久々に三人旅へ戻ること
冒険者ギルド。
昼。
一同――
否。
三人。
依頼書見つめけり。
「……………………」
「……………………」
「静かだな」
佐藤健一、ぽつりと呟きける。
⸻
一方。
周囲。
普通の冒険者達。
普通の酒場。
普通の依頼。
普通の会話。
「普通だ」
「普通ね」
エレノアも頷きける。
⸻
その時。
貴光。
依頼書持ち上げける。
『王都行き商隊護衛』
報酬。
銀貨十五枚。
「うむ」
「それにするか?」
佐藤問ひける。
一方。
貴光。
頷きける。
「都見たきなり」
「俺も見たいわ」
エレノアも賛成しける。
⸻
数十分後。
依頼受理。
出発は翌朝。
よって。
今日は自由時間なり。
⸻
街。
市場。
一同。
久々にのんびり歩きける。
一方。
佐藤。
少し笑いける。
「なんか久しぶりだな」
「何が?」
エレノア問ひける。
「三人だけ」
しん。
⸻
一瞬。
三人。
少し考え込みける。
確かに。
ここ数十話。
周囲。
やたら騒がしかりき。
魚住。
ぺ・ヤ。
宗重。
源三。
高橋。
中村。
信者達。
軽虎教。
神殿。
巡礼。
祭り。
「……確かにな」
佐藤、苦笑しける。
⸻
一方。
貴光。
団子食ひつつ頷きける。
「皆賑やかなり」
「それはそう」
「されど」
少し周囲見回しける。
「今も良きなり」
しん。
⸻
エレノア。
少し笑いける。
「珍しくまともなこと言うじゃない」
「失礼なり」
⸻
その時。
市場奥。
何やら人だかり出来ける。
「ん?」
一同。
近寄りける。
⸻
中央。
旅芸人。
大道芸披露しける。
火吹き。
曲芸。
玉乗り。
子供達。
歓声上げける。
「おお」
貴光。
少し目輝かせける。
⸻
その時。
芸人。
客へ問いかけける。
「そこのお兄さん!」
「む?」
貴光指差しける。
「手伝ってください!」
「うむ」
「待て」
佐藤。
嫌な予感しける。
⸻
数分後。
結果。
貴光。
大道芸人より人気集めける。
「おおおお!!」
「何でだよ!?」
一方。
貴光。
普通に古典貴族仕草してるだけなり。
しかし。
観客達。
妙に盛り上がりける。
「優雅だ!!」
「何が!?」
「本物の貴族みたいだ!!」
「実際本物だぞ」
佐藤、呟きける。
⸻
その夜。
宿。
三人。
夕飯食ひける。
一方。
窓の外。
街灯光りける。
旅人達行き交いける。
「明日から王都か」
佐藤、呟きける。
「うむ」
「楽しみね」
エレノア笑いける。
⸻
その時。
貴光。
窓の外見つめつつ静かに言ひける。
「世界広きなり」
しん。
「うむ」
「まだ見ぬ土地も多し」
「そうだな」
佐藤も頷きける。
⸻
そして。
三人。
まだ知らず。
王都にて。
とある転生者が。
国レベルの騒動を起こしかけていることを。
そして。
軽虎教が今頃、
鉄虎砦で勝手に勢力拡大を始めていることを。
全く知らぬまま。
久々の静かな夜を過ごしけり。




