軽虎様、温泉を発見すること
翌朝。
軽虎巡礼団。
再び移動開始しけり。
ぎぃ……
ぎぃ……
黒牛二頭。
慣れた様子にて軽トラ引きける。
「もぉー」
一方。
貴光。
荷台にて優雅に座りける。
「良き旅なり」
「完全に牛車旅行だな」
佐藤健一、半ば諦め顔なり。
⸻
昼頃。
一行。
山間部へ入りける。
道細くなり。
木々生い茂り。
鳥鳴きけり。
その時なり。
ぺ・ヤ。
突然立ち止まりける。
「む」
「どうした?」
宗重、即座に反応しける。
一方。
ぺ・ヤ。
鼻ひくひくさせける。
「臭い」
「またそれか」
「硫黄」
「え?」
しん。
源三。
反応しける。
「温泉?」
「オンセン?」
エレノア首傾げける。
⸻
一方。
ぺ・ヤ。
どんどん森奥へ進み始めける。
「待て待て待て!!」
全員。
慌てて追いかけける。
数分後。
森抜けたり。
そこには。
湯気立ち昇る巨大温泉。
「おおおおお……」
全員。
思わず見惚れける。
一方。
貴光。
目輝かせける。
「湯殿なり!!」
「平安貴族が一番テンション上がってる」
佐藤、笑いける。
⸻
その時。
近くの岩。
木板立てられける。
『立入禁止』
「ん?」
一方。
セシリア。
板読みける。
「魔獣出没につき危険」
しん。
「帰ろう」
佐藤、即答なり。
しかし。
ぺ・ヤ。
既に服脱ぎ始めける。
「温かい」
「話聞けェ!!」
⸻
その瞬間。
温泉奥。
どごぉぉぉん!!
「うおっ!?」
巨大な水柱上がりける。
そして。
湯煙の中より。
巨大な何か現れけり。
「グルルルル……」
「魔獣だァァァ!!」
一方。
現れしは。
巨大熊型魔獣。
されど。
何故か。
めちゃくちゃ気持ち良さそうなり。
湯に浸かりける。
「……………………」
「……………………」
「温泉入ってる」
エレノア、呆然なり。
一方。
熊魔獣。
ざばぁ……
肩まで浸かり。
ふぅ……
みたいな顔しける。
「くつろいでる!!」
⸻
その時。
ぺ・ヤ。
熊見つめける。
「良い場所」
「同意するな」
一方。
熊魔獣。
ぺ・ヤ見つめ。
「グル」
ぺ・ヤ。
「うむ」
「会話成立してる!?」
その瞬間。
熊魔獣。
温泉横へ少し移動しける。
空いた場所。
ぽっかり。
「譲った?」
「譲ったな」
宗重、真顔なり。
⸻
結果。
三十分後。
温泉。
熊魔獣。
ぺ・ヤ。
貴光。
源三。
並んで浸かりける。
「極楽だぁぁぁ……」
源三、完全に溶けける。
一方。
佐藤。
岸辺座りける。
「なんで魔獣と混浴してんだよ……」
その時。
熊魔獣。
ざばっ。
立ち上がり。
温泉から出でける。
そして。
どすどす歩き。
森へ帰りける。
「帰った」
「帰ったな」
一方。
貴光。
満足げに頷きける。
「良き湯友なり」
「湯友って何だよ」
⸻
その夜。
温泉近くにて野営。
一同。
久々に平和な夜過ごしけり。
その時。
巡礼団の信者達。
何やら集まり始めける。
「……嫌な予感」
佐藤、察しける。
一方。
信者達。
木板立て始めける。
『軽虎温泉』
「やめろォォォ!!」
さらに。
『軽虎様が発見された聖なる湯』
「発見してねぇ!!」
その時。
別信者。
『入浴すると御利益があります』
「嘘を書くなァァァ!!」
一方。
貴光。
温泉見つめつつ静かに頷きける。
「良き湯なり」
「お前が言うと説得力出るんだよ!!」
かくして。
軽虎教の聖地、
一つ増えけり。




