歩く家、勝手に信仰されること
古代街道。
夜。
状況。
最悪なり。
「新しい神殿だァァァァァ!!!」
「違う!!」
佐藤健一、本日何度目か分からぬ絶叫しける。
⸻
一方。
信者達。
歩く家を囲み始めける。
「おお……」
「歩いておられる……」
「奇跡だ……」
「奇跡じゃねぇよ!!」
⸻
その時。
中村大地。
窓から顔出しける。
「何あれ」
「宗教」
「何で?」
「俺も知りたい」
⸻
一方。
高橋。
静かに肩叩きける。
「ようこそ」
「何が?」
「被害者の会」
「嫌だ」
⸻
その時。
信者一人。
中村へ近付きける。
「おお偉大なる建築聖人様!!」
「誰?」
「歩く神殿の管理者様!!」
「誰?」
「移動神殿司祭様!!」
「誰???」
⸻
一方。
源三。
静かに頷きける。
「俺も最初そうだった」
「嫌な先輩だな」
⸻
その時。
信者達。
既に会議始めける。
「聖殿様の次は」
「歩行神殿様だ」
「いや」
「巡礼神殿様では?」
「議論するな!!」
⸻
一方。
中村。
完全に混乱しける。
「待て」
「うむ」
「俺」
「うむ」
「ただ引っ越し面倒だっただけだぞ」
「分かる」
「分かるのか」
「分かる」
高橋だけ理解しける。
⸻
その時。
歩く家。
どごん。
どごん。
少し前進しける。
すると。
信者達。
「おおおおお!!!」
「進まれたァァァ!!」
「道を示しておられる!!」
「散歩だよ!!」
⸻
一方。
宗重。
腕組みしつつ呟きける。
「興味深い」
「何が」
「何でも信仰する」
「それはそう」
⸻
その時。
貴光。
歩く家見つめ。
少し考え込みける。
「牛車に似たり」
「どこが!?」
「住めるなり」
「そこかよ」
⸻
一方。
ぺ・ヤ。
歩く家の脚見つめける。
「良い脚」
「評価ポイントそこ?」
「速そう」
「確かに速そうだけど」
⸻
その時。
受付嬢からの依頼思い出しける。
佐藤。
突然固まりたり。
「……待て」
「む?」
「俺ら依頼受けてたよな」
しん。
⸻
一同。
静止。
「……………………」
「……………………」
「そういえば」
エレノア呟きける。
「巨大な影の調査」
源三頷きける。
「歩く家だった」
高橋頷きける。
「解決したな」
宗重頷きける。
「解決した」
⸻
その時。
中村。
真顔にて言ひける。
「いや」
「ん?」
「俺ここ毎週歩いてるぞ」
「え?」
「半年くらい」
「は?」
⸻
一同。
固まりける。
「半年?」
「うむ」
「毎週?」
「うむ」
⸻
一方。
中村。
当然のように説明しける。
「景色変えたいし」
「散歩感覚かよ!!」
⸻
その時。
遠くより馬蹄音聞こえける。
だだだだっ!!
「ん?」
一同。
振り返りける。
⸻
街側より。
ギルド職員達。
到着しける。
「影はどこだ!?」
「討伐隊連れて来たぞ!!」
「危険な魔獣か!?」
⸻
一方。
目の前。
歩く家。
信者達。
空飛ぶ家。
軽トラ。
縄文人。
戦国武将。
昭和人。
聖女。
平安貴族。
「……………………」
「……………………」
ギルド職員。
静かに馬から降りける。
「帰りたい」
その気持ちだけは、
全員理解できたり。




