江戸商人、物流革命を始めること
市場祭り騒動より翌日。
魚住八五郎、腕組みしつつ軽トラ見つめける。
「……………………」
「……………………」
佐藤健一、嫌な予感しける。
「……何考えてる?」
「いやァ」
八五郎、軽トラ荷台ぺたぺた叩きける。
「便利すぎんだろこれ」
「まぁな」
「荷運び」
「雨防げる」
「大量積載」
八五郎。
目きらきらし始めける。
「革命でぇ」
「脳焼かれてる……」
一方。
貴光、当然のように頷きける。
「良き牛車なり」
「だからそこまで万能評価できんのお前だけだよ」
その時なり。
八五郎、突然立ち上がりける。
「決めた」
「む?」
「俺ァ荷台作る」
「荷台?」
「市場専用だァ!!」
どんっ。
八五郎、地面へ図面描き始めける。
「魚ァ朝勝負!」
「運搬速度命!」
「積載量正義!」
「急に熱量高いな!?」
一方。
八五郎、完全に商売人の目なり。
「軽トラァ無理でも」
「似たような発想なら出来らァ」
「おお」
貴光、妙に感心した顔しける。
「町人の知恵なり」
「いや普通に有能なのよこの人」
数日後。
街外れ。
木材山積み。
職人達、汗だくにて作業しける。
「もっと軽くしろ!!」
「積載優先だ!!」
八五郎、怒鳴り散らしながら指示出しける。
「完全に親方だ……」
佐藤、若干引き気味なり。
その結果。
完成したるは。
巨大木製荷台。
屋根付き。
防水布付き。
魚運搬特化型なり。
「おおー……」
エレノア・シルヴァリア、少し感心しける。
一方。
八五郎、どや顔しける。
「名付けて」
「“大八荷車・改”でぇ!!」
「ネーミングは江戸なのね」
その時。
八五郎、ふと真顔になりける。
「……あ」
「む?」
「牛足りねぇ」
しん。
全員。
巨大荷台見つめける。
「……………………」
「……………………」
佐藤、静かに呟きける。
「これ何頭必要?」
「最低三頭」
「終わった」
かくして。
一行、牛捕獲へ向かいけり。
数時間後。
草原。
大量の牛群れたり。
「おおー……」
「デカいわね……」
一方。
八五郎、縄ぶん回し始めける。
「商売のためでぇ!!」
「勢いで行くな!!」
その瞬間。
八五郎、牛へ突撃しける。
「うおォォォ!!」
牛。
当然逃走。
「速ぇぇぇ!!」
一方。
貴光。
静かに牛前へ立ちける。
「雅なり」
数秒後。
なぜか牛、大人しくなりける。
「……………………」
「……………………」
八五郎、固まりける。
「なんでぇ?」
「平安パワーだよ多分」
佐藤、諦め顔なり。
結果。
茶色牛三頭追加されけり。
黒牛二頭。
新入り達見つめ。
その目。
完全に、
「お前らも終わりだ」
と言いたげなりけり。




