんだろう?」

 「王太子として失格だと思ってるんだろう?」


 壁にかけてある剣を抜くと、その老人の背に突き立てる。

 何度も何度も突き立てて、老人は無言のまま死ぬ。


 「はぁはぁはぁ」


 喜悦の表情を浮かべた王太子は剣を投げ捨てると、もう一人の男を見た。


 「で、俺が救ってやった男は何故俺に挨拶に来ない」

 「それとあの売女もだ!」

 「息子の命を救ってやったというのに!」


 王室近衛軍ロイヤルガーズ総長は王太子を黙って見つめている。

 後ろの扉が開かれて、警備兵ワッチが入ってくると滅多斬りの老人を引きずって出ていく。

 そして新たな人間が立たされた。


 「我々にはわかりかねます」

 「ノイシェーハウにはノイシェーハウの思惑があるのでしょう」

 「無理に呼び寄せれば、王やマリーエンロッゲン様と角が立つかもしれません」


 今度は短剣が投げられて、立っている男の胸に刺さる。

 思わず屈みこむ男を蹴り上げると、仰向けに倒れた男の短剣に足をかけて押し込む。

 ひとしきり痙攣すると、その男は息絶えた。

 そして同じ警備兵ワッチによる同じ行動が繰り返された。


 「お前のところに女がいただろう?」

 「あの騎馬隊の女隊長だ」

 「差し出せ」


 王太子が酒を飲み干す。

 そして杯を新しい男の顔に投げつける。


 「せめての俺への礼だろ?」


 「ノイシェーハウの係累ですが、宜しいのですか?」


 「近衛軍ロイヤルガーズは平民出身の軍じゃなかったのか?」


 「何事も例外はあります」


 「どいつもこいつも忠誠心に欠けるな」

 「この男の様に忠義に厚いまともな人間はいないのか」


 男の足を踏みつける。


 「仕方ないな。まだ待ってやる」

 「父上とあの肥満爺マリーエンロッゲンが死ぬまでだ」

 「あの狂犬の様な男は利用させて貰う」

 「そうしたらノイシェーハウの売女で遊んでやる」

 「お前ら(ロイヤルガーズ)は誰が主人か忘れるなよ」


 「はい」


 王室近衛軍ロイヤルガーズ総長は静かに王太子を見た。

 良くこれだけ殺して領民が減らないものだと、いつも思う。




 【ノイシェーハウ上屋敷・ヴァシュリンガー邸】

 【戦勝記念式典翌日 朝】



 朝の日差しが目にかかって、薄く目覚める。

 なんだか体中の溜まったものがなくなった感じはするが、体の芯が重い。

 日差しを避けて部屋の中を見回す。


 白くて高い天井。

 良く手入れをされている。

 人の手が入っている清潔さだ。


 壁には地図が貼ってある。

 そして暖炉に円卓を囲む椅子が何脚かある。

 調度品はそんなものだった。


 いや、壁に5人の女の肖像画がかけられてあった。

 その内4人には見覚えがある。

 【お母様】【母上】【マム】【母さん】そして見知らぬ女。

 これが【ママ】だろうと当たりを付ける。


 しかし着ている服が違った。

 鎧を着こんだ【ママ】を除けば、全員体にぴったりとした動きやすい恰好をしている。

 旅をしているかの様な姿だ。

 皮ベルトや肩掛けの皮ベルトには様々な装備品を付けている。

 【お母様】と【マム】は宿場ホテルで見た魔法医の2人組の様な杖を持っている。

 そして【母上】は剣を。【母さん】は弓を持っていた。


 過去の母達なのかもしれない。


 なんとなく意識が宙を舞う。

 親に反発した記憶。 

 アルバムを懐かしそうに見る母。

 誰だ?

 また夢の中の生活か?

 どこかしら現実感のある夢の中。


 日の位置が変わり、完全に俺の目を射す。

 意識も体も完全に覚醒した。


 そうだ。ここはノイシェーハウ上屋敷だ。

 そして俺は渡り廊下で泣き崩れた。

 そうか……と良く乾いたベッドに体を沈める。


 仄かに甘い香りが漂ってくる。

 ん?


 横を見ると、【お母様】のアイヒェンが隣で寝ていた。

 どうして!


 跳ね起きると、掛布が落ちて自分が裸である事に気づく。

 鎧を着ていない。

 どうして!?


 【お母様】を起こさないように静かにベッドを出て服を探す。

 ない!

 俺の服はどこに行った!?


 「起きたのアクティム(マイボーイ)


 咄嗟に椅子の影に隠れて、ベッドの【お母様】を見る。


 「何を恥ずかしがっているの?」

 「親子でしょ?」


 その【お母様】も掛布で体を隠していたが、裸だった。

 掛布からその大きな胸の谷間が覗いている。

 心なしかその金色の髪も乱れている気がする。


 「ま、まさか……」


 俺は義理とはいえ、母親とやってしまったのか?

 確か俺の童貞がどうのこうのと大お婆様が……。


 「うふふふ。アクティム(マイボーイ)の体もいつの間にか逞しくなってて、嬉しいわ」


 「ほ、本当に……」

 「俺が寝ている間に……」


 「本当の大人になった気分はどう?」


 俺は思わず俺の股間を見てしまう。

 全然実感が沸かない。


 「嘘よ」


 「え?」


 【お母様】がベッドから出てくる。

 しかも何も隠さずに!


 窓際に立つ。

 陽光に隠れるその後ろ姿は、我が母ながら美しかった。


 そういえば【母上】のパッサイル大佐を見た時、母と呼ぶには年齢が離れていない事に戸惑った。

 この【お母様】アイヒェンも歳の離れた姉という位が精々だ。

 本当に母親なのか自信がなくなって来る。


 「みんなでここまで運んで、みんなで鎧と服を脱がせて、みんなで体を拭いただけ」


 「えっ。ちょっ、あの。従僕メイドもですか?」


 「当たり前じゃない」

 「私はまだアクティム(マイボーイ)が時々泣くから添い寝してあげただけ」

 「昔みたいにね」


 「裸でですか」


 「だって私は寝る時はいつも裸よ?」


 「そうですか……」


 しかしその話は本当か?

 この【お母様】は危険だった。



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 次回 ミク 政治の季節


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 PVが3万を数えました。こんなにたくさん読んで下さりありがとうございます。

 調べてみたら、最初の1万PVを数えるのに8か月かかりました。年が開けてから既に2万PVを数えて驚くばかりです。

 この小説が続けられているのはひとえに、皆様が読んで下さるからです。

 これからも自分的にですが、面白い物を書いていきたいと思いますので、ご愛顧の程宜しくお願いいたします。    雨露口 小梅

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