縄文人、異世界へ適応し始めること
数日後。
シルペーニャ領主館。
庭。
そこには。
石組み住居。
干し肉。
骨。
焼き魚。
謎の石山。
完全に縄文集落形成されけり。
「……………………」
「……………………」
レオル・ホル・シルペーニャ、遠い目しける。
「俺の館なんだが……」
一方。
ぺ・ヤ。
火囲みつつ満足げなり。
「良い土地」
「定住し始めてる!!」
佐藤健一、叫びける。
その時なり。
執事、慌てて駆け込みける。
「レオル様!!」
「今度は何だ!?」
「庭の魔物被害がゼロになりました!!」
「……は?」
一方。
別の家来、興奮気味に叫びける。
「森の大型魔獣も消えています!!」
「罠で全部捕獲されてます!!」
「罠?」
エレノア・シルヴァリア、怪訝そうな顔しける。
その時。
ぺ・ヤ。
当然のように頷きける。
「穴掘った」
「それだけ?」
「葉っぱ置いた」
「シンプル!!」
一方。
家来達、完全に勘違いし始めける。
「自然と一体化した狩猟術……」
「古代の知恵……!」
「違うと思うぞ」
佐藤、真顔なり。
その時。
老魔導師、おずおず口開きける。
「……アレン様」
「ぺ・ヤ」
「ぺ・ヤ様」
「うむ」
「何故そのような知識を……?」
一方。
ぺ・ヤ。
真顔にて答えける。
「腹減る」
「だから考える」
「根源的すぎる」
その瞬間。
庭奥。
どごぉぉぉん!!
「うおっ!?」
全員振り返りける。
そこには。
巨大猪型魔獣。
落とし穴へ綺麗に落下しける。
「……………………」
「……………………」
一方。
ぺ・ヤ。
静かに頷きける。
「晩飯」
「生活力が強すぎる!!」
その時なり。
レオル、少し考え込みける。
「……待てよ」
「む?」
「コイツ」
「統治向いてるんじゃないか?」
「は?」
「無駄無いし」
「食料問題解決してるし」
「危険察知異常だし」
一方。
ぺ・ヤ。
猪見つめつつ呟きける。
「皆で食う」
「良い」
家来達。
じーんと感動し始めける。
「なんと慈悲深い……」
「民を優先しておられる……!」
「違う」
「一人だと食い切れないだけ」
佐藤、即答しける。
その時。
老魔導師、震える声にて呟きける。
「もしや」
「“文明以前の王”……」
「やめろォ!!」
一方。
貴光のみ、静かに頷きける。
「村長向きなり」
「お前まで乗るな!!」
――そして。
この頃より。
シルペーニャ領では密かに、
『原始の賢者』
なる噂、広まり始めけり。




