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異世界に来たけど義母が5人もいた上に結構ハードモードだった。  作者: 雨露口 小梅
第一章 撤退支援戦闘(ウィズドロワル・サポート・バトル)
34/212

◇31 埋伏 予感(プリモニション)

 【共和国・王国側谷の出口】


 王国領に踏み込んだ連隊本部の天幕で、一人戦況図に見入る。

 雨が天幕を叩く音は聞こえるが、外に比べれば天幕の中は天国に近い。

 揺らめく蝋燭の明かりが、影絵舞台の様に自分の陰を天幕の内側に映す。

 外は既に日が落ちて、一日が終わろうとしている。

 

 今日1日の戦いとしては、楽だったわけではない。

 しかし昨日の大損害に比べれば、減少しつつある。

 そして午後になってからの好材料としては、1つ、森の街道上での伏撃を一度も受けていない事。

 1つ、捜索殲滅サーチアンドデストロイ部隊は空振りに近いが、それでも敵の負傷兵の一団を森で発見して、後退の邪魔をしている。

 恐らく、弩級ボウガン部隊を襲った突出した伏撃部隊の残存兵だろう。

 森の出口へ向かっているという報告だったから、戦える兵は既に合流しているのだろう。

 そして1つ、その合流先の森の出口で陣を張っている部隊は、今日1日の攻撃で虫の息に近い。

 1つ。寝返った奴隷兵を王国兵は使っていない。

 それらの情報で考えれば、明日には陣を突破する事が出来るだろう。


 連隊情報幕僚の情報と連隊戦務幕僚の分析では、そうなる。

 全く同意する。

 この連隊本部もどこかしらほっとした様な空気が流れている。


 しかしどうしても胸の奥につかえるものがある。

 障害物の構築と壕の掘削はされているが、どこか素直さがある。

 それも基本に忠実だからこそ、今日押し切る事が出来なかった訳だが、指揮官の性格の違いが出ているような気がする。


 明日こそは、明日こそは。その決意をこの2日間砕かれている。

 あの指揮官は森の出口の正面にはいないのか?

 疲れ切ってしまったのか?

 それとも既に死んでいるのか?


 敵の指揮官が死んでいると夢想したところで、胸をチクッと刺すものがあった。


 「好敵手という訳か……」


 相手を認める証に、口に出してみる。

 同数の兵の戦いではどちらが勝つのだろうか?

 いや、戦場において同じ条件で戦うなんていう事はない。

 意味のない夢想だと心の中で斬って捨てる。


 「それでも、明日こそは私が勝つ」


 改めて口に出したところで、頭の中をよぎるものがあった。

 もし……主攻面にわざと、あの指揮官はいないとしたら?

 胸の中ににじみ出た疑念が、とめどなく広がる。

 敵の指揮官は森の中に潜んでいる。本隊を陽動にして……。


 しかし森の中には野生動物モンスターが潜んでいる。

 捜索殲滅サーチアンドデストロイ部隊も野生動物モンスターによる損害を出している。

 しかも夜は更に危険だ。とても森の中で生き残れるとは思えない。


 杞憂だと思いたいが、胸騒ぎがする。

 森の中に潜んでいると仮定して、そうすると目標はなんだ?

 私の連隊でもっとも高価値の目標……。


 予感に体が震える。

 動悸が高鳴るのが分かる。

 自分の手を胸に当てる。


 目標は……「私」だ……。


 そして突然天幕の外が騒がしくなる。

 警備している兵があげる警戒の声。

 しかし敵であれば、吶喊の蛮声が同時に聞こえる筈だ。

 その声がないという事は野生動物モンスターだろうか?


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 次回 埋伏 予感


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