天才青年、原始人化していたこと
魚住八五郎と別れし翌日。
御池貴光一行、冒険者ギルドへ訪れけり。
「次の依頼はこちらです」
受付嬢、紙差し出しける。
『シルペーニャ領主館清掃依頼』
『報酬:金貨一枚』
「金貨!?」
佐藤健一、勢いよく立ち上がりける。
「急に高額!!」
「貴族案件だからね」
エレノア・シルヴァリア、頷きける。
一方。
貴光、静かに呟きける。
「金ぴかなるなり」
「感想そこ?」
数時間後。
シルペーニャ領主館。
巨大なる白亜の館なり。
「おおー……」
佐藤、思わず見上げける。
「ガチ貴族だ」
一方。
執事らしき男、深々と頭下げける。
「ようこそお越しくださいました」
「む」
「特に二階奥」
「アレン様のお部屋を重点的にお願い致します」
「有名人なの?」
エレノア、首傾げける。
執事、誇らしげに頷きける。
「アレン・ホル・シルペーニャ様」
「若くして数々の学術成果を挙げられた天才でございます」
「へぇー」
「領地経営改革」
「魔導研究」
「建築理論」
「農業効率化」
「全部やってる!?」
一方。
貴光、難しき顔しける。
「働きすぎなり」
「珍しくまともな感想」
かくして。
一行、アレンの部屋前へ辿り着きけり。
「失礼します……」
がちゃ。
扉開けた瞬間。
風、びゅおおおっ。
「寒ッ!?」
佐藤、思わず叫びける。
窓。
完全に割れける。
「……………………」
「……………………」
部屋中。
本散乱。
紙吹き飛び。
机倒れ。
完全なる事件現場なり。
「や、やばくない!?」
エレノア、顔青ざめける。
「襲撃!?」
一方。
貴光、静かに窓見つめける。
「風通し良きなり」
「そこじゃねぇ!!」
次の瞬間。
館中、大騒ぎとなりける。
「アレン様が!?」
「護衛呼べ!!」
「侵入者だ!!」
家来達、一斉に館内走り回り始めける。
数十分後。
庭側。
「いたぞォォォ!!」
一同、庭へ駆けつけける。
そして。
「……………………」
「……………………」
そこには。
上半身裸。
打製石器片手。
草むらにしゃがみ込む青年なり。
「……………………」
執事、震える声漏らしける。
「ア、アレン様……?」
青年。
ゆっくり振り返りける。
整った顔立ち。
知的な目。
しかし。
完全に原始人めきし姿なり。
「オレ」
「えっ」
「腹、減った」
「えっ」
「狩り、きた」
「何があったァ!?」
佐藤、絶叫しける。
一方。
アレン・ホル・シルペーニャ。
石器掲げつつ真顔なり。
「文明、弱い」
「槍、強い」
「急に退化してる!!」
執事、膝から崩れ落ちける。
「アレン様ァァァ!!」
一方。
貴光のみ、静かに頷きける。
「狩猟、雅なり」
「お前は黙ってろ!!」




