魚屋、軽トラを市場へ持ち込まんとすること
市場騒動より数時間後。
魚住八五郎の露店。
未だ大盛況なり。
「うおー!!」
「この魚うめぇ!!」
「安いぞ!!」
一方。
八五郎、銭数えつつにやにやしける。
「いやァ、景気いいねぇ」
「順応早すぎるだろ」
佐藤健一、若干引き気味なり。
一方。
エレノア・シルヴァリア、切り身見つめつつ呟きける。
「……普通に繁盛店ね」
その時。
八五郎。
ふと市場奥見やりける。
「……………………」
「何なり」
貴光、胡瓜齧りつつ首傾げける。
八五郎。
ゆっくり軽トラ指差しける。
「……アレ使えねぇか?」
「待て」
佐藤、即座に察しける。
「嫌な予感する」
一方。
八五郎、目輝かせ始めける。
「魚市場ってのァよォ」
「運搬が命なんでぇ」
「お、おう」
「荷運び速ぇ奴が勝つ」
「まぁそうね」
その瞬間。
八五郎、軽トラぺたぺた叩き始めける。
「これ市場に置きゃ最強じゃねぇか?」
「始まった」
佐藤、頭抱えける。
一方。
貴光、怪訝そうな顔しける。
「牛車なり」
「違ぇよ!!」
八五郎、勢いよく叫びける。
「これ荷台あるだろ!?」
「大量輸送向きだ!!」
「牛に引かせるなり」
「そこが狂ってんだよ!!」
その時なり。
市場商人達、ざわつき始めける。
「確かに荷物いっぱい乗るな……」
「しかも壊れねぇ……」
「防水っぽいぞ……」
「あっ」
佐藤、嫌な顔しける。
一方。
八五郎、どんどんテンション上がりける。
「魚ァ朝が勝負でぇ!!」
「軽虎様で一気に運びゃ革命だ!!」
「軽虎様って呼ぶな!!」
その瞬間。
魚屋の一人、震える声にて呟きける。
「……市場神輿」
「は?」
「軽虎様を市場で引けば商売繁盛では?」
「待て」
しん。
全員。
魚屋見つめける。
一方。
魚屋、真顔なり。
「祭りだ」
「祭りじゃねぇ!!」
次の瞬間。
市場全体、妙な熱気帯び始めける。
「市場守り神様……!」
「豊漁の象徴では!?」
「魚運び神輿だ!!」
「宗教と祭り混ざったァ!!」
エレノア、叫びける。
一方。
貴光。
少し考え込み。
「祭りは雅なり」
「乗るなァ!!」
その時。
黒牛二頭。
軽トラ見つめ。
そして。
市場見つめ。
「もぉー……」
その顔。
完全に、
「嫌な予感しかしない」
という顔なりけり。




