軽虎教、巡礼を始めてしまうこと
軽虎巡礼祭。
開幕二日目。
状況。
さらに悪化しけり。
「軽虎様ァァァ!!」
「御加護をォォォ!!」
「ありがたやぁぁ!!」
「うるせぇぇぇ!!」
佐藤健一、朝から絶叫しける。
⸻
一方。
街道。
完全に祭り状態なり。
白布信者達。
笛吹き。
太鼓叩き。
さらに。
軽トラ。
中央にて牛引かれ進みける。
ぎぃ……
ぎぃ……
その姿。
もはや完全に神輿なり。
「どうしてこうなった……」
エレノア・シルヴァリア、頭抱えける。
一方。
貴光。
荷台座り。
妙に落ち着き払ひける。
「牛車旅らしくなりしなり」
「お前が一番適応してるんだよ!!」
⸻
その時。
田所源三。
軽トラ横歩きつつ。
真顔で下回り確認しける。
「……………………」
「……………………」
「タイヤ問題なし」
「足回り問題なし」
「巡礼中に整備するな」
一方。
源三。
めちゃくちゃ職人顔なり。
「牛牽引の割に負荷少ねぇな……」
「分析始めるな!!」
その時。
信者一人、感動した顔にて呟きける。
「おお……」
「整備司祭様が御神体を……」
「だから誰が司祭だ!!」
⸻
一方。
真田宗重。
行列後方見つめける。
「最後尾緩いな」
「軍列として見るな」
その時。
宗重。
即座に叫びける。
「間空けるな!!」
「荷車詰まるぞ!!」
「指揮し始めたァ!!」
一方。
信者達。
半ば反射的に従ひける。
「は、はい!!」
「隊列整いました!!」
「統率されてる!!」
⸻
その頃。
ぺ・ヤ。
行列途中の屋台見つけける。
「魚」
「お前自由すぎるだろ」
一方。
屋台店主。
感動した顔にて魚差し出しける。
「賢者様!!」
「どうぞ!!」
「良い人」
「完全に餌付けされてる!!」
⸻
その時なり。
巡礼行列。
小さき村へ到着しける。
一方。
村人達。
最初。
完全困惑なり。
「……何あれ」
「祭り?」
「軍隊?」
しかし。
軽トラ見えた瞬間。
「おおおおお!!!」
「軽虎様だァァァ!!」
「情報伝わってる!!」
一方。
村人達。
次々膝付き始めける。
「今年豊作になりますように!!」
「息子の腰痛治りますように!!」
「軽トラ万能説やめろ!!」
⸻
その時。
村長らしき老人。
深々と頭下げける。
「ぜひ!!」
「我が村にも御加護を!!」
「いや別に神じゃ――」
その瞬間。
軽トラ。
太陽光反射し。
ぴかーっ。
「おおおおおお!!!」
「タイミング良すぎるんだよ!!」
一方。
村人達。
完全に確信しける。
「やはり本物だ!!」
「何の本物だよ!!」
⸻
その夜。
村。
宴開催されけり。
焚火。
酒。
肉。
完全に歓迎会なり。
一方。
貴光。
酒飲みつつ満足げなり。
「旅らしくなりし」
「お前だけ旅満喫してんな」
その時。
セシリア。
串焼き食ひながらぽつりと呟きける。
「……これもう」
「移動宗教団体だよね」
「言うな」
一方。
源三。
村鍛冶屋と盛り上がり始めける。
「だから鉄はなぁ!!」
「焼き戻しが重要なんだよ!!」
宗重。
村青年達へ陣形説明しける。
「槍は横並びではなく――」
ぺ・ヤ。
子供達へ罠作り教えける。
「ここ掘る」
「全員好き勝手やってる!!」
⸻
その時なり。
遠く。
丘上。
一人の旅人。
巡礼行列見下ろしける。
「……………………」
「……………………」
旅人。
ぽつりと呟きける。
「……鉄の神獣」
「噂以上だな」
そして。
静かに笑ひける。
「面白い」
一方。
下では。
「軽虎様ァァァ!!」
今日も信者達。
盛大に騒ぎ続けけり。




