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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
軽トラ・アポカリプス編

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2026年4月6日

 2026年4月6日。


 月曜日。


 午前7時13分。


 佐藤健一は学校へ向かう途中だった。


 いつも通り。


 本当にいつも通りだった。


 コンビニでジュースを買い。


 スマホを見ながら歩き。


 友人とのグループチャットを眺めていた。


 その時だった。



 ドゴン。



「ん?」


 遠くで何か大きな音がした。


 事故だろうか。


 そう思った。


 周囲の人々も同じだった。



 しかし。


 その数秒後。



 ドゴン。


 ドゴン。


 ドゴドゴドゴドゴン。



「なんだ?」



 人々が騒ぎ始める。



 そして。


 空を見上げた誰かが叫んだ。



「おい!!」


「なんか落ちてくるぞ!!」



 全員。


 空を見上げた。



 そこにあった。



 軽トラだった。



「は?」



 軽トラだった。



 青空。


 雲。


 太陽。


 そして軽トラ。



 意味が分からない。



 軽トラはそのまま落下。



 ドゴォォォォン!!



 交差点に激突。



 悲鳴。


 混乱。


 叫び声。



「軽トラだ!!」


「見りゃ分かる!!」



 さらに。



 ドゴォォォォン!!



 もう一台。



 ドゴォォォォン!!



 もう一台。



「は?」



 誰かが呟いた。



「軽トラ降ってきてない?」



 降ってきていた。



 テレビ局。



「速報です!」


「全国各地で原因不明の落下物が確認されています!」



 映像。



 北海道。


 軽トラ。



 東京。


 軽トラ。



 大阪。


 軽トラ。



 福岡。


 軽トラ。



「全部軽トラじゃねぇか!!」



 スタジオ。


 キャスターも半笑いだった。



「いたずら映像ではありません」



 専門家。



「CGの可能性は」



「ありません」



「では何故」



「分かりません」



 開始一時間。



 日本中。


 誰も状況を理解できなかった。



 一方その頃。



 神界。



 巨大な会議室。



 神々。


 集まりけり。



「始まったか」



「始まりました」



「転生プロジェクト第一段階」



「順調です」



 モニター。



 東京。



 軽トラ。



 大阪。



 軽トラ。



 名古屋。



 軽トラ。



「いい感じだな」



「いい感じですね」



 完全に業務会議だった。



 一柱の神。


 資料をめくる。



「転生先不足問題ですが」



「うむ」



「現在二億七千万名分確保済みです」



「まだ足りんな」



「足りませんね」



 さらっと恐ろしいことを言う。



 別の神。


 手を挙げた。



「異世界第38群で受け入れ可能です」



「よし」



「軽トラ追加」



「了解」



 ぽん。



 書類へ判子押す感覚で決定した。



 一方。


 地球。



 午前9時。



 世界中で軽トラ出現。



 そして。



 初の被害者が出た。



 交差点。



 男性一人。



 軽トラに轢かれる。



 人々。


 悲鳴を上げる。



「救急車!!」



 しかし。



 次の瞬間。



 男性の身体。


 光に包まれた。



「え?」



 ふわり。



 消えた。



 血もない。



 死体もない。



 何も残らない。



「………………」



「………………」



 現場。


 完全に静まり返った。



 そして。


 誰かが呟いた。



「今」



「消えたよな?」



 この時。



 まだ誰も知らない。



 それが


死ではなく転生


であることを。



 そして。



 まだ誰も知らない。



 この日から一年後。



 人類は。



 たった九人になる。

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