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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
軽トラ・アポカリプス編

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人類、地下へ潜ること

 2026年9月17日。



 軽トラ出現開始から。



 百六十四日経過。



 世界人口。



 推定十二億人。



 半年足らずで。



 六十八億人ほど消えた。



 普通なら文明崩壊である。



 実際。



 文明は崩壊していた。



 だが。



 意外と人類は生きていた。



「しぶといな人類」



 神界。


 居酒屋『転生亭』。



「しぶといですね」



「まだ十二億いるぞ」



「何で?」



「知らん」



 誰も知らなかった。



 一方。



 地球。



 東京地下。



 旧地下鉄網。



 人で溢れていた。



 地下。



 地下。



 さらに地下。



 人類。



 潜る。



 何故なら。



 空から軽トラが降るからである。



「理にかなってるな」



「理にかなってるわね」



 佐藤。


 エレベーター跡の階段を降りながら思う。



 この頃には。



 学校。



 無し。



 会社。



 ほぼ無し。



 政府。



 半分消滅。



 国境。



 意味無し。



 だが。



 地下都市だけは増えていた。



 世界中で。



 増えていた。



 その時。



 地下放送。



『本日の軽トラ出現数』



『推定二億三千万台』



 しん。



「待て」



 佐藤。


 聞き返す。



「台数増えてない?」



「増えてる」



 隣の研究員。


 即答。



「増えてる」



「どれくらい」



「去年の世界の軽トラ総数超えた」



「終わってんな」



 完全に終わっていた。



 一方。



 神界。



 飲み会。



「新人神何人増えた?」



「先月だけで七十万柱」



「多くね?」



「多い」



「異世界何個増えた?」



「百二十万」



「もっと多いな」



 その時。



 新人神。



「主人公欲しいです」



 先輩神。



「並べ」



「今何人待ちですか」



「三億」



「は?」



 神界。



 人材不足。



 深刻だった。



 一方。



 地球。



 地下都市。



 食堂。



 佐藤。


 缶詰を開ける。



「うめぇ」



「半年ぶりの肉だぞ」



 隣のおっさん。


 泣いていた。



 肉で。



 人類。



 だいぶレベルが落ちていた。



 その時。



 地下都市全体。



 警報。



 鳴る。



 ウゥゥゥゥゥゥン!!



「またか」



 誰も慌てない。



 慣れた。



 慣れてはいけないものに。



 慣れた。



『地上に軽トラ群確認』



『推定三万台』



「少ないな」



 誰かが言う。



 感覚が狂っていた。



 三万台で少ない。



 狂っていた。



 その時。



 研究員。



 顔色を変える。



「待て」



「どうした」



「反応がおかしい」



 しん。



 モニター。



 映る。



 地上。



 軽トラ。



 大量。



 そして。



 その中の一台。



 地面へ。



 沈んだ。



「は?」



 全員。


 固まる。



 軽トラ。



 沈む。



 地面へ。



 まるで水のように。



 沈む。



「待て待て待て待て」



 研究員。


 叫ぶ。



「地下へ来るぞ!!」



 しん。



 地下都市。



 初めて。



 本気で静まり返る。



 今まで。



 地下は安全だった。



 だから皆。



 地下へ集まった。



 だが。



 もし。



 軽トラが地下へ来るなら。



 人類に逃げ場は無い。



 一方。



 神界。



 新人神。



「地中軽トラ実装しました」



「おお」



「便利そう」



「便利ですね」



 便利ではない。



 その夜。



 世界中の地下都市で。



 同じ報告が上がる。



 地中を走る軽トラ。



 壁から出現する軽トラ。



 地下深くで発見される軽トラ。



 人類最大の避難先。



 地下。



 その安全神話が。



 崩れ始めていた。



 そして。



 佐藤はまだ知らない。



 あと半年後。



 人類が。



 たった九人になることを。

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