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異世界に来たけど義母が5人もいた上に結構ハードモードだった。  作者: 雨露口 小梅
第一章 撤退支援戦闘(ウィズドロワル・サポート・バトル)
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◇08 亜人 再編成 (オウガネイゼィション)

 【王国領 国境 王国側谷の入り口】

 【1日目 昼前 固守残り3日】


 俺の考えている鳥とここにいる鳥は違うもの。

 そして、過去にも俺は常識を失っている。


 その事をはっきりさせるためにも、シュラーを死なせるわけにはいかなくなった。

 自分の命だけではなく。


 考え事を巡らせながら、谷の入り口に到着した。

 

 今回徴収できた兵は全部で800。

 うち300は負傷兵。戦えるのは500。


 リンヴェッカーに任せている600を合わせて、1400。

 敵の1個大隊規模か。


 数だけで言えば集成中隊から、まともな大隊規模になったという事か。

 谷の入り口で一旦。部隊を停止させる。


 「ここで予備隊の陣を組む」

 「荷馬車を引いている隊はそのまま輜重隊とする」

 「コルネスティ!」


 「ご主人様マイロード


 「中隊長と呼べ。総裁のところに戻れる可能性は残しておけ」


 「中隊長殿がそれを言いますか?」

 「奪われた身としては家臣にして頂けるといいのですが」


 赤マントを脱ぎ棄てると地面に落とした。


 「わかった。コルネスティ。お前を迎えよう」

 「後でジアルマタにも聞いてみる」


 「ありがとうございます。ご命令をご主人様マイロード


 「お前は負傷兵と荷馬車の輜重隊を率いろ」

 「使えるものを選別しろ」

 「俺たちが生きて帰る事が出来るかどうか、お前次第だ」

 「適当なところで素早く撤退いないと酷いことになる」

 「それに備えろ」


 「わかりました。ご主人様マイロード


 コルネスティが駆けていく。


 「クライナー!」


 「ご主人様マイロード


 クライナーがポニーテールを揺らせて馬首を寄せてくる。


 「戦える兵100を率いてここを守れ」

 「共和国ではなく、王国からだ」

 「俺たちの邪魔をするようなら、お前の判断で殺せ」

 「そしてここが戦場になるとき、あの谷を人間の盾として塞いで貰うぞ」


 「わかりました。ご主人様マイロード


 クライナーは表情を変えないまま馬を走らせた。


 「シュール、ツム」

 「ご主人様マイロード

 「ご主人様マイロード


 「戦える兵を分担して、前線へ向かわせろ」

 「どこまで使えるかわからないから、お前たちに任せる」

 「俺とシュラー、ヴェーク、ジアルマタとモニオムは先行してリンヴェッカーのところへ帰る」


 「装備の点検と兵科を分けておきます」

 「自分の隊に、武器の補給を持たせます」


 シュールが具申をする。


 「そうだな。ありがとう。助かった」

 「そうしたらツムの隊は……」


 「飯と水を持って行かせます」

 「後、負傷者の搬送用に馬車を数台持っていかせましょうか」


 「そうだな。さっきの戦闘で負傷者の面倒を見たのはツムだったか」


 「はい」

 「負傷者を後送するというのは初めてですが、ご主人様マイロードはそれをお望みかと……」


 「さっきの戦闘で出た負傷者と戦死者の遺体は?」


 「まだ前線で馬車に乗っています」


 「兵たちの中で傷を見られるものはいそうか?」


 「探してみます」


 「頼む。傷を見られるものがいたら、戦闘に出すな」

 「後でまとめて報告に来い」


 「かしこまりましたご主人様マイロード


 「おい。俺に兵は預けないのか?」


 坊ちゃん貴族がしゃしゃり出てくる。


 「お前は俺が保護している」

 「黙って俺の隣についてこい」


 「モニオム!」


 「ここに。中隊長殿」


 「おお? いつの間に?」


 馬の影から姿を現す。


 「賓客は?」


 「専用の馬車を用意して休ませてあります」


 「逃げないのか?」

 「まさか鎖でつないでいないだろうな」


 「命令には従っております」

 「言い含めました」


 「信じているのか?」


 「信じるしかありません。逃亡しても私の過失はないかと判断します」

 「鎖を外す命令を下したのは中隊長殿ですから」


 「結構だ」

 「馬車と共に前線へ来い」

 「賓客と面会したい。聞きたいことがある」


 「了解しました」


 「よし! リンヴェッカーが首を長くして待っているぞ」

 「シュラー! ヴェーク、ジアルマタ!」

 「谷を駆けるぞ!」



   ※


 【国境・王国側丘】

 【1日目 昼 固守残り3日】


 砲声と砲煙が大気に渦巻く戦場へ帰ってきた。

 敵の砲撃は何もない丘の上を相変わらず叩いている。


 砲撃の射程外で陣を組んでいるリンヴェッカーの元へよる。


 「おかえりなさいませご主人様マイロード


 シュラーとヴェークがリンヴェッカーと抱き合う。


 「こいつはジアルマタ。総裁の元護衛隊ガーズだ」


 リンヴェッカーとジアルマタが目礼しあう。


 「ジアルマタ。コルネスティは赤マントを捨てた。お前はどうする?」


 「あいつは捨て子でしたが、自分は係累です。城主マイロードを裏切る事は出来ません」


 「わかった。その誇りと共に戦え」


 「約束します。中隊長殿」


 「よし」


 「私の名は……」


 ぼっちゃん貴族が何かを言いかけたが、無視をしてリンヴェッカーの前に出る。


 「待たせた。報告を」


 二人で肩を並べて歩き出した。


 「ご覧のとおり、敵の攻撃はありませんでした」

 「敵の偵察も小規模で全て撃退しました」

 「こちらに損害はありません。向こうにもありませんでしたが」

 「あまりに暇だったので、昼食の後、装備の点検をしていたところです」


 その理知的な目をまっすぐ俺に向けて、的確な報告をしてくる。

 俺がいなくてもいいじゃないか。と思うが口に出さない。


 「よく600の兵をまとめてくれた。感謝する」

 「共和国の装備も行きわたっているようだな」

 「増援は800。しかしこちらに来るのは半分の400だ」

 「ここにいる600と合わせて1000だ」


 「苦しさは相変わらずですか」

 「相手は連隊規模で相変わらずです」


 「まあ、そう攻めるなよ」


 「失礼いたしました。ご主人様マイロード


 見ると敵の砲撃の射程外に新しく壕を掘ってある。

 しかも前線の壕とつながっている。


 暇どころか、兵を忙しくして余計な事を考えさせていなかったようだ。


 「敵情視察と行こうか。ついてくるか?」


 空を見上げると太陽は中天を少し回ったところ。

 敵がのんびりしていてくれて良かった。


 「護衛隊ガーズですから」


 「ありがとう。説明を頼む」


 俺とリンヴェッカーが弾着煙の林の中へ分け入る。


   ※


 「攻撃はなかったとはいえ、孫はよく隊をまとめたな」


 ご主人様マイロードは記憶を失っている。

 義子とはいえ、貴族の誇りすらも忘れている。

 私との記憶も……。


 護衛隊ガーズは、ご主人様マイロードに疑問を抱き始めているかもしれない。

 戦場の忙しさがそれを口に出させてはいないが……。


 そして如何にも死んで貰いたいと言わんばかりの任務。

 そして絶望的な敵との戦力差。


 皆は良く動いている。

 以前、記憶を失われた時はリンヴェッカーも幼かった。


 「私の紹介は?」


 プレブ家の嫡男が情けなさそうな顔をしてみてくる。


 「貴方はご主人様マイロードに保護されている」

 「追いかけて行って、儂の孫に挨拶をしたらどうかな?」


 「~~~っ!」


 これが本当の初陣になるだろう。

 アクティム様を追って、無警戒に砲弾の射程内へ駆けていく。


 あの貴族の護衛隊の中に指導役がいなかった。

 あの嫡男は厄介払いでこの戦に出されたのかもしれない。


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 次回 亜人 砲兵


 2016年05月27日15:00公開予定


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