軽虎教、勝手に儀式を始めること
鉄虎砦。
朝。
異様なる太鼓音響きけり。
どん。
どどん。
どんどこどん。
「……………………」
「……………………」
佐藤健一。
静かに布団より起き上がりける。
「……嫌な予感しかしねぇ」
一方。
外。
大量の人影。
しかも。
全員。
白布巻き。
木札首から下げ。
妙に神妙な顔つきなり。
「始まったァァァ!!」
佐藤、即座に飛び出しける。
一方。
砦中央。
軽トラ前。
祭壇まで設置されける。
「なんで祭壇あるんだよ!!」
一方。
農民達。
真顔にて答えける。
「本日は」
「軽虎感謝祭です」
「そんな行事知らねぇよ!!」
その時なり。
太鼓止まり。
一人の男、前へ出でける。
長髪。
白装束。
妙にキラキラした目。
「皆様」
「うわぁ……」
エレノア・シルヴァリア、顔引き攣らせける。
一方。
男。
軽トラへ向かい両手広げける。
「我らを守りし」
「鉄の神獣へ――」
「神獣じゃねぇ!!」
佐藤、全力ツッコミ。
しかし。
誰も聞いておらず。
「感謝を捧げましょう!!」
「おおおおお!!」
歓声。
太鼓。
謎の熱気。
一方。
軽トラ。
朝日反射し。
ぴかーっ。
「おおおおおお!!!」
「だから反射だって!!」
⸻
その時。
田所源三。
工具持ったまま現れける。
「何してんだお前ら」
一方。
白装束男、感動した顔なり。
「おお……」
「鉄虎様の整備司祭様……!」
「誰が司祭だ!!」
源三、即答しける。
しかし。
周囲。
ざわつき始めける。
「確かに……」
「毎日鉄虎様を触っておられる……」
「神官だったのか……」
「違ぇよ!!」
一方。
真田宗重。
腕組みしつつ儀式見やりける。
「統率は悪くない」
「戦国武将は黙ってろ」
その時。
ぺ・ヤ。
供え物コーナー発見しける。
「肉ある」
「またお前か!!」
ぺ・ヤ。
当然のように肉持って行こうとしける。
しかし。
白装束男。
感動した顔で震え始めける。
「おお……!」
「え?」
「原始の賢者様が」
「供物を選定しておられる……!」
「違う」
「腹減っただけ」
佐藤、即答なり。
されど。
既に遅し。
信者達。
一斉に膝付き始めける。
「賢者様ァァァ!!」
「意味分かんねぇ!!」
⸻
その時なり。
貴光。
縁側より静かに現れける。
すると。
空気。
一瞬で変わりける。
「……………………」
「……………………」
一方。
信者達。
ざわ……。
「出た……」
「鉄虎様の巫覡……」
「誰だよ!!」
佐藤、絶叫しける。
一方。
貴光。
状況理解しておらず。
軽トラ見つめつつ頷きける。
「今日は賑やかなるなり」
その瞬間。
信者達。
完全に沸き立ちける。
「神託だァァァ!!」
「違う!!」
「ただの感想!!」
⸻
数時間後。
儀式終了。
されど。
問題は終わらず。
一方。
レオル・ホル・シルペーニャ。
血の気引いた顔で砦へ駆け込みける。
「大変だ!!」
「今度は何!?」
一方。
レオル。
震える手にて書状差し出しける。
『王都教会より通達』
「……………………」
「……………………」
エレノア。
ゆっくり読み上げける。
「“鉄虎信仰について調査のため聖教会直属司祭を派遣する”」
しん。
一同。
静止。
一方。
佐藤。
ゆっくり顔覆ひける。
「……来た」
その時。
外。
「軽虎様ァァァ!!」
「御加護をォォォ!!」
謎の祈祷、さらに激化しける。
一方。
宗重。
静かに窓外見やりける。
「……宗教は」
「時に戦より厄介だ」
「急に重いこと言うなよ……」




