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異世界に来たけど義母が5人もいた上に結構ハードモードだった。  作者: 雨露口 小梅
第一章 撤退支援戦闘(ウィズドロワル・サポート・バトル)
42/212

◇39 3日目 決着(セルメント)

 【王国・王国側森の出口】

 【3日目 昼 固守残り半日】


 文字通り森の街道を埋め尽くす敵。

 目算しても意味がない。


 俺達にまとめて運用できる弓兵はもうない。

 俺は命令を出していないが、弓を持つものが散発的に敵の放った矢を拾い上げて撃ち返している。

 大方、その弓すら敵から奪ったものだろう。


 敵は矢を受けても前進は止まらない。

 塹壕の前面に設置した逆茂木と敵の背が変わらないところまで近づいている。

 それでも俺達になすすべはない。

 黙ってみているしかなかった。


 白と青の軍服を来た兵は逆茂木に縄をかけようとする。

 俺達は半ば本能的に壕から出ると、縄をかけようとする兵を槍で突き、剣で払い、縄を切る。

 それを見た敵兵は、数でまとめて襲ってきて、直接手で引き倒そうとする。

 俺達もその兵を倒そうとするが、敵兵も長槍パイクを突き出して近寄れない。


 多勢に無勢、次第に逆茂木は倒され丸裸になっていく。


 そして敵は一斉に「吠え」、俺達を飲み込んできた。


 「ご主人様マイロード!」


 殺到する敵兵の前にシュラーが立ちふさがる。

 俺はシュラーのすぐ脇に剣を振り下ろした。

 何かを砕く感触。

 そしてそれを確認せずにシュラーのいない右側に剣を薙ぐ。


 柔らかいものに食い込む感触を感じるが確認せずに剣を引く。

 それから俺は無我夢中で剣を振るった。

 もう部隊を確認する余裕もない。


 喉の奥が痛い。

 俺の咆哮が俺の喉を中から切り裂いたのだろう。


 剣を振るえばそれだけで敵に当たる。

 そして俺の肩に、腰に、背中に鈍器で殴られたような衝撃が波の様に襲ってくる。

 俺の鎧が剣を防いでいるんだ。それだけはわかった。


 剣を持つ手が重い。

 ふくらはぎが薙ぎられ俺の右脚が地面を離れる。

 バランスを失い片足を付く。

 俺を囲む敵兵の足の隙間から周りが見える。

 全て青と白の軍服で埋め尽くされていた。

 敵兵の動きから、味方の兵がリンチの様に殺戮されているのがわかる。

 中には立ち回る見方もいるのだろう。

 崩れた敵の中からシュラーの姿が見える。


 そのシュラーすら余裕のない表情をしている。

 部下は、皆は、自分を守る事に必死だ。


 「あと半日。半日なのに」


 こんな一瞬で蹂躙されるのか……。

 今までの時間稼ぎは何だったんだ。


 「これで全て無になるのか?」


 俺は片足を付いた状態から起き上がれずにいた。

 瞬きも出来ない一瞬だったのだろう。

 この一瞬は意識のある三日間より長い気がした。


 死ぬ間際、走馬燈を見ると言う。

 俺はそれに希望を見出していた。

 その走馬燈で本当の俺がわかるのではないか。


 渾身のチカラを籠めて剣の切っ先をあげる。

 しかし、俺の脳は何も答えてくれなかった。


 「お逃げくださいご主人様(マイロード!)」


 顔を上げると逆手に剣を振り下ろそうとした敵兵の頭が吹き飛ぶ。

 首の上から覗いたのは、血にまみれたシュラーだった。


 瞬く間に俺を囲んでいた5人がシュラーに斬り倒される。


 「さぁ。お立ち下さい」


 「ありがとう」


 シュラーが俺に手を差し出し、その手を俺が取ろうとしたとき、シュラーの顔から剣先が突き出た。

 そして剣を抱いた頭が新たな剣によって切り落とされる。

 顔を失い、後頭部だけ残ったシュラーが剣によって地に組みふされる。


 俺を支えてくれたシュラー。


 目の前が霞んでくる。

 悪夢は一瞬にして俺の心を砕いた。


 もう、何もかもが終わった気がした。

 両手を地面につく。

 そして首部を垂れる。

 目の前には俺が踏みしめた大地。

 その土はシュラーから噴き出した血によって再び泥濘を成していた。

 生をあきらめた俺を前に、敵兵の足捌きが遅くなる。


 「3日は……長かったな……」


 そして俺は覚悟した。

 記憶が戻らぬまま死ぬのか……。


 ――――――ログアウト――――――


 そんな言葉が頭に浮かんだ。

 しかし言葉の意味もわからないし、何も起きなかった。


 「お母さん………」


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 次回 戦闘終結


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