軽虎温泉、三日で観光地になること
軽虎温泉。
発見より三日後。
「……………………」
「……………………」
佐藤健一。
静かに立ち尽くしける。
「……何これ」
一方。
目の前。
屋台。
露店。
宿。
土産屋。
謎の旗。
大量の人。
完全に観光地なり。
「三日だぞ!?」
佐藤、絶叫しける。
⸻
温泉入口。
巨大看板。
『軽虎温泉郷』
「温泉郷になってるゥゥゥ!!」
一方。
看板下。
『軽虎様も入浴された名湯』
「入ってねぇ!!」
正確には。
貴光とぺ・ヤと源三が入っただけなり。
しかし。
信者達。
そんな細かきこと気にせず。
「ありがたやぁぁぁ!!」
完全に観光気分なり。
⸻
一方。
源三。
温泉見つめつつ呟きける。
「いやでも良い湯なんだよなぁ」
「お前まで肯定するな」
その時。
源三。
土産屋見つけける。
「ん?」
棚。
ずらり。
木彫り軽トラ。
軽虎饅頭。
軽虎湯の花。
軽虎温泉タオル。
「商品展開早ぇな!!」
一方。
店主。
どや顔なり。
「今一番売れております」
「そりゃそうだろうな!!」
⸻
その時。
宗重。
温泉街見回しける。
「防衛が甘い」
「観光地を軍事拠点として見るな」
一方。
宗重。
真面目な顔にて続けける。
「温泉守る櫓必要」
「いらねぇよ!!」
⸻
一方。
ぺ・ヤ。
川辺座り。
魚捕りける。
その周囲。
子供達大量なり。
「賢者様!!」
「魚どう取るの!?」
「ここ」
ばしゃっ。
魚捕獲。
「おおおおお!!」
「完全に人気者になってる……」
⸻
その時なり。
セシリア。
温泉街歩きつつ。
妙な建物見つけける。
「……何これ」
一方。
建物入口。
看板。
『軽虎歴史資料館』
「早すぎるだろ!!」
中。
見学しける。
そして。
全員。
固まりける。
「……………………」
「……………………」
一枚目。
『伝説の鉄虎様』
絵。
めちゃくちゃ巨大な軽トラ。
山より大きい。
「違う」
二枚目。
『原始の賢者ぺ・ヤ』
絵。
身長五メートル。
雷纏ってる。
「違う」
三枚目。
『鉄虎の巫覡・御池貴光』
絵。
後光差してる。
「違う」
四枚目。
『整備司祭ゲンゾー』
絵。
片手で軽トラ持ち上げてる。
「違う!!」
一方。
源三。
頭抱えける。
「俺そんなことしてねぇ!!」
⸻
その時。
資料館奥。
巨大壁画。
『軽虎降臨』
描かれているもの。
空から降ってくる軽トラ。
人々土下座。
神々涙。
「何この神話」
エレノア、呆然なり。
一方。
資料館館長。
誇らしげに語り始めける。
「こちらは伝承を元に――」
「伝承発生してまだ一ヶ月くらいだぞ!!」
⸻
その夜。
一同。
温泉宿泊しける。
温泉入り。
飯食い。
久々に平和なり。
その時。
外。
ざわざわ。
「ん?」
佐藤。
窓開けける。
一方。
街道側。
旅人達。
何やら話しける。
「聞いたか?」
「南の方で――」
「ん?」
「“空飛ぶ家”を作ろうとしてる転生者がいるらしい」
しん。
一同。
反応しける。
「空飛ぶ家?」
「転生者?」
宗重。
静かに腕組みける。
「また来たか」
一方。
源三。
嫌な予感し始めける。
「絶対ろくでもねぇな」
ぺ・ヤ。
肉食いながら頷きける。
「変な人」
「お前が言うな」
その時。
貴光。
静かに呟きける。
「見に行くか」
しん。
一同。
顔見合わせける。
そして。
佐藤。
深く溜息つきける。
「……どうせ行くんだろ」
こうして。
軽虎巡礼団。
次なる転生者を求め。
南へ向かうこととなりけり。




