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異世界に来たけど義母が5人もいた上に結構ハードモードだった。  作者: 雨露口 小梅
第一章 撤退支援戦闘(ウィズドロワル・サポート・バトル)
16/212

◇13 鎧vs軍服 チカラ(パワー)

 【国境・谷】

 【1日目 昼 固守残り2日と半日】


 盾の壁が敵を押しとどめる。

 敵は人数に物を言わせて、盾の壁をおしまくる。


 「列を崩すな! そこから押し込まれるぞ!」


 リンヴェッカーの叱咤が飛ぶ。

 そのリンヴェッカーも剣を握らず、全力で盾を構えていた。


 盾の隙間からは双方が槍を突き出し合い。

 少しでも敵を殺そうとする。


 味方の足は大地を踏みしめるが、押されて轍を作る。


 共和国の槍に胸を突かれた兵が倒れこみ。

 押されて後退する盾を超えて、踏みにじられながら敵が支配する地に到達する。


 「押し返せ!」


 味方の号令でその箇所の圧力を増し、敵を2,3歩押し返す。


 僅かにのぞいた倒れた兵の手を、盾の後ろに位置する兵が全力で引きずり出す。

 敵の攻撃に倒れた兵を置き去りにしない。


 「大丈夫だ、大丈夫だぞ!」


 踏みにじられ、絶命した仲間を、次々とリレーで後ろに引きずる。


 仲間が倒れる。

 その度に、俺の大隊は圧倒的な圧力を跳ね返した。


 両軍の盾がぶつかり合う後ろでは、互いに弓兵が弦を引き搾り、お互いの後方に向けて弓なりの軌道を描く矢を放つ。


 2段目。3段目の交代待機列は、頭上に盾を掲げて弓を防ぐが、僅かに空いた盾の屋根から矢が入り込み、新たに兵を傷つける。


 全くの消耗戦。

 共和国は鎧を着ていない分、狭隘な地形では小回りが利き、素早く動けた。

 そして圧倒的な人数が、疲れを知らず、俺達を押し下げる。

 

 このままでは逃げ切る事も出来ず、盾の壁は食い破られて、俺たちは全滅する。

 早急に次の手が必要だった。


 俺は伝令をクライナーとコルネスティへ送った。


   ※


 【国境・共和国側丘】


 損害の大きい第1大隊に変わり、第2大隊が敵を谷間に押し込んでいる。


 丘は取った。

 損害は大きかったが、丘は取った。


 見ればあちらこちらに壕が掘られている。

 おれは丘の下からは見えなかった。


 第3大隊はだまし討ちにあったという訳だ。

 相手は貴族で騎士。

 今までもバカ正直に、正攻法で戦ってきた。

 この指揮官は違うようだ。


 勝つためには何でもする。

 向こうがその気なら、こちらだってなんでもやってやる。


 丘の下を見ると、師団から増援が到着していた。

 予備の2個大隊。


 これで損害は埋められた。

 後は谷を押して押して押し込んで、王国へ出るだけだ。


 愚かな貴族共へ、人民のチカラを見せてやる。



   ※


 【国境・谷】

 【1日目 昼 固守残り2日と半日】


 谷の出口に配したコルネスティの負傷兵部隊が、大活躍していた。

 馬車を操り、戦死者や負傷兵を後送し、更には前線から後退する兵士も往復して運んでいる。


 見ればソチェニも負傷した兵を肩に担いで運んでいた。

 シュールとツムの部隊も合流し、盾の壁を交代する。


 シュラー、リンヴェッカー、ヴェーク、ジアルマタ、シュール、ツムは交代で盾の壁を指揮する。

 それも負傷者が増えていくにつれ、リンヴェッカー、ジアルマタ、ヴェークと谷の出口まで後退し、数が減っていく。

 それに反して、敵のはますます意気を上げているように感じる。

 丘は敵の徐々に敵の領地になっていった。


 戦術的に後退する兵も増えて、こちらの前面は薄くなってきている。


 クライナーとコルネスティに命じたものが届くまで、何としてもこの盾の壁を維持しなければならない。

 そこへツムが兵に引きずられ運ばれてきた。

 

 ツムが肩口から腹まで槍が突き刺さり、痙攣している。

 口や鼻からあふれ出る血は泡をつくり、目は焦点があっていなかった。


 「どうした?」


 運んでいる兵の1人に聞くと、敵が投擲した槍に貫かれたらしい。

 運悪く。とその兵は付け加えた。


 後送の馬車へ、ツムが引きずられていくのを見送った。


 あれほどの大男が死ぬのか。

 どうして俺のような柔い男が生きているのか不思議だった。

 怯懦だからなのか。

 俺はツムの最期をみとってやる余裕はなかった。

 伝令の成果をひたすらに待つ。


 間に合わなければ俺たちもあのようになる。



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 次回 鎧vs軍服 逃走


 2016年06月10日07:00公開予定

 前回間違ってこのチカラを公開してしまいましたので、この後に連続して次回(逃走)を公開します。複雑になってしまってすみません。

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