古代街道の巨大な影の正体
夕刻。
街南部。
古代街道入口。
一同。
依頼開始しけり。
「久々にまともな依頼だな」
佐藤健一、少し嬉しそうなり。
一方。
エレノア。
周囲警戒しつつ頷きける。
「最近ずっと宗教だったしね」
「それはそう」
⸻
古代街道。
石畳続きける。
されど。
かなり古し。
崩れ。
割れ。
草生えける。
一方。
宗重。
しゃがみ込み。
地面見始めける。
「……変だな」
「何が?」
「人通り多い」
「依頼あるくらいだし」
「違う」
しん。
⸻
宗重。
地面指差しける。
「荷車」
「うむ」
「馬車」
「うむ」
「大型車輪」
「うむ」
「全部最近」
「え?」
⸻
一方。
源三。
少し首傾げける。
「街じゃ立入禁止扱いじゃなかったか?」
「そう聞いた」
高橋も頷きける。
その時。
ぺ・ヤ。
地面見つめ。
ぽつりと呟きける。
「いっぱい人」
「それは見れば分かる」
「違う」
「?」
「最近」
「お前も分かるのか」
宗重、少し感心しける。
⸻
その頃。
日。
沈み始めける。
辺り暗くなりけり。
そして。
問題の時間。
⸻
どごん。
「ん?」
どごん。
どごん。
一同。
立ち止まりける。
「聞こえたな」
「聞こえたわね」
⸻
その時。
街道奥。
巨大な影現れける。
「出た!!」
佐藤、叫びける。
一方。
影。
めちゃくちゃ大きい。
四メートルほど。
しかも。
箱みたいな形。
「何だアレ」
「魔獣じゃないな」
⸻
どごん。
どごん。
近付いて来る。
そして。
月明かり当たりける。
「……………………」
「……………………」
全員。
固まりける。
⸻
「家だ」
「家だな」
「家ね」
「家なり」
⸻
そう。
家。
巨大な木造住宅。
ただし。
問題あり。
足生えておりける。
「は?」
佐藤、真顔なり。
⸻
家。
六本足。
歩きける。
どごん。
どごん。
どごん。
「何アレ」
「俺に聞くな」
⸻
その時。
窓開きける。
がらっ。
一人の男顔出しける。
「お?」
「人いた!!」
⸻
一方。
男。
二十歳くらい。
ボサボサ頭。
作業服。
笑顔なり。
「こんばんはー」
「こんばんはじゃねぇ!!」
⸻
男。
少し困惑しける。
「え?」
「え?じゃねぇよ!!」
「何アレ!?」
佐藤。
家指差しける。
⸻
一方。
男。
当然のように答えける。
「家」
「見りゃ分かる!!」
⸻
その時。
空。
ぴこん。
半透明板現れける。
『転生特典』
『移動建築』
『建築物生体化』
『土木技術:超特級』
⸻
「また転生者だァァァ!!」
一同。
同時に叫びける。
⸻
男。
少し照れくさそうに頭掻きける。
「中村大地です」
「どうも」
「どうもじゃねぇ!!」
⸻
一方。
中村。
普通に説明始めける。
「引っ越し面倒だから」
「うむ」
「家ごと動けばいいと思った」
「思うな」
⸻
「空飛ぶ家」
高橋。
「歩く家」
中村。
「被ったな」
「被ってねぇよ!!」
⸻
その時。
家。
どごん。
どごん。
歩き始めける。
さらに。
屋根から煙出始めける。
「飯作ってる」
源三、呆然。
「移動しながら?」
「移動しながら」
⸻
一方。
中村。
真顔なり。
「旅っていいよな」
「お前も旅人か」
「家ごと旅してる」
「規模がおかしい」
⸻
その時。
遠方。
「軽虎様ァァァァァ!!」
「げっ」
一同。
嫌そうな顔しける。
⸻
信者達。
追い付いて来たのである。
「早ぇよ!!」
佐藤、絶叫。
⸻
一方。
信者達。
歩く家見つけける。
そして。
沈黙。
「……………………」
「……………………」
数秒後。
「新しい神殿だァァァァァ!!!」
「違う!!」
⸻
中村。
初めて信者達見て。
真顔にて呟きける。
「何あれ」
「説明すると長い」
佐藤。
遠い目になりけり。




