軽トラ研究者達、軽トラを研究すること
2026年6月3日。
⸻
軽トラ出現開始から。
⸻
五十八日経過。
⸻
人類。
⸻
慣れた。
⸻
慣れてはいけないものに。
⸻
かなり慣れた。
⸻
一方。
⸻
軽トラ。
⸻
相変わらず出る。
⸻
毎日出る。
⸻
世界中で出る。
⸻
何なら少し増えた。
⸻
「増えてるよな?」
⸻
「増えてますね」
⸻
ニュースでも認め始めた。
⸻
その頃。
⸻
日本。
⸻
軽トラ研究機構。
⸻
設立。
⸻
「何だその名前」
⸻
全国民が思った。
⸻
しかし。
⸻
必要だった。
⸻
何故なら。
⸻
軽トラを研究している人間が
誰もいなかったからである。
⸻
研究所。
⸻
会議中。
⸻
「本日の議題」
⸻
「うむ」
⸻
「軽トラについて」
⸻
「うむ」
⸻
「何も分かりません」
⸻
終了。
⸻
「おい」
⸻
一時間の会議である。
⸻
一方。
⸻
研究員A。
⸻
「重量測りました」
⸻
「どうだった」
⸻
「普通の軽トラでした」
⸻
「そうか」
⸻
研究員B。
⸻
「エンジン調べました」
⸻
「どうだった」
⸻
「普通の軽トラでした」
⸻
「そうか」
⸻
研究員C。
⸻
「分解しました」
⸻
「どうだった」
⸻
「普通の軽トラでした」
⸻
「そうか」
⸻
全員。
⸻
頭を抱える。
⸻
普通なのだ。
⸻
なのに。
⸻
空から降る。
⸻
地中から出る。
⸻
海から出る。
⸻
宇宙から出る。
⸻
意味が分からない。
⸻
その時。
⸻
研究員D。
⸻
慌てて飛び込んで来る。
⸻
「大変です!!」
⸻
「何だ」
⸻
「軽トラ増えました!!」
⸻
「いつものことだろ」
⸻
「違います!!」
⸻
「?」
⸻
「研究室に置いてた軽トラが」
⸻
「うむ」
⸻
「二台になってます」
⸻
しん。
⸻
「は?」
⸻
一同。
研究室へ向かう。
⸻
そこには。
⸻
軽トラ。
⸻
二台。
⸻
並んでいた。
⸻
「増えてる」
⸻
「増えてるな」
⸻
「増えてるわね」
⸻
増えていた。
⸻
しかも。
⸻
一台は昨日まで無かった。
⸻
監視カメラ確認。
⸻
一同。
固まる。
⸻
映像。
⸻
深夜二時。
⸻
研究用軽トラ。
⸻
静止。
⸻
深夜二時十分。
⸻
静止。
⸻
深夜二時二十分。
⸻
静止。
⸻
深夜二時三十分。
⸻
荷台。
⸻
開く。
⸻
「は?」
⸻
そして。
⸻
荷台から。
⸻
軽トラ。
⸻
出てくる。
⸻
「は???」
⸻
研究員全員。
同時に叫ぶ。
⸻
一方。
⸻
神界。
⸻
居酒屋『転生亭』
⸻
「見た?」
⸻
「見た」
⸻
「荷台から出た」
⸻
「荷台から出たな」
⸻
神々。
爆笑。
⸻
「誰やった」
⸻
一柱の神。
⸻
手を挙げる。
⸻
「俺」
⸻
「何で?」
⸻
「面白そうだった」
⸻
「採用」
⸻
採用されるな。
⸻
一方。
⸻
地球。
⸻
研究所。
⸻
完全パニック。
⸻
「軽トラが軽トラを産んだぞ!!」
⸻
「生物だったのか!?」
⸻
「違うだろ!!」
⸻
「じゃあ何だ!!」
⸻
「知らん!!」
⸻
研究。
⸻
振り出しに戻る。
⸻
その夜。
⸻
SNS。
⸻
大炎上。
⸻
『軽トラが増殖した』
⸻
『軽トラ繁殖期』
⸻
『軽トラの赤ちゃん』
⸻
『親軽トラかわいい』
⸻
『もう終わりだよこの世界』
⸻
最後だけ正しかった。
⸻
そして。
⸻
神界。
⸻
飲み会終了間際。
⸻
一柱の神。
資料を見る。
⸻
「現在転生者数」
⸻
「うむ」
⸻
「約二十七億」
⸻
しん。
⸻
「思ったより早いな」
⸻
「早いですね」
⸻
「地球残り何人?」
⸻
「まだ結構います」
⸻
「へぇ」
⸻
神々。
⸻
まだ余裕だった。
⸻
だが。
⸻
この頃から。
⸻
人類の減少速度は
少しずつ加速し始めていた。




