山奥の転生者、全力で隠れていること
翌朝。
山麓。
空飛ぶ家周辺。
一同。
朝飯食ひけり。
一方。
高橋翔太。
目の下隈できける。
「寝れなかった」
「信者のせいだな」
佐藤健一、即答なり。
その時。
遠く。
「聖殿様ァァァ!!」
「朝の祈りをォォォ!!」
「来るなァァァ!!」
高橋、山へ向かって叫びける。
⸻
一方。
ぺ・ヤ。
静かに立ち上がりける。
「行く」
「どこへ?」
「変な人」
しん。
一同。
思い出しける。
昨夜。
ぺ・ヤ。
山向こうに人いると言ひたり。
「本当にいるのか?」
源三、怪訝そうな顔なり。
一方。
ぺ・ヤ。
当然のように頷きける。
「いる」
「根拠は」
「臭い」
「またそれか」
⸻
数十分後。
一行。
山奥進みける。
木々深く。
道無く。
鳥鳴き。
風通りける。
一方。
ぺ・ヤ。
迷い一切無し。
「こっち」
「本当に分かるのかよ」
佐藤、半信半疑なり。
その時。
宗重。
地面見つめける。
「……足跡」
「え?」
「しかも新しい」
しん。
空気変わりける。
⸻
さらに進みける。
すると。
木陰。
妙な物見つかりける。
「ん?」
一方。
そこには。
落とし穴。
しかも。
かなり精巧。
「ぺ・ヤ?」
「違う」
「え?」
ぺ・ヤ。
少し考え込み。
頷きける。
「上手い」
「評価してる!?」
⸻
その時。
突然。
がさっ!!
「!!」
全員。
反射的に振り返りける。
しかし。
誰もおらず。
ただ。
木々揺れたり。
「今誰かいたよな?」
一方。
宗重。
静かに頷きける。
「見られている」
「ホラーやめろ」
その時。
高橋。
少し青ざめける。
「俺帰っていい?」
「駄目だ」
⸻
さらに奥。
進みける。
そして。
ついに発見しける。
「……………………」
「……………………」
一軒の家。
森の中。
完全に隠されける。
「家?」
エレノア、目瞬かせける。
一方。
その家。
迷彩塗装。
草被せ。
木で偽装。
異様なほど隠密仕様なり。
「隠れる気満々だな」
源三、呟きける。
⸻
その時。
窓。
ぴしゃっ!!
閉まりける。
「いた!!」
一方。
佐藤。
前出でける。
「おーい!!」
返事無し。
「出てこーい!!」
返事無し。
「転生者だろー!!」
その瞬間。
家の中。
ごとっ。
何か落ちる音しける。
「反応した」
⸻
数分後。
玄関。
そーっと開きける。
そして。
一人の男現れたり。
二十代くらい。
ジャージ。
眼鏡。
ボサボサ頭。
そして。
異常なほど警戒顔。
「……………………」
「……………………」
「誰?」
佐藤、率直に問ひける。
一方。
男。
数秒迷い。
小さく呟きける。
「……山田隼人」
「転生者だな」
「うん」
⸻
その時。
空。
ぴこん。
半透明板現れける。
『転生特典』
『存在感低下』
『気配遮断』
『隠蔽工作:特級』
「……………………」
「……………………」
一同。
納得しける。
「あー」
「なるほど」
「だから隠れてるのか」
⸻
一方。
山田。
真顔なり。
「俺」
「目立ちたくない」
「うむ」
「平和に暮らしたい」
「うむ」
「絶対誰にも見つかりたくなかった」
しん。
一同。
気まずくなりける。
⸻
その時。
遠く。
「軽虎様ァァァ!!」
「聖殿様ァァァ!!」
「御加護をォォォ!!」
信者達の声。
山へ響きける。
一方。
山田。
顔面蒼白なり。
「……………………」
「……………………」
「何あれ」
「説明すると長い」
佐藤、遠い目にて答えける。
そして。
山田。
初めて心から思ひたり。
「帰りたい」
と。




