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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
軽トラ・アポカリプス編

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満員電車と軽トラが衝突すること

 2026年4月18日。


 午前7時42分。



 東京都。



 某路線。



 通勤ラッシュ。



 地獄である。



「うおおお押すな!!」



「無理だろ!!」



「降りるんだよ!!」



「俺もだよ!!」



 車内。


 ぎゅうぎゅう。



 そして。



 高橋翔太。


 二十三歳。


 会社員。



 現在。



 圧縮されていた。



「………………」



 無言。



 理由。



 喋る隙間が無い。



 右。


 サラリーマン。



 左。


 サラリーマン。



 前。


 サラリーマン。



 後ろ。


 サラリーマン。



 人類サンドイッチだった。



「帰りたい」



 出勤中である。



 その時。



 スマホ通知。



『軽トラ出現現象』



『本日も継続中』



 高橋。


 見慣れていた。



「またか」



 もう一週間以上。



 毎日軽トラ。



 毎日ニュース。



 毎日意味不明。



 人類。



 若干慣れてきていた。



 その時。



 運転士。



「え?」



 車内放送。



 入る。



「緊急停車――」



 言い終わらなかった。



 次の瞬間。



 ドゴォォォォォォォン!!!



 衝撃。



 轟音。



 悲鳴。



「ぎゃああああ!!」



「何だァァァ!!」



「事故だ!!」



 車体。


 横転。



 ガラス。


 砕ける。



 人。


 吹き飛ぶ。



 そして。



 高橋。


 窓の外を見る。



「………………」



 いた。



 軽トラ。



 いた。



「何でだよ」



 線路上。



 軽トラ。



 しかも。



 何故か正面衝突していた。



 意味が分からない。



 上から落ちたならまだ分かる。



 だが。



 線路上にいた。



「どうやって?」



 誰も分からない。



 その時。



 光。



 発生。



 車内。



 至る所。



 人々。


 包まれ始める。



「うわあああ!?」



「光ってる!!」



「消える!!」



 ふわり。



 一人。



 消える。



 また一人。



 消える。



 また一人。



 また一人。



 また一人。



 また一人。



 また一人。



 車両一本。



 ほぼ全員。



 転生。



 しん。



 静寂。



 残った者。



 数名。



 高橋も残っていた。



「………………」



 固まる。



 その時。



 テレビ局。



 速報。



『軽トラと電車が衝突』



『乗客の大部分が消失』



『推定転生者数約千二百人』



 スタジオ。



 沈黙。



「……千二百?」



 キャスター。


 頭抱える。



「一回で?」



 一方。



 神界。



 飲み会継続中。



「お」



「どうした」



「電車当たった」



「おお」



「結構入ったな」



「何人?」



「千二百くらい」



「当たりだな」



 ガチャじゃない。



 だが。



 神界では。



 ほぼガチャだった。



 一方。



 高橋。



 崩れた車両から出る。



 周囲。



 大混乱。



 軽トラ。



 鎮座。



 警察。



 パニック。



 消防。



 パニック。



 テレビ。



 パニック。



 人類。



 パニック。



 そして。



 高橋はまだ知らない。



 一年後。



 自分が空飛ぶ家で生活することになるなど。



 夢にも思っていなかった。

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