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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
軽トラ信仰拡大編

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旅人は旅をせねばならぬこと

 山奥。


 山田隼人宅。


 朝。


 鳥鳴きけり。


 一方。


 主人公一行。


 珍しく真面目な空気なり。


「……………………」


「……………………」


 佐藤健一。


 お茶すすりつつ呟きける。


「……なぁ」


「む?」


 貴光、顔上げける。


「俺らさ」


「うむ」


「旅してなくね?」


 しん。



 一同。


 少し考え込みける。


 一方。


 ここ最近。


 鉄虎砦。


 軽虎温泉。


 空飛ぶ家。


 宗教団体。


 信者。


 巡礼。


 祭り。


 資料館。


 木彫り軽トラ。


「……………………」


「……………………」


 源三。


 静かに頷きける。


「確かに」


「俺なんか最近ずっと軽トラ見てる」


「お前は元からだろ」



 一方。


 エレノア。


 窓の外見つめける。


「私も」


「む?」


「もっと世界見たいわ」


「おお」


「最初は冒険者として旅してたのに」


「うむ」


「最近ずっと祭り会場いる」


「否定できねぇ……」



 その時。


 宗重。


 腕組みしつつ呟きける。


「我も同意だ」


「珍しいな」


 一方。


 宗重。


 静かに外見やりける。


「知らぬ土地」


「知らぬ国」


「知らぬ文化」


「うむ」


「見てみたい」


 しん。



 一方。


 ぺ・ヤ。


 肉食ひながら頷きける。


「山見る」


「うむ」


「海見る」


「うむ」


「でかい獣探す」


「お前はブレねぇな」



 その時。


 貴光。


 静かに立ち上がりける。


「……………………」


「……………………」


 一同。


 視線向けける。


 一方。


 貴光。


 窓の外見つめける。


 遠く。


 巡礼者。


 屋台。


 旗。


 商人。


 信者。


 大騒ぎなり。


「賑やかなるなり」


「うむ」


「されど」


 しん。



「世界広きなり」


 一同。


 少し驚きける。


 貴光から出ると思わなかったのである。


「まだ見ぬ土地も」


「まだ見ぬ民も」


「多くあるなり」


「……」


「我」


 少し笑み浮かべける。


「もっと見たきなり」


 しん。



 佐藤。


 思わず笑ひける。


「それだな」


「うむ」


「冒険者だしな」


「そうね」


 エレノアも頷きける。


 一方。


 高橋。


 少し安心した顔なり。


「じゃあ旅出るのか」


「うむ」


「良かった……」


「何その反応」



 その時。


 山田。


 真顔にて答えける。


「お前ら」


「うむ」


「正直」


「うむ」


「めちゃくちゃ迷惑」


「ストレートだな!!」



 一方。


 外。


「軽虎様ァァァ!!」


「聖殿様ァァァ!!」


「整備司祭様ァァァ!!」


「原始の賢者様ァァァ!!」


「戦国先生ェェェ!!」


「肩書また増えてる!!」



 その時。


 源三。


 ぽつりと呟きける。


「なぁ」


「む?」


「コイツら」


「うむ」


「ちょっとヤバくね?」


 しん。


 数秒後。


「今さら!?」


 全員、同時に叫びける。



 一方。


 セシリア。


 珍しく真面目な顔なり。


「でも本当に」


「む?」


「このまま居たら」


「うむ」


「軽虎教本部になるわよ」


「もうなってる気がする」


 佐藤、即答なり。



 その時。


 宗重。


 静かに頷きける。


「離れるべきだ」


「おお」


「旅人は留まり過ぎぬ方が良い」


 珍しく綺麗なこと言いける。


 しかし。


 次の言葉。


「あと砦維持面倒」


「本音出た!!」



 一方。


 高橋。


 少し考え込み。


 そして。


「俺も行こうかな」


「え?」


「どうせ居場所バレたし」


「確かに」


「もう隠居無理だろ」


「無理だな」



 その時。


 外。


 空飛ぶ家見上げながら。


「聖殿様ァァァ!!」


「御加護をォォォ!!」


「無理だな」


 高橋、即答しける。



 こうして。


 一同。


 決定しけり。


 軽虎教。


 巡礼団。


 祭り会場。


 信者達。


 それらを後にして。


 再び。


 本来の目的へ戻ることを。


 即ち――


世界を見て回ること。


冒険すること。


そして新たな転生者を探すこと。


 その夜。


 貴光。


 静かに牛撫でながら呟きける。


「明日より」


「うむ」


「再び旅路なり」


 黒牛達。


「もぉー」


 と鳴きけり。

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